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吉原とお昼をする前に藤崎の事も解決しておかないと後々面倒な事になるかもしれないと思い俺は隣のクラスを覗いてみる。
だが藤崎の姿は見当たらない。 もうどこか行ってしまったのか?
そう思い聞いてみると藤崎は今日学校を休んだらしい。 タイミングがいいんだか危機回避能力が高いのか……
「休みみたいだ」
「藤崎さんは…… ちょっとよく掴めない人だから気を付けた方がいいと思う」
吉原は少し不安そうにそう言った。 確かに学校にいる時といない時ではギャップがあり過ぎる。
そして何故か一ノ瀬へ並々ならぬ感情を持っているしで変な奴だ。 学校モードじゃない時は如何にも西岡達に属するグループに居るような見た目だし……
吉原の話を聞く限り学校以外では西岡達となんとなく繋がりはあるような気もするけど。
その日の放課後、一ノ瀬は部活へ行き俺と吉原と俺は2人きりになる。
「サヤちゃん、今日周ちゃんの事借りてっていい?」
「ふえ? うーん、うーん…… わかった」
「あはははッ、そんな疑わなくても大丈夫だよ。 もう私の気持ちは伝えたし変な事するわけじゃないし」
「変な事ってなんだよ?」
「変な事は変な事だよ。 でも周ちゃんにはそんな度胸なさそうだし」
何気にバカにしてるだろ? そんなこんなでただ普通に吉原は俺と一緒に放課後どこか行きたかっただけのようだ。
「何か目的とかあるわけじゃないんだな?」
「うん、何もないよ? ただ一緒にブラブラしたかっただけ。 あ! あそこのゲームセンター寄ろう?」
吉原が近くにあったゲーセンを指差す。 ゲーセンに入ると吉原はUFOキャッチャーの所へ直行した。
ぬいぐるみでも取りたいのか? 俺苦手なんだよなぁ。
そう思いお金を崩そうと両替機へ向かおうとすると……
「あっれぇ〜? 渡井君じゃない? 奇遇!」
なんと学校を休んだ藤崎が居た。 学校で会わなかったのにこんな所で会うなんて……
それに藤崎は男連れだった。
「綾の知り合い? ていうか制服見るに同じ高校じゃん」
同じ高校? てことはこいつも俺と同じ高校?
「そそッ! 隣のクラスの渡井君。 あ、こっちは1個上の先輩だよぉ」
藤崎はその先輩の腕を掴んで顔をすりすりさせている。
「ふぅん? ま、よろしく」
「渡井です」
適当に言葉を交わす。 それにしても藤崎…… こいつ一ノ瀬に夢中だったんじゃないのか? あれか? ノンケでも構わずなタイプなのか?
「いやん渡井君! そんな眼差しで私を見ないでぇ! ん? あそこにいるのは吉原さんじゃない? デート?」
「いや、デートってわけじゃ…… まぁそれでいいや。 てか学校休んでそっちこそデート?」
言いたい事は山ほどあるけど隣の先輩のお陰でなんか言い辛い。
「周ちゃん」
気付いた吉原が俺の腕をグイグイと引く。
「んふ〜ッ、お熱いじゃない2人とも。 いいと思うなぁ私は! 一ノ瀬さんと居るよりは」
一ノ瀬を強調して言う辺りやはり一ノ瀬の事は気にしてるみたいだけど…… いや、そんなのはどうだっていい。 こいつは吉原叩きを促した張本人だってのにどういう神経してんだ?
「ねぇねぇ、私そこのお2人とお話しあるんで今日はこれで」
「え? いや待てよ綾」
「くどい、しつこい。 東堂先輩に言いつけちゃいますよ?」
藤崎がそう言うと先輩はあっさりと引き下がる。 なんなんだ? 東堂先輩とも知り合いなのか?
「お前…… 東堂先輩と仲良いの? 」
「うーん、まぁそんな言うほどじゃないけど? 知り合いって思わせれば都合いいじゃない?」
「ていうよりお前吉原に何したか自覚あるのか? 何呑気そうにしてるんだ?」
「あれれ? もうネタバレされてんの? あー、吉原さん存外タフじゃなかったのねぇ」
「タフじゃないとかそういう問題か? 吉原に何か言う事あるんじゃないのか?」
「んー、言う事ねぇ。 西岡さん達に揉まれて箔がついたね! いじめられっ子の。 うふふッ」
そう言われた吉原は唇を噛みなんとも言えない顔になる。 なんて奴だ……
「お前なぁ」
「何々? 暴力反対! 大声出しちゃうかも」
うッ…… こいつ相当やり辛い。 まったく反省もしてないしこの態度……
「周ちゃんもう行こう?」
吉原は力任せに俺を引っ張った。
「ばいび〜ッ!」
そんな俺達に藤崎は笑顔で手を振った。
「ね? 話通じそうにないでしょ? それに周ちゃんに何かあったら私嫌だし」
「だけどあいつ悪びれた素振りも何もない。 なんなんだ?」
「よくわかんないけど…… もう私の事なんて眼中にないみたいだし。 それに今日は周ちゃんと一緒に居たいから邪魔されされたくないし」
まぁ吉原にとってはそうだろうけど。 吉原は気を取り直して違うゲーセンへ行きその後は楽しんだ。




