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吉原と一緒にご飯を食べた次の日の学校、 何故か吉原は俺の席へと来て俺とお喋りをしていた。
「あははッ、何それ? おかしい〜」
「え? そうか?」
吉原はケラケラと笑って俺と話しているが俺は集中出来ない。 何故なら周りの視線がチラチラと俺に向けられているからだ。
視線を向けられると同時にヒソヒソ話も聞こえてくる。 そのほとんどが俺に対しての事だから尚更だ。 だけど少なからず吉原に対しても聞こえる、主に女子から。
吉原は気にならないのだろうか? まぁそんなの気にする必要ないと言ってたから気にしてないのだろうけど。
「吉原って渡井みたいなのがタイプなんだ? うわぁ……」
「あれのどこがいいの?」
「なんか似合ってない」
「てか昨日校庭で吉原が渡井とめっちゃ仲良くしてたの見たって奴いるよ」
「そぉいや渡井って一ノ瀬ともなんか仲良かったよな?」
「え? じゃあ吉原と一ノ瀬で渡井の取り合い? ププッ」
「取り合うほどの奴らでもないのにな」
「なんか芽依にも幻滅……」
聞こえるように言ってるだろお前ら? 吉原の文句もさりげなく入っていたので吉原を見ると笑いを堪えていた。
「吉原?」
「く…… ふふ…… ご、ごめん、なんかみんなの言ってる事おかしくて」
「よく笑えるな」
「だって勝手な事ばっかり言ってるんだもん。 みんなは私と一ノ瀬さんに渡井君を取り合って欲しいのかぁって」
「俺を取り合うとか悪い冗談にしか聞こえないけどな」
「ふぅん、そう? 」
吉原は一ノ瀬が教室に入って来たので今度は一ノ瀬の方へ行った。
吉原が行ったと思えば今度は伸一が俺のもとへ来た。
「おい! どういう事だよ、みんなの言ってる事本当か!?」
「本当かって言われたら誤解はあると思うけど…… 」
「だったら昨日の帰りお前と吉原が仲良さそうにしてるのはどうなんだ!? てか今の今まで吉原と仲良く話してたよな? 男と喋ってあんなに楽しそうな吉原なかなかないぞ?」
伸一がふざけんなよと言わんばかりにあれこれ問い詰める。 うわぁ……
「大体なんなんだよ? 一ノ瀬なんかと仲良くなったと思ったら今度は吉原まで。 お前にそんな魅力があるとは思えねぇ」
「別にただの友達だしそれ以上もそれ以下もないだろ? そんなに吉原と仲良くしたいならお前も友達になったんだし一ノ瀬の所に行って話に混じってくればいいだろ?」
「あ、そぉいやそうだな! 何が悲しくてお前の所に来たんだろ?」
「クソだなお前も」
そして伸一は一ノ瀬と話している吉原の所へ行ってしまった。
昼休みになって弁当を食べ終わりトイレへ行くと吉原と会う。 吉原は例の友達2人と廊下で話をしていた。
「あ、噂をすれば渡井来たよ芽依」
噂ってなんの噂してたんだよ?
「まったくまりえもすぐ流されるんだから。 そんなんじゃないって」
「芽依前からちょっと変だったじゃん。渡井の事チラチラ見てたり急に一ノ瀬とも仲良くなって」
「ああ、それはちょっと色々あってね」
「それに一ノ瀬ってオタクっぽいじゃん? もしかして芽依も実はそっち系だったの?」
「由紀までそう言うの? 一ノ瀬さんって結構可愛いしいい子だよ?」
「えー、ないわぁ。 一ノ瀬もないけど渡井もないわ」
こいつら本人目の前にしてよく言えるな……
「こら! まりえと由紀も友達だけど渡井君と一ノ瀬さんも私の友達なんだから私の目の前でバカにするのやめてくれる?」
「あー、はいはい。 とにかく渡井ラッキーだね。 芽依みたいな可愛い友達が出来て」
「そうそう、普通だったら見向きもされないような奴なのにね。 じゃあ私ら行くから。 お邪魔しちゃ悪いしねぇ」
スタスタと吉原の友達は教室に戻っていった。
「ごめんね? あの2人言いたい放題で」
「まぁそう見えるんだろうから仕方ないけどな、吉原も俺と居るとぼっちが移るかもしれないから気をつけた方がいいぞ?」
「あはははッ、何言ってんの? 私達友達なんだからぼっちなわけないじゃん」
俺と居ると吉原の評判もよろしくなくなりそうなので言ってあげたのに危機感ない奴だ。
もともと俺はぼっちなだけでそこまであれこれ言われる事はなかったんだけど吉原と仲良くなったらこれだもんな。 一ノ瀬の時は違う意味でうわぁ……という反応だったけどそこまでではなかったし。
「もしかして私って渡井君にとって迷惑?」
今まで明るかった吉原が悲しそうな顔をして言ってくる。
「え? そんな事一言も言ってないだろ?」
「なんか顔に書いてる」
「はぁ?」
「なんてね! 冗談だよ」
吉原は悲しそうな顔をしていたかと思えば一変、おどけてそう言って教室の方へ戻っていった。




