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さて…… なんだかよくわからないうちに吉原達と遊ぶ日になってしまった。 今回は伸一も居るので孤独な思いはあまりないけど。
駅で待ち合わせか。 時間もまだ余裕があるけど行っといた方がいいよな? 遅れたりすると吉原の奴うるさそうだし。
家を出て少し歩いていると一ノ瀬の家が見えた。 あいつはもう出掛けたかな? でも一ノ瀬の事だから夜中まで起きてて寝坊とかしそうではある。
なんて考えて一ノ瀬の家を通り過ぎようとした時ジャストなタイミングで玄関のドアが開く。
げ……? もしかして鉢合わせ?
やはり出て来たのはアッという顔をする。一ノ瀬でこいつも今から向かうようだ。
「えーと…… おはよう周君」
前に比べたら結構自然に話せるようになってきたな。 でもこの前のメラメラと燃える炎を見ていた一ノ瀬の姿が浮かぶ。
「お前も今から行くんだよな? じゃあ一緒に行くか?」
「え? う、うん。 あれ?」
というより今までと比べると自然でこの前の事もあったしそっちに気を取られてたけど今日の一ノ瀬長い髪の毛を後ろに纏めて思い切り素顔を出している…… スッピンなんだけどとても可愛い。
そしてその事につっこまれなかった一ノ瀬は逆に困惑していた。
「えーと…… 周君」
「あ、うん。 なんか今日は一ノ瀬思い切ってるな」
「や、やっぱり変かな?」
「いいんじゃないか? 吉原もそっちのがいいみたいな感じだったしさ」
「……そ、そうかな?」
でも確実に伸一は今の一ノ瀬を見たら騒ぎそうだけど……
「どういう心境の変化だ? あんだけ恥ずがってたのに」
「それは…… その…… 進化したんです……」
なんだよそれ? ポ○モンみたいだなこいつ。
そして駅に着くと吉原と伸一の姿が見えた。 ってあれ? 知らない奴らが…… いや、知ってるけどあれって吉原のいつもの友達2人だよな? なんで居るんだ?
「あ! 周ちゃん、サヤちゃん! こっちこっち!」
吉原は俺と一ノ瀬を見つけると手を振ってきた。 そして……
「お、おい! 周人! その隣のめちゃくちゃ可愛い子なんだよ!?」
さっそく予想通りというか…… やっぱり伸一は食い付いてきた。
「いつも見てるだろ? 一ノ瀬だよ」
「え…… い、一ノ瀬!? これが?」
いつも視界に入っていたはずだがこいつは一ノ瀬なんてまったく眼中になかったいい証拠だ。
「ど、どうも……」
「マジで!? こ、こんな隠れた逸材がすぐ近くに居たなんて…… お、俺伸一!」
とうの昔に知っているはずなのだが何故かこいつは自己紹介を始めた。 見事な手のひら返しだ……
「あ…… 一ノ瀬です」
「何お前も乗ってんだよ?」
「サヤちゃんイメチェン? うん! でもまぁこっちのがやっぱりいいね!」
「ていうか中村知らなかったの? 一ノ瀬達とよく居て」
吉原の友達がつっこんできた。 というか俺も何故お前らがここに居るんだ? と問いたい。 そんな俺を見た吉原が口を開いた。
「えっとね、まりえ達から周ちゃん達と遊びたいって言ってきたんだよ? だから仕方なく……」
「こら芽依! 仕方なくとか言うな! あー、えっとさ、今まで渡井達の事怪訝な目で見てた事は謝るよ。 芽依があんたらばっか贔屓するからちょっとムカついてたとこもあるけどさ。 芽依もそっちばっかに行ってるから私らもよくわかんなくてもしかして渡井が何か無理矢理芽依に何かしてるんじゃないかって」
「いや、流石にそれはないって」
「うん、芽依から話聞く限りではやっぱり芽依が渡井に迷惑掛けてるみたいだったし」
「何よそれ!? 迷惑なんか掛けてないし酷すぎ!」
「あはは、まぁよろしくね? 渡井、一ノ瀬。 今更だけど篠原 まりえ。 こっちは西条 由紀」
「まぁそんなとこ。 よろしく。 てか中村のノリで今更自己紹介しなくなってわかってるって」
西条はため息を吐いてさっさと行こうと促す。
一ノ瀬は吉原と伸一しかいないと思っていたのかオロオロしだす。
「落ち着けよ一ノ瀬。 別に危害加えられるわけじゃないんだから」
「こ、心の準備が……」
「一ノ瀬、何か困った事があったら俺に言え」
ここぞとばかりに伸一が一ノ瀬に向かってそう言った。 相変わらずだなこいつ。 一ノ瀬の素顔見た途端これだもんな。
「周ちゃん、ほら行くよ?」
吉原は俺の肩にポンと手を置きそう言った。
「うん? ああ……」
「あ……」
「一ノ瀬、行こうぜ!」
何か一ノ瀬は言いたげだったが伸一に絡まれた。 こりゃ今日は伸一の奴一ノ瀬にベッタリとくっついていそうだな……




