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電車に乗って少し拓けた街へ着く。 この前みたいに満員電車じゃなくて良かった。 都会の奴らは毎日あんな思いして通勤通学してるのかな?
なんてどうでもいい事考えていると吉原が着いたけどどこ行きたい? と聞いてきた。
「うーん、どうしようかな。 とりあえずゲーセン辺りでも行ってみるか? ていうか俺友達少ないだけにあんまりこういうのって慣れてないからよくわかんねぇ。 ましてや女がどこ行きたいとかな」
「それもそうかぁ。 でもまぁ周ちゃんのリクエスト通りゲームセンター行こっか。 いい? サヤちゃん」
「うんうん! それはもう!」
こいつ…… 急に話を振られたからみたいなリアクションしやがって。 まぁゲーセンなら一ノ瀬も悪くないはずだ。 部屋にゲームもいっぱいあったし。
俺が一ノ瀬の反応を観察していると吉原の視線を感じ半袖の裾をクイクイと引っ張られた。
「あ、ここがいいんじゃない?」
吉原が指差す方向に御誂え向きにゲーセンがあった。
「そうだな、ここにするか」
「ほらサヤちゃん、後ろばっかりにいないでさ!」
吉原が一ノ瀬の手を取る。 そしてゲーセンに入り中の様子を見て回る
「な、なんか新鮮……」
「ん? ゲーセンが?」
「ううん。 …… 周君と芽依ちゃんと休みの日にこんなとこに来るなんて」
「あはは、そうだね! 私もこのメンツだと確かに。 でもさ、もうちょっとで夏休みにもなるしその時もいっぱい遊ぼう?」
「芽依ちゃん……」
そしてゲーセンでUFOキャッチャーをやったり一ノ瀬が吉原にゲームを教えて一緒にやったりプリクラを撮ったりもした。
プリクラなんて正直従兄弟としか撮った事ないので実は俺も緊張していた。
その後カフェに行って食事をしてデパートを見て回って今日はそろそろ帰ろうかとなる。
そしてデパートの屋上の椅子で少し休憩を取っている事の出来事……
「あ、脚が棒のよう……」
「あはは、サヤちゃん運動不足! でも今日は楽しかったよ。 サヤちゃんは楽しかった?」
「わ、私こんな風に休みの日過ごしたの久し振りで…… むぐッ」
吉原が一ノ瀬のほっぺを摘んだ。
「楽しかったって聞いてるんだよ?」
「ひゃ、ひゃのしかったれすぅ〜」
「うん! よろしい!」
ニッコリと一ノ瀬に向かって微笑んだ。 そして吉原は俺の方を向いた。
「周ちゃんも可愛い女の子2人に囲まれて幸せだったでしょ?」
「まったく…… よく言うよ。 まぁそれなりにな」
「素直じゃないんだから」
そう行って吉原は俺の鼻をツンと突いた、その時。
「あれれぇ? 吉原じゃん?」
数名のチャラそうな男子と女子が吉原を見て話し掛けてきた。
「げ……」
「知り合いか?」
「中学の同級生…… ちょっと面倒な奴ら」
「あわわわ、あれが俗に言うパリピ……」
するとこちらに吉原の中学の同級生は向かってきた。
「え〜、偶然じゃん? 吉原も遊びに来てたん?」
「まあね」
「うわッ! もう1人の女の子も超可愛い! 何? 吉原の友達?」
「そうだけど?」
吉原の同級生は一ノ瀬に近付いて舐め回すように見る。 一ノ瀬はビビって硬直してしまう。
「やめなよ、迷惑なんだけど?」
「ははッ、悪い悪い、可愛いからついさ。 てかちょうどいいや、吉原も俺達と遊ばない? 大歓迎なんだけど。 そっちの子もさ。 てかその冴えない奴なんなの?」
「冴えない奴なんていないけど? 私の友達バカにしないでもらえる?」
多分ディスられるだろうと思ったけどやっぱりな。 確かに面倒そうな奴らだ。
「芽依、いいよ。 俺達もう帰ろうとしてたんだ、また今度誘ってくれよ」
「は? 誰もお前は誘うなんて言ってないけど? 何? もしかして吉原に遊んでもらって調子乗っちゃった? あ〜、残念な奴」
こいつ…… まぁ確かに俺は吉原と一ノ瀬に釣り合わないかもしれないけどさ。 すると一ノ瀬がガバッと立った。
「しゅ、周君は残念な奴なんかじゃないよッ」
「え? サヤ?」
「サヤちゃん……」
「え!? 何々? この子怒っちゃった?」
「あ…… えっと、その……」
一ノ瀬自身自分の行動にビックリしているようだった。 だけどそんな時、俺のほっぺにむにゅっと生温かい感触が……
気付けば吉原が俺のほっぺにキスしていた。
「え?」
「は!?」
「ッ!!」
吉原以外みんな目が点になり時間が止まったようだった。
「私達ってこんなに仲良いの。 あんた達居ると冷めちゃうから…… 行こ? 周ちゃん、サヤちゃん」
そう言って俺と一ノ瀬の手を取ってデパートの屋上から出た。




