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07


次の日、俺は吉原に昨日の事を謝ろうと思った。 思ったんだけどやっぱりこういうのって苦手だ。



それに俺が吉原に話し掛けるのは難易度が高い、ここは吉原から話し掛けてもらいたい。 自分でもかなり勝手な事を言っているとは思うけど俺なんかが吉原に話し掛けたら逆に誰か居たら変に思われそうだし……



というより昨日の事で吉原が俺に愛想を尽かしている可能性だってある。 どう見たって昨日の俺の行動は嘘だとバレバレだし。



今からこんなんで大丈夫か? てかなんでこんな事で悩まなきゃいけないんだ…… いや、俺のせいだとわかっているけど面倒くさい。



こんなに悩むなら吉原なんて助けるんじゃなかった。 まぁ巻き込まれただけで助けたつもりもないのだけど。



でもその事がなければ吉原みたいな可愛い子に気に掛けてもらえるなんてなかったよな、吉原と俺とじゃ全く釣り合わないけど。



どうしたもんかと考えているうちに学校に着いてしまった。 教室に行くと一ノ瀬はもう来ている。 俺が来ると遠慮がちに俺を見て引きつったような笑顔を見せる。 なんだよそれ……



次に吉原を見るとさりげなく俺を見ている…… ような気がする。 昨日の今日で目が合わせ辛い。



とにかく教室とかでは話し掛けてこないだろうな。 そんなに聞かれたい話でもないだろうし。



「おい、周人! 昨日は見せつけちゃってくれてまぁ!」



げ…… 伸一の奴が来やがった。



「なあ昨日のあれ、詳しく聞かせろよ!」



内容が内容なので詳しく話せるはずがない。 吉原も関係してるとなれば尚更……



吉原の事で頭がいっぱいでこいつに対する言い訳を考えてくるのを忘れていた。 そしてなんか他からも視線を感じ、目線だけ動かし、さりげなく吉原を見ると伸一の声が聞こえたのか聞き耳を立てているような気がする。



普段ならそんな事思っていると俺って自意識過剰気味じゃね? うわぁ〜なんて思うんだけど。



でも考えようによっちゃ見てるって事はまだ愛想を完全に尽かしてるわけじゃなくて謝れるチャンスもあるって事だよな?



自分に都合のいい考えを張り巡らせているとグイッと肩を揺さぶられ思考がストップする。



「おいシカトかよ? それともそんな答えられないような関係だったのかお前ら? 聞いてねぇぞ俺!」


「いや、昨日も言った通りたまたまだって。 変な深読みとかやめろよ? お前がデカい声で話すから一ノ瀬にも聞こえるだろ」



俺は静かに伸一に言い聞かせるように言った。 伸一はニヤリと笑う。



「まぁデカい声で言ったのはわざとだけどな、そんなに一ノ瀬の事を気遣うなんてひょっとしてひょっとしたりして? ほれ、一ノ瀬がこっち見てるような気がするぞ?」



こいつ確信犯かよ。 一ノ瀬も引っかかるなよ……



「とにかく! なんでもないんだよ、俺の事大体わかるだろ? 友達も少ないしそんなに愛想も良くないし」


「お〜、しっかり自己分析出来てるじゃん。 でも彼女とか出来そうにもない奴に俺だってそんな事言わねぇよ。 周人って友達も少ないし愛想も良くないけど見た目はまずまずなんだからな」


「それって褒めてんの? 貶してんの? まぁどうでもいいけど一ノ瀬とは友達って事で」


「は? マジで!?」



伸一がまたデカい声で言ったので襟を掴んで静かにしろと目で物を言ってみた。



「あ、悪い悪い。 てか一ノ瀬と友達? 正気か? あんなオタクっぽくて地味で暗そうな一ノ瀬と? お前大丈夫? 類は友を呼ぶって奴?」


「おい、さりげなく俺の悪口も言ってんじゃねぇよ。 俺が言えるのはもうこれで終わりだ、友達だってわかって満足だろ?」


「へぇ〜、まだ納得いかねぇけどあの一ノ瀬と友達ねぇ。 まぁ面白かったから満足したわ」



ようやく伸一から解放された。 これでまた変な所見られない限りは大丈夫だとは思うけど。



伸一と話し終わった頃には吉原は教室から居なくなっていた。 まぁそんなもんだろ。



そして昼休みになって今日は売店でパンでも買って食べようと思い廊下を歩いていると吉原と吉原の友達2人が正面から歩いてきた。 なんかよくわからないけど気不味い……



だが吉原はこちらをチラッと一瞥すると俺の横を通り過ぎた。 それで俺が何事もなかったと変にホッとした。その時……



「渡井君!」



通り過ぎたはずの吉原の俺を呼ぶ声にビックリして振り返る。 吉原の友達2人も俺と同様に驚いていた。 何故にこのタイミングで……







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