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吉原とお昼ご飯を食べ終え洗い物をしようとキッチンの方へ行こうとすると……



「いいよ周ちゃんは座ってて。 わがまま言って周ちゃんの家に来てお金まで使わせちゃったからこれくらい私がするよ」


「そうは言っても作ってもらったしなぁ。 それにあの吉原の手料理だし」


「その私も今は堕ちるとこまで堕ちちゃったけどね。 …… あ」



何気なく言ったつもりだったんだろうけど俺も何気なく気不味い事言ってしまった……



少しピシッと空気が弾けるような気がした。



「ごめん、そういうつもりじゃ」


「いいの。 今の私にそんな事してもらいたい人なんて噂を聞いて…… それもないか、だって私って」


「いいからやめろよ」


「…… ごめんなさい。 気にしないって言ってる私がこんな事言ってるようじゃ気にしてるって言ってるようなもんだね」



吉原のはもう気にしないってレベルじゃない。 悪口だけならともかく今日みたいな嫌がらせもあるし。



「せっかく周ちゃんの家に来てるんだもん、忘れて楽しまなきゃ!」



吉原は退けと言わんばかりに俺を押し退け鼻歌を歌いながら皿を洗い出した。



「周ちゃん、今日は周ちゃんの夕飯作ってから帰るね?」


「え? 夕飯まで作るの? いいのかよ?」


「うん! 任せて」



なんか同級生だと忘れて何も考えずに見ていると母さんみたいだなぁ吉原って。いないからよくわかんないけど。



「よし、洗い物終了っと」


「お疲れ。 じゃあ悪いからあとは適当に寛いでくれていいけど?」


「私もそうは思ったんだけどコンビニのご飯といい周ちゃんはなんだか目も当てられないような生活してそうで気になるなぁ」



吉原がキョロキョロとリビングを見て回る。 落ち着かない…… 自分の家をそんな風に見て回られると。



「ほらぁ〜、裏とかに埃溜まってるよ? あ、ここにも! 掃除とかちゃんとやっておかないと女の子に嫌われちゃうよ?」


「余計なお世話だ。 別に誰も来やしないし」


「私が来てるじゃない? それとも私を男の子だと思ってるわけ?」



掃除とか別に見えない所はいいじゃないか? いきなり来たいとか言ってたのお前だぞ?



「あ、またウザそうな顔してる! ますます掃除したくなってきた」


「なんでそうなるんだよ!? 寛いでてくれよ」


「いいから! 周ちゃんは部屋にでも行ってなさいって! あ、この調子だと部屋も汚そう……」



勘弁してくれよ。 でも落ち込んでるよりはいいか。 俺は仕方なく吉原に掃除用具の場所をおしえ部屋へ上がっていきしばらくすると掃除機の音が聴こえてきた。



今度はベッドに入り俺はウトウトしだす。 吉原の奴今は楽しそうだけど明日行ったらまた今日みたいな事になるのかな?



そんな事を考えているうちにまた眠ってしまった。





んん…… うるさい…… 誰だよ?



「周…… 周ちゃん」



誰かと思えば吉原…… なんか結局寝てばっかだな。 さっきも起こされたし。



「さっきから目を離すと寝てばっかり! 寝る子は育つもほどほどにしなきゃね」



吉原はニヤッと自分の携帯の画面を見せた。 こいつ…… 俺の寝顔撮ってやがる。



「おい消せ」


「やぁ〜よ! だったら不用意に寝顔は見せない事、にししッ」


「貸せって」



再度吉原の携帯に手を伸ばそうとしたら体がベッドから落ち隣に居た吉原に覆い被さってしまった。



吉原は目をパチクリさせて携帯は手から離れていた。 取って消すなら今だけど吉原の目に釘付けになっていた。



だってこいつ無理してるってわかってるから悲しそうな目に見えてしまって。



「ええと…… 周ちゃん?」


「あッ、悪い。 考え事してた」


「考え事って…… この体勢のまま? 何考えたの?」


「…… つまんない事」



俺は起き上がり吉原も起き上がった。



はぁ。 どうかしてるな俺、普段いる家に友達とはいえ慣れない奴を入れるからこうなっちゃうんだ。



「何1人で自己完結したような顔になってるんですかぁ? つまらない事ってなんですか?」


「………… 吉原の料理美味しかったなって思い出してただけ」



面倒なので適当な事を言った。 だけど吉原は……



「そんなに良かった? だったらまた今度作りに来てあげちゃおっかなぁ」



少しムスッとしてたのが機嫌が良くなっていた。



「ほどほどにな。 てか勝手に部屋に入ったのかよ?」


「ノックはしたもん。 だけど返事がなかったし開いちゃったし仕方ないじゃん? てかここもお掃除しましょうねぇ」


「言うと思った」


「あー! そうだ、見られちゃマズいものとかないよねぇ? 例えば……」


「ないない。 言いたいだけだろ」


「ふぅん……」



それで思い出したけど携帯とか見られてなかったよな? まぁ見られてたとしたら今更そんな事思っても仕方ないか。 寝てた俺が悪いし。



その後部屋を掃除した後、夕飯にビーフシチューを作って吉原は帰って行った。



結局昼飯と夕飯と掃除しに来たようなもんだなあいつ。 少しは気が晴れてたらいいけど。 あとは明日一ノ瀬か……






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