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「はーい、ここだよ。 私の行きつけのお店!」



吉原の行きつけの店…… キャトルという店か。てか小さい。 ここ客何人入れるんだろう? と思うくらい小さい店だった。



店の中へ入るとテーブルが3つ。 やっぱり小さい店なんだなぁ。 あれ? 店の人居ないのかなと思うとようやくこちらに気付いていらっしゃいと言われる。



「あ〜、良かった。 ひとつ空いてる席あるよ。 あそこ座ろう?」



そう吉原に促され空いてるテーブルについた。 すると女の店員さんが出て来た。



「芽依ちゃんいらっしゃい。 あら? そちらの方彼氏?」


「いやだなぁ、友達ですよ友達!」


「でも珍しいわね? ていうか初めてね。 芽依ちゃんが男の子連れて来るなんて」


「ちょっと色々あって」


「よくわかんないけど芽依ちゃん可愛いもんねぇ、そりゃあボーイフレンドの1人や2人居てもおかしくないわね」


「もう! からかわないでくださいよ」



俺からしてみたらなかなかに入って行きにくい話題だ。 こんなのは特に苦手だ……



「あはは、ごめんごめん。 珍しいからついね、後はそこのボーイフレンドと楽しんで。 決まったら呼んでね」



そう言って水を置いて厨房の方へ店員は戻っていった。



「はぁ〜、まったく。 今度は私がからかわれちゃったよ」


「まぁ俺とだから釣り合わなくて不思議で敢えてつっこんでたんじゃないか?」


「ええ? そんな風に思ってるの? ダメだよそれじゃあ。 釣り合うとか釣り合わないとかないでしょ? そんなんだから話し掛けるなオーラみたいなの出てるんだよ!」


「ははッ、なんか説教されてるみたい」


「あ……」



何かに気付いたのか吉原は俺の顔をジッと見た。



「ん?」


「ほら、今の感じだよ!」


「え? どんな感じ?」


「今みたいに笑ってみてよ?」


「ええ?」


「凄く可愛かったよ」


「可愛いって…… それって褒められてんの?」


「当たり前じゃん。 私の友達も言ってたでしょ? 渡井君って顔はまずまずなんだから今みたいに自然に笑うとぶっきらぼうな感じがなくなって可愛いよ?」


「ぶっきらぼうで悪かったな、俺はもともとそんな感じだよ」


「あー、ひねくれ者! うふふッ、まぁいっか。 さぁ、何食べたいか選んで」



そうして吉原は俺にメニューを渡した。 とりあえず……



「じゃあ日替わりメニューのマフィンサンドで」


「私は…… カルボナーラっと」



メニューが決まると吉原はさっきの店員さんを呼びオーダーした。



「それとキッシュを2つ」


「はーい。 じゃあ今しばらくお待ちを」


「…… 俺キッシュなんて頼んでないぞ?」


「うん、キッシュは私の奢りね。 逃げずに付き合ってくれたからね」


「それ大分根に持ってるよな?」


「そりゃあんなに邪険にされた事初めてだもん」


「邪険って…… でもまぁ吉原モテるだろうし当然か」


「ああ! それって私に対する嫌味? 意地悪だねぇ渡井君って。 ええ、まぁそれなりですけどね!」


「開き直りやがった……」


「ふふッ、あ、来たよ」



あれこれ喋っているうちに料理が来たので食べてみる。



「あ、美味しい……」


「でしょでしょ!? これくらい私も作れるようになりたいなぁ」



そして何口か食べると吉原がカルボナーラをフォークに巻いて俺に渡して来た。



「そっちも味見したいから私のもどうぞ?」



え? マジで? 俺がそれに口付けていいの? 吉原はさも自然だけど…… やっぱこういう所で非モテとの差が出るのかもしれない。 吉原にとってはこれはどうって事ない事なんだ。



俺が変に戸惑うと余計キモいかもしれないので吉原に合わせて平然とした態度をした方がいいよな……



「じゃあいただきます…… こっちも美味しい」


「だよねぇ。 じゃあ渡井君のもちょうだい?」



ここでも戸惑うとあれなので、はい、どうぞと渡す。 俺のはマフィンサンドなので千切って食べるのかと思えば吉原は普通にそのままパクッとかじった。



「うん、美味しい! 私的にはこっちのが好みかも。 ありがと」



そう言って吉原はマフィンサンドを俺に返す。 ふう、こんな事もさりげなく出来るから吉原はモテるのかもしれない。



俺からすればかなりハードルが高かった。 ていうか吉原の口を付けた所食べたら間接キスだなってカルボナーラ食べた時点でそうなっていか。



そもそも今そんな事考えてるのは俺だけかもしれない、吉原は普通にもうカルボナーラを食べている。



俺と吉原の差を感じた気がしたもののあまり悪い気がしないのは吉原が俺だからと言って嫌がらないせいだろうか? まぁ嫌がってるなら一緒にこんな所へ来たりはしないだろうし。



食べ終わり店を出るともう辺りは薄暗くなっていたのでそろそろ帰ろうとなる。



「今日は楽しかった。 また来ようね? そうだ! せっかくなら一ノ瀬さんも連れて来たいなぁ」


「一ノ瀬? あいつ来るかなぁ? てか伸一は?」


「あ…… 忘れてた、ははは……」



吉原は今日一の微妙な笑顔になった。



「でもまぁ渡井君って普通に話してて面白かった」


「そりゃどうも」


「あはは、それって照れてる?」


「いいから帰るんだろ?」



別れ際吉原は何して欲しいかちゃんと考えててねと言って俺に手を振り帰っていった。




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