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夏休みが明けて久し振りの学校に来る。 ダルいし憂鬱だ、なんせ昨日は学校が始まるからという事でナーバスになってあまり寝てない。
はぁ…… ずっと休みならいいのになと思い重い足取りで教室へ入る。 うん、いつもの学校だわ。
するとヒョコッと吉原が横から現れた。 もう来てたのかこいつ。
「おはよ! 周ちゃん」
「ああ、おはよう。 元気だなぁ、お前」
「そういう周ちゃんは欠伸なんかしちゃって寝不足?」
「…………」
「ああ! ウザいって思ったでしょ? まったく!」
吉原の挨拶は適当に済ませ自分の席へ向かう時一ノ瀬の席も目に入る。 あいつはまだ来てないか。 また寝坊とかしてたりしてな。
「それより! 何か気付かない?」
「え? 」
なんだろう? 何かあったのか? 別にいつものクラスだけど。
「違くて…… 辺りを見回すんじゃなくて私!」
「吉原? うーん」
吉原何か変わったのか? あ…… 少し髪切った? これの事か?
「髪切った?」
「正解! てかわかんなかったかなぁ? うーん……」
吉原は髪をくるくると指に巻き少しムッとする。
「あはは、ほらね! 私の言った通りじゃん」
篠原が吉原の肩に抱きついて残念!と言って頭を撫でる。
「何回か夏休みに遊んだのに…… 」
「あらら、ちょっと渡井! 芽依テンション下がっちゃったじゃない」
「ええ? 俺のせいかよ?」
「あーあ。 ほら芽依、行こう?」
「ちょっと待って! 周ちゃん罰として今日放課後になったら私に付き合う事!」
そう言って吉原は篠原達の席の方へ行った。 なんの罰だよ? しょっぱなからまったく。
席に着き外をボーッと眺める。 昨日まで夏休みだったのにな。 嘘みたいだ、吉原達や一ノ瀬と遊んだりしたんだよな、この俺が。
なんて思ってると少しクラスが騒ついている。 関係ないやとそのまま外を見ているとグイグイと腕を揺らされた。 なんだよと思うと伸一。
「お、おい! 一ノ瀬が!」
「え? あいつもようやく来たのか」
「そうだけどそうじゃないんだって!」
「はあ?」
伸一が小うるさいので騒いでいる教室のドア付近を見ると誰かを囲んでるみたいだった。
「何あれ? 」
「一ノ瀬が…… 進化した」
「は?」
お前もポ○モンみたいな事言ってんじゃねぇよと思い見てるとその中からオズオズと一ノ瀬が出て来た、出て来たんだが一ノ瀬は……
夏休みまで会ってた時は後ろに纏めてても少し野暮ったい髪型が綺麗に切り揃えられていてどこかの美容室でも行って来たんじゃないかと思った。 そして元が可愛い一ノ瀬の顔があらわになってもう隠すとか出来ない、前髪も切っちゃってるし。
こうして見ると改めて一ノ瀬は吉原に負けず劣らずの美貌を持っていたんだなと再確認する。
一ノ瀬は席に向かう時俺と一瞬目が合うとすぐ逸らし椅子に座った。
周囲からは「可愛い」とか「あれが一ノ瀬?」などの声がチラホラ聞こえてる。 ふと吉原を見ると吉原もポケーッとした顔で一ノ瀬を見ていたかと思うと立ち上がり一ノ瀬の方へ行った。
「な? ビックリだろ? 前から可愛いと思ってたけどありゃ段違いに可愛くなってる」
前からとか言ってお前が一ノ瀬の可愛さに気付いたの夏休みからだろ?
「すげぇな、吉原と並んでもまったく見劣りしてないぞ?」
「そうだな」
吉原と一ノ瀬は何を話してるんだろう?と思い耳を傾ける。
「サヤちゃん思い切ったね! 凄く可愛いよ」
「…………」
「うん! 本当だよ」
「…………」
吉原の声は聞こえるが一ノ瀬はボソボソ喋っているので何も聞こえない。 まぁ悪い感じではなさそうだ。 なんか最近一ノ瀬は吉原の話題出すと少し引っかかる気がしたけど。
「むふふ、クラスに激かわな女子2人っていいな」
「んな事かよ。 ハードル高くなったんじゃねぇの? 一ノ瀬の」
「あ! それもそうだ、くそッ!」
今まで陽の目を見なかった一ノ瀬は急に吉原と同じくもてはやされる事となった。 だけどそんなのは始まりに過ぎなかった。




