表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/99

75


文化祭の日になった。 まぁ昨日から始まってはいるけど今日は一般公開の日だ。



俺と伸一はクラスのカフェの受付に仲良く回されてしまった。 なんかまだ時間前だから暇だな。 伸一もそうなのか下らない話をしていた。



「なぁ周人、吉原と一ノ瀬どっち取るの?」


「え? どっちって言われても……」



伸一にそんな事を聞かれた。



「お前羨ましいんだけど? てかどっちか選んだら残り俺に来ないかな?」


「なんでお前に行くんだよ?」


「だってお前の友達ポジだぜ? その流れで俺に来てもおかしくねぇじゃん。 しかも吉原と一ノ瀬でどっちも美味しいじゃねぇか!」


「いやいや、お前よくそんな事言えるな」



こいつの思考回路は一体どうなってるのか? 一ノ瀬の事バカにしまくってたくせに。



「なんの話?」



吉原が俺と伸一の前に顔を出した。



「お! 吉原、いーね、その服似合ってるなぁ。 クソ! 今度俺と遊ばない?」



俺を見てクソって言いやがった。



「うーん、周ちゃんが一緒居ならいいよ?」


「かぁーッ! 周人じゃ頼りないしつまんないだろ?」


「頼りなくはないけど…… 優柔不断なとこはあるかなぁ?」


「だ、だろ!? 俺はそんな事ないぜ!」


「でも私がいろいろ言われてた時も周ちゃんはそんなのに流されないで私の事見ててくれたもんねぇ」



吉原の言葉にまたギクリとした伸一はすぐに話題をそらした。 何気に根に持ってそうだな吉原も。



そういえば藤崎の奴もあのゲーセン以来学校で見てない。 休んでるのだろう、一ノ瀬にまでバレたと踏んで音沙汰なくなるまで姿を消すつもりなのだろうか?



一ノ瀬もずっと藤崎にその事で話をしたそうだったが居なければ話にもならないもんなぁ。



「め、芽依ちゃん……」


「あ、サヤちゃんも来たよぉ」


「おおッ! 看板娘が2人とも俺の所に」


「お前なのかよ…… 良かったな」



一ノ瀬は吉原がいないので探しに来たらしい。 なんせ吉原に頼ってベッタリだったからな。



「緊張する…… 私こういうの向いてない」



チラッと一ノ瀬はそう言いながら俺を見た。 なんだよ……



「周君…… 」


「え?」


「私もそっちのが向いてる気がする…… そっちがいい」


「マジでか!? じゃあ一ノ瀬、俺と一緒に受付しようぜ!?」



伸一はガタッと立ち上がり前のめりになって言った。 こいつウザい……



「もうッ! 今更遅いって。 私がしっかりサヤちゃんをフォローしてあげるから」



吉原が俺にウインクする。 あー、そぉいや一ノ瀬の面倒見てやってくれ的な事言ったしな。



「お客様の頭に何かかけちゃったらごめんなさい……」


「一ノ瀬…… 変なフラグたてるなよ。 お前が言うと本当にそうなりそうだ」


「そうならないように頑張ろ!」


「う、うん……」


「頑張る羽目になるのは吉原のような気がするけどな」


「んー、確かに作るの面倒なメニューにしちゃってるから少し大変かもねぇ。 てか私とサヤちゃんは主に持って行く方にされちゃったし…… あ! あとで周ちゃんにケーキ持ってきてあげるね」


「お、俺の分は!?」


「あ、そうでした。 じゃあ2人とも仲良く受付頑張ってね! 行こうサヤちゃん」



吉原達が戻ってしばらくすると時間になりクラスがソワソワし始める。 まぁこっちは気楽なもんだな。



そして本格的に人が入り出してきた。



「あ〜、どっかの可愛い子でも来ねえかなぁ? 」


「んな事あるわけ…… あ、伸一、お前のお望み叶いそうだぞ?」



一際美人な女の子がここのカフェを指差していた。



「おいおい! 大当たりじゃねぇか! なんか気が強そうな子だけどそこがまたいい」


「まぁ確かに美人だけど来たからって何かお前とあるわけないだろ? 何を期待してるんだ?」


「つまんねぇ奴だなぁ。 てかお前には吉原と一ノ瀬居るからどうでもいいんだろうがな!」



だが伸一の顔が一瞬で残念そうな顔になる。 理由はすぐわかった。美人な女の子の後ろから彼氏らしき男がついてきた。



「クソ〜、男連れかよ…… 」


「まぁそんなもんだろうよ。 あ、でもここに来るっぽいぞ?」


「野郎が居る時点でやる気なくなったわ。 周人、適当にやっててくれや」


「そうなると思ったわ」



その美人な子が入って行った時ふと思い出した。 一ノ瀬の奴ちゃんとやってるかな?



「おい周人、サボる気か?」


「お前に言われたくねぇわ。 でも少し落ち着いてるだろ今は。 中の様子見るくらい…… 」



と、話しているうちに居た居た。 せっせとケーキと飲み物を運んでいた。 吉原忙しそうだな。 一ノ瀬はと…… 客にペコペコと頭を下げていた。



あ〜、そんなにメニューもないのに間違えて持って行きやがったな、一ノ瀬らしい。



気付いた吉原も対応に行った。 2人とも可愛いからなのかそんなに客も気にしてないようだ。 うーん、そこは得してるよなぁ。



そう思っていると肩をトントンと叩かれる。 伸一か? と思って振り返ると……



「こんにちは」



なんとそこには藤崎が…… え? こいつ今日来てたのか?



「なんだよ?」


「お客さんとして来てるんだけど? ダメ?」


「ダメじゃないけどお前自分のクラスでやる事ないの?」


「やる事が終わったから来てるだけ」



学校モードなのかテンションそんな高くないな。 同一人物なんだろうか?



吉原とかにあんまり会って欲しくないけど客として来た分には仕方ない。



「余計な事するなよ?」


「何の事かな?」



トボけやがって。 頼むから面倒事は勘弁しろよと思い藤崎の背中を見送る。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ