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「ふい〜、お風呂にまで入っちゃった。 芽依ちゃんの家で」
「ううん。 それより制服ごめんね? 私ので悪いけど使ってて。 それよりサヤちゃんが私と似たようなスタイルで良かったよぉ」
「あわわ…… 芽依ちゃんの制服大事に扱います」
「んふふ、次は一緒にお風呂とか入ろうね? サヤちゃん」
「ひええ、それはご勘弁を…… 恥ずかしや」
「女同士だろ、一ノ瀬だって」
「だって芽依ちゃん綺麗だし私の醜態を見せるわけには……」
「そぉ? サヤちゃんなかなか良い身体してるよぉ〜? ほらほら!」
「ちょッ!? あははッ、め、芽依ちゃんやめて、あははは」
吉原はその後一ノ瀬とじゃれ合っていたが時間が時間なので俺達はそろそろ帰ろうとなった。 まぁその後また俺は吉原の家に戻る事になるけど……
「じゃあね。 周ちゃん、サヤちゃん」
「ん?」
「どうした? 一ノ瀬」
「あ、え? ううん。 なんでもない、今日はありがとうございます芽依ちゃん」
そして俺と一ノ瀬は一緒に帰り道を歩く。
「はぁ〜、すっかり遅くなっちゃったねぇ。 それに芽依ちゃんの制服借りちゃったし」
「お前って…… まぁいいか。 ほら、着いたぞ。 また明日な」
「うん。 周君もきをつけて」
一ノ瀬はしばらく俺が見えなくなるまで立っていた。 そして回り道をして俺は吉原の家へと引き返す。
ドキドキしてきた。 吉原はどんな事を話すんだろう? そして俺はそんな吉原の話す事に対してしっかりと受け止めてやれるだろうか?
そんな事ばかり考えているとあっという間に吉原の家に戻った。
携帯で吉原に電話してみる。
「着いたぞ吉原」
「…… あの…… やっぱり今日はやめとかない?」
「はぁ? なんで?」
「なんとなく…… なんとなくなんだけどちょっと今日は」
「いやいや、もう来ちゃったし」
どうしたんだよ? 吉原らしくもない。 でも今日今ここで話してもらわなきゃ!
「吉原、お願いだ」
「…… わかった。 じゃあ今から出てくね」
数分待っていると吉原の家の玄関がそっと開いた。
「待たせてごめん」
「ん、いいよ」
「ちょっと歩かない? この先に公園あるんだ」
「わかった」
こんな時間に吉原と2人きりか。
「あ、親とか大丈夫なのか?」
「うん、お風呂上がった時にもう寝るねって言っておいたし大丈夫じゃないかな」
「そっか」
「うん」
ちょっと歩くと公園らしきものが見えてきた。 あそこの事かな?
「ほら、着いたよ。 近いでしょ?」
吉原は指差してそう言った。 公園に入ると近くにあったブランコに吉原は座った。
「周ちゃんも座りなよ? 久し振りにやると結構楽しいかも」
「うん? まぁいっか」
俺もブランコに座り漕いでみた。 まぁ久し振りだなぁという感じはあるけど。
「ごめんね、早く話してほしいよね?」
「え? あー、まぁ……」
「はぁ、だよね。 なんでこういう事になっちゃったんだろね? あはは」
吉原は自傷的に笑い今までの事を話し出した。
「私ね、西岡さん達に目を付けられてたみたいだけど…… 本当はね、本当は…… 藤崎さんなの」
「え? 藤崎って一ノ瀬と同じ美術部員の?」
「うん、その藤崎さん」
「だってお前藤崎とは前に俺と一緒に会った時初めてみたいな……」
「あれは…… 藤崎さんがそんな感じだったから私もただ合わせてただけ。 私もちょっと戸惑ったけど」
吉原は溜め息を吐きブランコから立ち上がり言葉を続ける。




