49
次の日になり通学の途中一ノ瀬の家をまた通り掛かるが昨日みたいに偶然バッタリ出てくるわけもなく学校に着いた。
吉原ももう来ていた。 相変わらず最近はポツンとした感じだけど変な噂聞いた男子には話し掛けられているようだ。なんとかあしらってるがとても迷惑そうだ……
「よう周人。 昨日既読スルーしやがって」
「おはようクソ野郎」
涼しい顔した伸一が話し掛けてきた。
「なんだよクソ野郎とは? 」
「お前なぁ、吉原と夏休み何回か遊んでもらってたくせに吉原のいい加減な噂鵜呑みにするとかって最低だぞ?」
「そりゃあ確かに遊んだけどさ、吉原が何やってるかなんて俺知らないし。 人の事最低とか言う前にお前も似たようなもんだと思ってたけどな。 我関せずで」
確かに俺も自分はそういう部類の奴なんじゃないかって思ってたし今もそうかもしれないって思ってるけどこいつよりはマシだと思いたい。
「てかさ、お前もしかして吉原とやったの?」
「はぁ? 何言ってんのお前? んなはずないだろ」
「なんだ、してないの? だからそこまで庇ってんのかと思った」
するとこちらに吉原がやって来た。 え? 今の話聞こえてたとかじゃないだろうな?
「伸ちゃん」
「え? 俺?」
予想外に伸一に話し掛けた吉原。 そしてさっきまで吉原の事コソコソ言ってたくせにいざ吉原に話し掛けられるとニヤニヤしただらしない顔になる伸一…… なんだこいつ?
というより「伸ちゃん」なんて呼んでやらなくていいよこいつは。 クソ野郎がお似合いだ。
「あのね、昨日サヤちゃん私達が居なくなった後どんな感じだったかな?」
「一ノ瀬? ああ、まぁこれといって変わった所は…… まぁ元気はないように見えたけどそう言うといつも元気はなさそうに見えるけど」
うん、まぁなんとなく言いたい事はわかる。
「そっか…… ありがとね」
吉原はニコッと伸一に微笑む。
「おう」
やはり悪い噂飛ばされても吉原は可愛いせいか伸一はまただらしない顔で返事をする。
ある意味器用な奴だな……
そうして俺にもニコッと笑って吉原は自分の席へと戻って行った。
「いやぁ、やっぱこう見ると吉原は相変わらず可愛いな。 噂が本当でもありゃモテるのは変わらないはずだ」
「お前って…… もういいや」
こいつはどうしようもないな。 それはそうと一ノ瀬か。 なんか一ノ瀬だけ置いてけぼりみたいな感じだったからあいつはあいつなりに結構ショックだったろう、謝らなきゃな。
気になるのはさっきLINE送ったんだが既読にならないんだよなぁ。
だが一ノ瀬は朝のHRになっても学校へ来る事はなかった。 休み時間になりチラッと心配そうな顔で吉原は一ノ瀬の席を見た。 まぁ一ノ瀬の事だから昨日の事で考え込んで眠れなくて寝坊…… とかだったりして? なんて事はないか。
「あー、吉原のせいで一ノ瀬休んじゃったじゃん」
「そうだねぇ。 でも吉原的にラッキーじゃね? 自分を脅かす存在が休んでるんだもん」
「確かに!」
そしてクスクスと教室から笑い声と陰口が聞こえる。
そんな中、吉原は席を立ち廊下へ行こうとすると……
「逃げんなよ? 吉原ぁ」
なおも絡む西岡達。 そんな西岡達に吉原が向き直ろうとした所、バン! と扉が勢いよく開いた。 そこには篠原と西条が居た。
そして一斉に2人に視線が集中する。
「あ、ごめん。うるさかった?」
西条はそう言って篠原と席に戻った。
「うるっせぇなぁ、扉くらい静かに開けろよ」
西岡がそう言って吉原に視線を移そうとした時にはもう吉原はそこには居なかった。
チッと西岡はつまらなそうな顔をして及川と話していた。
吉原が言ってた通り篠原と西条は吉原にあんな事言われても吉原の事心配する良い友達なのかもしれない。 だってワザとだよなあれって。
だったらちゃんと仲直りしてやればいいのにと思うけど…… 女子同士はよくわからない。
お昼になり俺は教室から出て売店に行こうとしたら吉原がコソッと俺の前に現れた。 少し元気ない感じだ。
「なんだ吉原か」
「周ちゃん…… サヤちゃんにLINE送っても返事ないんだ、既読にすらならないの」
「ああ、お前もか」
「周ちゃんも?」
「朝送ってみたんだけどな」
「周ちゃんにも返事こないっておかしいよ」
「なんで俺だとおかしいの? どっちかって言うと吉原の方が話しやすいんじゃない?」
「…… 私は…… サヤちゃんにとって………… ううん、何言ってんだろ。 とにかくおかしいよ」
「そんなに気になるんだったら一ノ瀬の家にでも2人で行ってみるか? そっちの方が簡単で早いだろ?」
「だったら周ちゃんが行った方が……」
「はぁ? 1人で一ノ瀬の家に行くのは勘弁な、俺男だし」
まぁ…… コミケ行った時は行っちゃったけど。
来ると思ってた一ノ瀬が来なくて謝るにも謝れずため息を吐いた。




