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3話目-⑦GHOST IN THE WELL.ⅱ

この世界の言語ってどうなってるんだ?イルイとは問題なく話せてたからてっきりこう都合よく途中から異世界語を取得したと思ってたのだが……

言葉が通じなくて困った俺はジェスチャーが大事だと聞いたことを思い出し、石に近づいた。そして持ち上げる動作をする為に石に手を置いた次の瞬間だ。

耳を劈く狂声が村に響きわたる。



「ゴボォォォ!!こ、こやつ石に何かするつもりじゃぞおおお!!」



狂った声を出して俺の度肝を抜いたのは、なんと驚き婆様だった。老人とは思えない発声法である。デスメタル歌手もビックリのガテラルボイスに正直ビビったのだよ



「《ち、違……話を「儀式を邪魔するつもりに違いない!冒険者よ!止めろぉぉぉ!」



婆様の掛け声と共に十数人の冒険者の人たちが俺に斬りかかろうと一斉に動き出した。冤罪って言葉をご存知ですか?


四の五の言い訳をかます余裕などない。巨体な俺が逃げ回るには地上は狭すぎる。その為に俺は反射的に翼を広げて空へと逃げ出した



「《ふぅ‥‥なんて奴らだ。危うく傷物になるとこだったぜ》」



俺の魅惑のすーぱーぼでぃーに擦り傷一つでもつけてみろ。俺のバックにはあの魔導師 白雪姫がいるんだかんな。許さないかんな、後で姫と一緒に然るべき所に訴えさせて貰いますからね!そして訴訟費ふんだくって!億万長者に!俺はなるんだ!



「あ、アーカーシャ!い、石!」



下でイルイが何やら騒いでる。石?



それなら‥‥。うん。大丈夫だ、問題ない。傷一つ付けないようまるで赤子を扱うように俺の腕の中にしっかりと収まってる……Ze?



「《んーー〜???ちょっと待ってくれ》」



どうして血の石を持った状態で俺は空を飛んでいるのだ?いったい何が起きたのだ?どうしてこうなったのだ。謎が謎を呼ぶ展開



「ゲヒッ……」



瞬間、身の毛がよだつ感覚を覚える



小さく声が聞こえた。深い深い井戸の底から。確かに声が。目を凝らすと闇夜をかき分けて、石が無くなりぽっかりと空いた暗い井戸の底に頭から二本の角を生やして緑色の肌をした人型の生物……鬼がいたことが認識できた



その姿を見るまでは何とかなると思っていた。

その目を見るまではどうにかしてやれると思っていた────この怖気。これは予感だ。これは……まずい



そいつは俺を、いや、正確には今まで血の石によって隔絶されていた世界に優しく射し込んだ紅の混じった月光を怨みがましく呪うように見上げていた。

だが今起こった事を理解したのかそいつはニタリとゾッとするほどの醜悪な笑みを浮かべ、ガリッと石壁に爪を突き立て凄まじい速度で這い上がり始めた。



数瞬程呆気に取られる。緑鬼が井戸から這い上がる様は宛ら見たら一週間後にテレビから這い出てくるジャパニーズホラー代表の例(霊)のアノ人を想起させてくれた。化物にはな、化物をぶつけんだよ!!もう1人のジャパニーズホラー代表をさっさと呪いの家から連れてくる余裕は生憎ない



「《だ、させるかぁぁぁ》」



俺は慌てて身体を翻し半転させながら全力で空を蹴った


「ゲヒャヒャヒャ」



緑鬼が声を上げ井戸の淵に手を掛けたのと、俺が垂直に近い形でミサイルの様に高速で急下降し井戸の入り口に即座に持っていた血の石で蓋をするように振り下ろしたのは同時だった


端的に言えば、井戸の入り口は塞ぐ事が出来た。石にヒビが入り井戸の入り口が歪な形に変形したが、そんな事はどうでもいいだろう



「《くそ……》」



問題は、緑鬼が間一髪のところで外の世界へ這い出ていたことだ。

ボロボロの衣服を身に纏ってその緑色の肌にガリガリの手足からは、不衛生そうな爪が伸び、口からは凶悪そうな長い牙を覗かせている。井戸の底より深く濁った目はどよめく人間たちを捉えると、気味悪くケタケタと嗤っている



仮によしんば本当にいたとしても俺が倒せばいいと考えていたが甘い考えだった。倒すのではなく、こいつはもう殺すしかない



「ゲヒッ‥‥ゲヒヒ」



「空気にも味があったのだな。腹も減った。何か口にしたいが最初の一口は魔力の豊潤な子どもだ。柔らかい女の子が良い……いた」



緑の鬼は口からみっともなくヨダレをダラダラと垂らしながら、奈落の底から反響させた低い声で鼓膜を震わせた。

その瞳は見るもの全てを魅了する天使イルイに注がれている。食人鬼でペドとは、業が深いと言わざるを得ない。


そんな鬼を前にして、村中の人が恐怖の余りか失神していく。だがその場にいた冒険者の全員が鬼を危険と判断したのだろう。逼迫した表情で示し合わせたかの様に一斉に緑鬼へと飛びかかる



屈強なギルドの人たちを前にそいつはたった一言を静かに独白する



「邪魔‥‥」



緑鬼は片足をあげ、地面を踏みつける。それは凡そ攻撃とは思えない簡単な動作であった。タンッ!という軽い音と共に地面が音ともに振動し空気が豪快に弾ける


楕円形に衝撃波が迸り、冒険者全員をたったの一撃で家や地面に容赦無く叩きつけ蹂躙していた



「《どこのバトル漫画出身だ、お前》」



そんな感想を漏らさずにはいられなかった





この敵強いぞっていう描写は難しいなと思いました

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