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「あはぁ〜ん、これで吉原さん立派な傷モノになったねぇ。 それずっと残りそうな傷跡じゃーん」


「嘘…… 芽依ちゃん」



こいつ本気でやりやがった。 吉原は頬を押さえているがボタボタと血が流れてる。



「藤崎、てめぇッ!!」


「おっと、今更熱くならないでよ。 こんなんでもならないと渡井君はその気にもなれないんだね?」



藤崎は吉原の髪の毛を強引に引っ張り顔を上げさせる。そして今度は吉原の額にナイフを当てる、 こいつは加減がないのか額からも血が流れ落ちる。



「藤崎、それ以上はやめろ、やめてくれ」


「綾ちゃん、お願い。 芽依ちゃんを離して」


「ダメだよ、サヤにもしっかり見せしめておかないと…… 私を踏み躙るとこうなるってさ」



藤崎は吉原に顔を近付けマジマジと見る。



「うわぁ〜、痛そうだねぇ。 こりゃ男引っ掛けるのもう無理だったりしてね! あはははッ! でも余計な心配事もなくなって良かったでしょ?」


「…………」


「もう喋る気力もなし? サヤに関わった罰だよ、ふふッ」


「…… 違う、藤崎さんさっきからズレた事ばっかり。サヤちゃんに関わった事を罰って思うわけない」



あれ? 吉原?



「な、何よ!? あんた状況わかってる?」


「わかってるよ」



吉原は額に当てられているナイフの刃を握った…… それも握った手から血が出るほど力を入れて。 もしかしてキレてるのか?



「はぁ!? あんたバカなんじゃない?」


「バカは藤崎さんだよ? こんな事してたらサヤちゃんに嫌われるってわからないの?」


「うるさいな、離れろよ! 血だらけでキモいんだよ!」


「いったッ…………」


「吉原!」



藤崎は吉原が握っていたナイフを力ずくで引っこ抜いた。 そして吉原に蹴りを入れる。 俺は倒れそうになる吉原を支えた。



良かった。 いや、良くないか。吉原はとりあえず確保したけど傷が……



「周ちゃんありがとう」


「バカ、それより傷の手当てを…… 一ノ瀬、なんか持ってないか? って一ノ瀬!?」



俺が吉原に気を取られていると一ノ瀬はナイフを持っている藤崎の目の前に居た。 あのバカ、今度はお前が捕まるぞ!? と思ったが藤崎は一ノ瀬を見て静止していた。



「さ、サヤ?」


「…… 鞭打」


「え?」



一ノ瀬は藤崎の頬に張り手をした。 あまりの事に藤崎は頬を手で押さえているともう片方の頬にまた一ノ瀬に張り手をされる。 その衝撃でナイフを落とした。 今度は一ノ瀬がキレている!?



「な、何するのサヤ?」


「私のセリフ……」



一ノ瀬は今度は拳に変えて藤崎の頭を殴る。 何度も何度も……



「やめて、サヤ! やめてったら! 吉原さんと渡井君は死刑になるべきだよ! だってサヤを!」


「うるさい!」



聞く耳持たない一ノ瀬はそのまま藤崎を殴り続ける。堪らず藤崎は丸くなる。



「サヤちゃん……? もうそこら辺で。 え?」



一ノ瀬は藤崎の落としたナイフを拾った。 お、おい、嘘だろ? 一ノ瀬……



「一ノ瀬よせ!」


「死刑? 違うよ綾ちゃん。 綾ちゃんこそ芽依ちゃんにこんな事して…… 万死に値するよ」


「じょ、冗談だよね? サヤ」



一ノ瀬はそのナイフを握りしめて藤崎に近寄る。



「周ちゃん! サヤちゃんを止めて!」


「わかってる!」



一ノ瀬はナイフを振り上げた。



「や、やだ! サヤ!」


「一ノ瀬ッ!」





藤崎の前に回り込んだ瞬間ナイフが刺さった。 一ノ瀬に……



「え? え! ええッ!? 」


「さ、サヤちゃん、なんて事を……」


「のわッ」



藤崎は俺を後ろから勢いよく払いのけた。 一ノ瀬は吉原が切られた所と同じ箇所を自分で切っていた。



「何してるのよサヤ!! ああ〜ッ!」



一ノ瀬の切った箇所を手で押さえるが当然そんな事をしても元に戻るはずもなく……



「同じ……」


「へ?」


「綾ちゃんが芽依ちゃんにした事と同じだよ」


「違う、サヤは違う。 私のサヤが…… 私の完璧なサヤが」


「同じだよ、綾ちゃんの求めてる私が何か知らないけどこんな風に綾ちゃんが思う事と同じ事を芽依ちゃんにしたんだよ? 私と周君にとって」



藤崎はへたりと座り込み大人しくなってしまった。



「サヤちゃん、傷の手当てしなきゃ!」


「お前もだバカッ! 一ノ瀬も来い」


「ひいッ! ご、ごめん周君」


「あはは……」


「吉原、お前笑い事じゃないぞ? お前が1番傷が深いんだから」


「うん……」



収束したとはいえ、吉原は大きな傷を負った。

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