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そんな事があってからだんだん私への嫌がらせはエスカレートしていった。 私は2人にはどうって事ないように振舞っていた。



だけど私はそんなに強い人間じゃない、帰ってからはずっと泣きっぱなしだった。



周ちゃんとサヤちゃんにはそんな素振りは見せちゃいけない。 見せたら2人と気不味くなりそうで。 サヤちゃんも自分のせいだと気にしちゃうかもしれない。



でもカッターの刃を仕掛けられた時は流石にその場で泣きそうになって逃げちゃった。



周ちゃんが追いかけて来てくれて嬉しかった。 挫けそうになっても周ちゃんが居てくれると思えば……



でもそんな私の甘えのせいで結局はどんどん気不味くなってしまう。 サヤちゃんは周ちゃんの事が好き。 私も周ちゃんの事が好き。



恋敵みたいなサヤちゃんだけど私はサヤちゃんがいじめられたりするのも嫌。 私って欲張りだ……



そしてなるべくしてなってしまった。 私はまた周ちゃんに弱音を吐いた。 思わず周ちゃんの事が好きと言いそうになってしまった。



そこでバッタリとサヤちゃんが居合わせてしまう。 しまったと思った、全部自分から壊してしまいそうになる自分に。



サヤちゃんは先輩2人に私が絡まれてた時怖くなってしまって何も言えない私の代わりに周ちゃんを守ろうとした。 何も出来ない自分よりサヤちゃんの方が私より周ちゃんの事が好きって想いが上なんだ。 そう思った私は自分の気持ちを押し込めた。



私達から離れていくサヤちゃんに私は周ちゃんに追い掛けてと言った。



言ったはずなのに私の心の中では行かないでと叫んでいる。 気持ちを押し込めたと思ったのはなんだったの?



バカみたい私。 サヤちゃんを守ろうとしてサヤちゃんに嫌われて、まりえ達からも遠ざけて…… 周ちゃんには本当の自分の気持ちも言えない。 周ちゃんとサヤちゃんがくっついちゃうのも見てられない。 何がしたいの? 私は。



ああ、私って偽善者なんだ。 どこかで誰か助けてくれるかもしれないって思ってたんだ。 周ちゃんが…… 周ちゃんがそれでもついていてくれるって。 私が何も言わなくても周ちゃんはって。



そんなの私の勝手な決めつけだ。 きっとサヤちゃんと周ちゃんはくっついちゃう。



私の予感は当たり2人はお互い好きと伝えた。 私にはもう2人とは超えられない壁が出来ちゃったな。



諦めよう、そう思った。 そう思った途端私は心の支えがなくなった衝動に駆られ怖くなった。



私は耐えられなくなってまりえ達に謝罪した。 なんて弱いんだろう私は。 そんな自分勝手な私にまりえ達は私の事を許してくれた。



まりえ達は私から話を聞いてすぐに動いた。 私から言ってくれて嬉しかったんだと……



でも違うんだ。 それは私が周ちゃんって支えがなくなって縋る思いでまりえ達に泣きついただけなんだ。 自分から藤崎さんにわかったと言っておいてこのザマだもん。



まりえ達と藤崎さん、西岡さん達の所へ行くと藤崎さんはもう私には興味がなくなっていたのか白けた態度だった。



そんな事言ってたっけ? なんてとぼけられたが西岡さん達とは結構言い争いになった。



「藤崎はよくわかんないけど西岡と及川のバカは敵意剥き出しだから気を付けなさいよ? 芽依」


「そうよ、あっちは実際に被害出して来てる方なんだから私達と一緒にいなよ? 渡井なんて頼れないんだから。 ていうより渡井のバカも芽依がこうまでなってるっていうのに」


「それは…… 私が話さなかったし何よりこんな事に突っ込んで欲しくなくて」


「だったら私らが一緒についてってあげるから伝えたら?」


「だ、ダメ! 周ちゃ…… じゃなかった。 渡井君とサヤちゃんには知られたくない……」


「あんた…… あんたもバカだわはぁ、わかった。 そこまで言いたくないなら好きにしなさいよ? でも私らは芽依の味方だから」


「芽依のしてる事間違ってるよ? いい事してるように思えるけど一ノ瀬の事…… まぁいいわ。 芽依はいっぱい悩んでたんだもんね、まりえの言う通り私も芽依の味方だよ」


「ありがとう。 まりえ、由紀」



由紀の言いたい事はわかってる。 私サヤちゃんの事バカにしてた、そんな風に思ってないけど私の勝手な偽善で頼まれてもないのにこんな事してサヤちゃんにも周ちゃんにも心配されて挙句の果てには私が参っちゃってる。



だから尚更言えない。 引っ込みがつかなくなって全部が悪循環、私ってまりえの言う通り本当バカだ。



それで周ちゃんにもついに言っちゃった。 呆れてるよね……



周ちゃんを見るとキョトンとして私を見ていた。 ううん、見ていたのは私の後ろ側だった。



「一ノ瀬…… お前ずっと聞いてたのか?」


「え!? サヤちゃん?」



振り向くとそこにサヤちゃんが居た。 なんで? 周ちゃんが連れて来たの?



「えっと…… あの…… ちょっと芽依ちゃんが気になって」



気になって? あ…… 私今日渡井君じゃなくて前みたいに周ちゃんって呼んじゃってたから?



そんなのどうだっていい! サヤちゃんにまで聞かれた?



「あ、あのね。 サヤちゃん、今の話はね……」


「芽依ちゃん、藤崎さんの事本当?」


「あ…… 」


「本当?」


「………… うん。 ごめん」


「なんで?」


「え?」


「なんで芽依ちゃんが謝るの?」


「だって私…… 余計なお節介して、みんなの事困らせて、心配させて友達だなんて言って本当の事何も言えなくて…… だからごめんなさい」



私はサヤちゃんに頭を下げて謝った。 すると後ろから肩をポンと叩かれ顔を上げると周ちゃんだった。



「本当バカだよな。 一ノ瀬もバカだけど吉原はもっとバカだったんだな」


「周ちゃん…… わッ!!」



途端に前から衝撃が走ったかと思ったらサヤちゃんに押し倒されていた。 顔に何か落ちて来たかと思うとサヤちゃんの涙だった。



「周君の言う通りだよ…… 芽依ちゃんのバカ! バカ! バカ! ふえッ、ふえぇぇんッ!」


「ば、バカ! こんなとこで大声で泣くな! 通報されんだろ!」


「だ、だって芽依ちゃんがずっと苦しい思いしてたのに何も話してくれなかったから…… 私がこんなんだからッ、うわぁぁあんッ!」


「吉原! さっさと一ノ瀬持ち上げてどっか行くぞ! マジで通報される! 泣き止ませろッ」


「ええ!? 泣き止ませろって言われたって…… さ、サヤちゃん、ごめん、ごめんね? 私もう隠してる事ないから。 ね?」


「嘘つき! うえええんッ!」


「そ、そんな…… 」


「おい一ノ瀬、頼むから静かにしてくれ!」



それでもサヤちゃんは泣き止まない。 私もう全部話したのに。 そう思った時ハッとした。 サヤちゃんにはハッキリと…… そう、サヤちゃんには面と向かってハッキリ言ってない事がまだあった。



「サヤちゃん、私周ちゃんの事が好き」



その瞬間サヤちゃんはピタッと泣くのをやめた。




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