8話目-㉟
何気に3日連続投稿はしたことないんじゃないだろうか。
「もうすぐ時間ですね。どう返事すると思いますか?」
「受け入れるわけねーだろが、一応パフォーマンスくらいはやっとくか」
アレクセイが1人人頭に立ち、拡声器の魔導具を用いる。
『俺の名前はアレクセイ・ニコラ!略奪者たちの王様ギルドマスターである!返答を聞かせてもらおう!』
「「………」」
『それが返事だな。では冒険者諸君これより攻撃を開始せよ』
アレクセイが号令をかける。背後に控える数十万の冒険者たちは一斉に質量攻撃や魔法攻撃。ありとあらゆる攻撃を開始した。それは絶え間ない波状攻撃であった。
アレクセイは消耗戦を仕掛けた。
時に。攻撃魔法と防御魔法。どちらの方が消耗が激しいのか。
あらゆる攻撃に耐性のある防御魔法の方がどうしても高度であり複雑になる分、消耗が大きくなり耐久性に難があるということをアレクセイは理解していたからだ
『なめるなよ!この程度の攻撃で、私の結界が破れるものか!』
大都市が容易に灰になってしまうほどの熾烈で苛烈な絶え間ない雨霰の密度の絨毯爆撃。それを防いで防いで防ぎ続ける。結界防壁魔法は傷すらつかない。だというのに無意味な攻撃はいつまで経っても終わらない。
瞬間的に100kgのダンベルを持ち上げられるからといって、それを永遠に持ち上げ続けていられるわけがない。必ずどこかで限界を迎える。アヤメもそれを重々承知している。
攻撃を開始して1時間が過ぎた。
『ゴボッ……』
なによりも完璧な結界防壁魔法を使用しているのは完璧足り得ない術者のアヤメである。術理を繋ぎ合わせ、使用している以上、想像を絶する継続的な負荷その全てがアヤメにのしかかっていた。限界などとっくの昔に超えていた。耐えられず、身体が悲鳴をあげながら夥しい吐血を繰り返していた。いよいよもって目や耳からも血が流れていた。いつ死んでもおかしくない状態だろう。ボロボロであった。
それでも結界防壁魔法は維持されていた。偏に執念によるものだ。しかし、本当に僅かな歪が生じていた。その隙をグラナド・フエクは見逃さない。合図を出す。
待っていたと言わんばかりに眩い閃光のような一撃が結界の弱所を貫きこそしなかったが、ヒビを入れた。トニーの持つ2丁銃の最大放出攻撃によるものであった。
「おいおい ぶち抜くつもりだったんだけどな。おじさんショック」
《トニー!元気出して 最低限の仕事はしてるよ!》
トニー・アダムス。彼は魔導の深淵に行き着いた者である。故にその手に持つ金と銀の2丁の銃は彼自身が創り出した唯一無二の武器である。射出するのは弾丸ではなく、彼の強大な魔力そのものだ。
『まだ、まだぁ!』
「アダムスが楔を打ち込んだ、あそこに各最高位冒険者は火力を集中せよ」
最高位冒険者たちがそれぞれ自身の持つ最大級の攻撃を叩き込む。その攻撃は膨らんだ風船における針の一刺しであった。先に限界を迎えたのはアヤメである。結界が割れるのと同時にアヤメも意識を失う。砕け散ったステンドガラスのように無惨にバラバラに引きちぎられていた。
「ひゃっはー!突撃だぁ!」
そこからはあっという間のことであった。冒険者たちがあっという間に雪崩れ込み、瞬く間にありとあらゆる場所で戦闘になり、そこかしこで火の手が上がり始める。
「シンドゥラ!正面を頼む。左右は俺たち戦士団が……」
「ボナード!お前たちは戦えない者たちの避難に務めろ!此処はオレたちが押しとどめる」
「……すまない。」
「なに。これが武人の仕事だ。気にするな
唯一神の元でまた逢おう。友よ」
「敵が来るぞ!バルディアの豪傑たちよ!迎え撃てーー!!」
「シンドゥラ様に続けーーー!」
シンドゥラが何人か斬り伏せながら指示を下す。戦えるオークの数は一万に満たない。あまりに多勢に無勢。防衛線を幾つも敷いてるとはいえ、そう長くは時間を稼げないだろう。突然に振るった剣がピタリと固定され止められる。
見ると2本の指が大剣を万力の如き握力で締め上げていた。
「わーお。デカいデスね。それに力もちょびっと強い。あなたオーク?どっちにせよこの部隊の頭ね」
「名乗られよ!オレの名はシンドゥラ!ハイオークだ!」
「お行儀いいね、最近の魔物。私の名前ベイビー・フランクリンで最高位冒険者。お一つどうぞよろしくね」
「ぬ!なんというパワーだ!」
信じがたい光景である。体躯で遥かに劣るはずのベイビー・フランクリンが片腕を動かして、剣を握るハイオークのシンドゥラを持ち上げ投げ飛ばしたのだ。
「どこだ?どこにいやがる!?」
バイデ・ワルターは宝人族の確保を極秘裏に命じられていた。故に戦いは他の者たちに任せて、こっそりとアカシア城に潜入していた。だがそこで思わぬ人物たちと出くわす事になる。フード&イート兄弟だ
「おい兄者!マトローナ姐さんをゼッテーおとすんじゃねえぞ!」
「んなこと分かってるっつーの 兄弟!
あ!ば、バイデハンチョウ」
「無事だったのか お前たち。いったい誰を抱えている」
「……少しだけマッててくれ、姐さん。俺たちがしっかり逃してやっからよ」
抱えていたマトローナを下ろし、武器を構える2人に対して理解こそ遅れたが、バイデも直ぐに魔魚を幾つも召喚してバカな彼らが騙されている可能性も視野に入れて再三問いかける
「お前たち今自分が何してるのかわかってるな」
その殺気にフードが懐から一枚の封筒を取り出した。見出しにはデカデカと退職届とかかれていた、ピキリと頭に血が上ったバイデの額に血管が浮かぶ。
「なんのつもりだ!おまえら!」
「兄弟と話し合ってキメました。俺たち冒険者やめます。バイデハンチョー短いアイダでしたがくそお世話になりましたぁ!」
「この、クソバカ共が!舐めたこと抜かしてんじゃねーぞ!」
大量の魔魚が空中を泳ぎながら2人に殺到したが、フードとイート兄弟は臆する様子もなくそれに向かっていたのであった。
第4区にて、殺し回る狩人の2人。ヒルデス・ハイネとニーメル・ラオファンは同業者である筈の略奪者たちの王様相手に戦っていた。
彼女たち2人は高位冒険者であるが、特別合同調査に選ばれるほどの腕利きである。並の冒険者たちなどたちまち蹴散らしてしまっていた。
「うぎぃ!」「ぐぎゃあ!」
「やべぇ こいつら、ガキのくせに強いぞ!」
ニーメルの"石礫を弾丸にする魔法"によって冒険者は次々と倒れていくが、彼女の顔色は優れない。寧ろ今にも泣き出してしまいそうであった。
「ハイネさんのあほー!絶対勝てっこないよ、こんなん」
「黙りなさい ラオファン! 大体私はこいつら嫌いなのよ!数が多いだけのくせして自分達が1番強いみたいな顔して!
最強ギルドは私たちよ!ここらでギッタンギッタンにして格の違いを見せつけてやらないと気が済まないわ!」
ハイネの"剣技の手数を4倍にする魔法"によって、周囲の相手は瞬く間に斬り捨てられていく。
「大体他の調査隊の人たちはどこ行ったんですかぁ!逃げたんだ!絶対逃げたんだーーー!」
「うるさい!ちゃんと彼らもいるわよ。それに援軍を呼んだわよ、私の変わり者の友達をね。ほらきた」
『クェェ〜!』
「あれは、鳥?」
ハイネが指を差した方向から奇妙な鳥の鳴き声と共にやってきた者たちがいた。ニーメルが釣られて顔を上げると奇妙な鳥型生魔物であった。この大陸には生息していないベネットペリンカンという。
ベネットペリンカンは空中から強力な酸を撒き散らしながら、ハイネたちの周りに降りてきて、その背からハイカラな少女が降り立った。
「久しぶり。」
「よっ!ハイネ!ポッポさんがきたぞ! で 龍!地龍はどこだ!ハイネ!友達になれる有効な地龍がいるって聞いたからこちとら遠路はるばるやって来たんだぞ!嘘だったら許さんぞ!」
「分かってるって。けど、その龍を危ないからって殺そうとしてる奴がいるんだ。だから助けて。」
ポルポポ・ポッポ。この時代における最後の従魔士である彼女は龍を従えることを目標としている。そしてその龍の情報をもたらされたことでバルディアを訪れたのだ。
「それは許せん!地龍と友達(予定)のこのポッポさんの目が黒いうちは絶対にさせんぞ!」
「なんだこの珍妙な奴らは!?」
「構わねえ!ぶっ殺しちまえ!」
「ヘスヴィア!このアンポンタン共を叩きのめせ!」
「コォォ!!!」
灰色の体毛に覆われた巨大なオークが手にした棍棒で群がる冒険者たちをチリのように蹴散らしていく。その強さはかつてのハイエンドのシンドゥラにも匹敵するレベルの暴であった。
「Qui!」
「ん?クトゥーも戦いたいの?
じゃあいいよ。いっぱい暴れちゃえ」
ポッポは従魔士であり、多くの魔物を従えている。その中でも最も全てが謎の魔物。それがクトゥである。
卵の殻を上半分だけ被り、下半身の垣間見える蛸の足を延ばすと突然大樹の幹のように太くなり、冒険者たちを捕まえていく。
「すっげー!なんなんですか こいつら」
「ポッポさんの名前はポルポポ・ポッポ!
かつて世界最良の従魔士と呼ばれたプラネ・リュッネッダーを何れは超えるスーパー従魔士(予定)だ!!!
その目的の第一歩、地龍はお前らなんかに絶対渡さない!」
「なんの話をしてやが…ぎゃあぁあ!」
結界の破り方で強い能力出そうと思ったけど、なんかチートになり過ぎたら取り返しつかなさそうでやめました。この見極めって難しい