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そして次の日……
俺は一ノ瀬に好きだと伝えそれと同時に吉原の事も好きなんだと気付いた。
一ノ瀬の事が解決してなんやかんや担任に注意を受け、教室に戻ってくると吉原は机に座っていた。
一ノ瀬はどうにかなったんだけどそのお陰で吉原の事は依然として終わってない……
なんて声掛けていいものか。 すると俺の隣に居た一ノ瀬が吉原に向かって行った。 俺も行かなきゃと思い吉原の所へ行く。
「芽依ちゃん…… さっきは本当に本当にごめんなさい」
「あはは、ううん。 いいよ、私がバカだったよ。 サヤちゃんの気持ち考えたら当然だよね」
吉原はまたなんでもないよという感じに答える。
「え? だって…… 芽依ちゃんは」
「ううん。 いいのいいの。 それで? どうだったの?」
「ええと…… それは……」
一ノ瀬が先程の事を思い出したのか顔が真っ赤になる。
「そっかぁ…… 上手くいったんだね? その顔見ればわかるよ、良かったねサヤちゃん」
「…… う……ん?」
「サヤちゃんを大事にしないとダメだよ? 渡井君!」
「「え?」」
渡井君…… 以前の呼び方に戻ってる。 どうしてだ? 俺と一ノ瀬はその渡井君に引っかかった。 一ノ瀬はそのままなのに……
それは俺の事はもう嫌いになってしまったのだろうか? いや、まぁ俺なんて失望させてしまう事ばかりだったけど。
一ノ瀬と俺の事を邪魔したくないと思ったのか? でもその日の帰りも吉原は普通に俺と一ノ瀬に接してきた。
ただ呼び方と同時に今までとは少し距離があったように感じた。
まぁ俺1人で考えてもわかるはずないか。 一ノ瀬もなんか吉原の事心配してるようだし……
まぁそれはそれとして昨日の帰り一ノ瀬からデートをしてみたいという誘いがあった。
デート…… マジか、一ノ瀬とデートとは。 まぁお互い好きってわかったんだしそうなんだろうけどデートっていざ言われると変な感じだ。
経験がないからなぁ。 何をすればいいんだろ? 一ノ瀬もどこ行きたいんだ? デートしようってなってそれだけだもんな。
いまだ一ノ瀬から連絡ないって事は寝てるのか? あいつならありえる。 そういう時こそ寝坊したりするもんな。
仕方ないな…… 俺は準備だけはしていつでも行けるようにしておくか。 そう思い支度が終わった頃、電話が掛かってきた、案の定一ノ瀬からだ。
「ご、ごめんなさいッ!」
「ああ、大方眠れなくて寝坊したんだろ?」
「へ? …… 当たり」
「もうそれテンプレ化しつつあるぞ? 俺は支度ちょうど終わったから一ノ瀬もまだ行く気あるなら……」
「あ、ある! 大ありです!」
被せ気味に言ってきた。 こりゃ相当慌ててるな。
「わかったわかった。 じゃあゆっくりお前の家に向かうからその間準備してろよ?」
「は、はい!」
慌てぶりが目に浮かぶ。さて吉原は…… って何思ってんだ俺は?
あいつは今日いないし俺と一ノ瀬がデートなんて知らないのに俺は吉原も一緒にいる気になっていた。
3人で行動する頻度がかなり多かったから? 一ノ瀬の告白で今までよりずっと吉原の事が気になってしまったから?
バカだなぁ俺は。 そんな風に考えてたらせっかく俺に告白した一ノ瀬だってよく思わないだろう?
一ノ瀬はきっとこうなるかもって思ってたから気持ちを隠してたんだ。 でもあいつは俺に聞かれて覚悟を決めたんだ、俺もそう思わなければいけない。
だから吉原だって身を引こうとしたからあんな風な態度だったんだと思う。 吉原が何を考えているか俺にはわからない? 違う、わからないふりをして俺は逃げてるだけだ。
そんな事を考えているとゆっくりのつもりがもう一ノ瀬の家の前まで来てしまっていた。
…… ここで待ってるのも怪しいしこの辺ぐるっと回ってこようかな? そう思った時ガラッと窓が開く音がする。
「周君!? も、もう来たんだ? だ、騙された……」
「……ああ、悪い。 つい早足になっちゃってたみたいだ」
「…… そんなに、そんなに急いで来てくれたの?」
あれ? 一ノ瀬なんか勘違いして照れてる……
「えっと…… うん、そんなとこ」
「ああ! ええと、ええと! 」
一ノ瀬は窓を閉めた。 そして玄関越しからもドタドタという足音が聞こえ玄関が開いた。
「おはよう…… ございます」
「おはよう」
「あの…… それじゃ入って?」
「いいの?」
少し寝癖がついてた一ノ瀬は恥ずかしそうにコクンと頷く。




