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なんだか逃げるように帰ってしまった吉原。 紅茶も飲みかけ、ケーキも食べかけだ。



はぁ〜、こんなとこにいつまでも居ても仕方ない。 入った時は結構いいとこだなぁと思ったけど吉原がいなくなった途端急に居心地が悪くなってきた。



帰ろう。 どこか行こうと誘ったのは俺なわけだし吉原が渡したお金には手を付けずに俺が払って後であいつに返そう。



レジで会計をさっさと済まし帰ろうと来た道を戻っている時3、4人の人影が……



その中にさっき帰ったはずの吉原の姿が。 それだけじゃない、他にも何人か……



あれは西岡と及川だ。 それと見掛けない男子1人…… 誰だ?



だけど吉原は少し困っている様子なので俺はそいつらの元へそっと近付いた。 話し声が聞こえるまで。



「いーじゃん? ほら、一緒に」


「私これから帰るんで」


「はぁ? このまま帰れると思うなよ吉原。 最近篠原達と仲直りしたからって調子こいてんじゃん」


「調子になんか乗ってない」


「あー、だったら当初の予定通りやっちゃおっかなぁ?」


「だ、ダメッ! わかった…… わかったから」



何話してんだよ? 途中からだからよくわかんねぇ…… でも吉原の奴相当困ってるし。 何よりなんか嫌な予感しかしない。



「吉原」


「渡井君? え? 」


「はぁ? なんで渡井まで来んだよ。 吉原1人と思ったのに」


「野郎出てきたじゃん、何こいつ彼氏?」


「ああー、ウケる事に吉原こいつにフラれてやんの」



横に居た見掛けない男子が西岡に尋ねる。 そして吉原が何故か俺にフラれた事になっていた。



「渡井君なんで来たの?」


「なんでって言われても……」



うーん、思わず出て来たのはいいけど穏便に済ませてもらえないだろうか?



「あー西岡、俺ら帰るからもういいか?」


「はぁ? 渡井はどうでもいいけど吉原置いてけよ、私ら吉原に用あんだから」


「そうよ、私らの方が先に吉原に話し掛けてたんだから」


「めんどくせぇよ。 こいつも一緒に来させればいいじゃん? 別に悪いようにはしないんだし」


「はぁ? あんた吉原にデレデレしてんでしょ!?」


「だってこんな可愛いの滅多に居ないぜ?」



なんかこいつら3人であーだこーだ言ってるうちに退散した方がいいよな? 俺ってこういう場面でいつもやられてばっかだし吉原も居るし。



「吉原今のうちにさっさと行こう?」


「え?」



俺は吉原の手を掴んで西岡達に背を向け走り出した。



「あ! てめぇ渡井! どこ行くんだよ!? こら!吉原!」


「悪い! 帰るって言ったろ!」


「ちょッ! 渡井君!」


「お前脚めちゃくちゃ速いんだから走れ! ほら!」


「…… バカ」



吉原は俺に並んで速度を上げた。 本当速いな、俺が引っ張って行かれそうだ。



「こら待て! 吉原!」



どんどん西岡達の声が遠くなっていく。 どれだけ走ったろう。 俺達は河川敷にある橋の下へ来ていた。



「はぁ、はぁッ…… 相変わらず速いな吉原は」


「でしょ? 逃げ足は速いんだ私…… はぁ〜。 逃げちゃった」



吉原はペタンとしゃがみ込んだ。



「なんで来ちゃうかなぁ。 周ちゃんは…… あっ」



吉原は思わずいけないと口を手で塞いだ。



「なぁ吉原、変に遠ざかるのやめろよ。 言わないけど一ノ瀬も気にしてるぞ? 俺もだし」


「だって…… 私邪魔だし」


「そんな事一言でも俺ら言ったか? 」


「………… いいの?」


「お前、前の一ノ瀬みたいだな」


「え?」


「一ノ瀬に言ってただろ? 一緒にいていいんだってお前自身が」


「あ…………」


「だから変に避けるなよ?」


「………… ありがとう渡井君。 そんな風に言ってもらえてとても嬉しい。 だから少し甘える」


「え?」



吉原が急に俺に覆い被さり押し倒した。 そして吉原の胸が俺の顔にムニュッと触れたかと思ったらおでこにキスされていた。



「へ?」


「…… また助けてくれてありがとう、フレンドキスだよ」



吉原はニコッと笑ってそう言った。






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