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「ぐふッ、ぐふふふ……」



調理実習が終わった後、教室に戻る最中たまたま一ノ瀬の横を通ると不気味な笑い声を発していた。



ああ、道理で一ノ瀬の横通った奴ら怪訝な表情してたわけだ。



「一ノ瀬、その変な笑い止めないとお前ますます変な奴に見られるぞ?」


「ぐふッ!? わ、渡井君いつの間に?」


「はぁ〜、これだもんなぁ」



一ノ瀬はどうやら自分の世界に入っていたらしい。



「だってだって…… あの吉原さんが私と友達になるなんてなんか変な感じで。 あ、嬉しいんだけど」


「ああ…… 俺もそんな展開になるとは思ってなかったからビックリだったな」


「それに…… わ、私リア充な友達全然いなかったから」


「それって俺も暗に非リア充に含まれてるよな?」


「ハッ!! そ、そんな事ないよー」


「まぁそういう感じで見てた事はよくわかった」


「あ、あうぅ…… し、失言でした。 本当にそんな事ないからね!?」


「まぁいいや。 実際そんなもんだからなんとも思っちゃいないよ」



それから午後の授業も終わり今日も学校は終わった。 まぁ他の奴らは部活とかあるから呑気なのは俺だけだけどな。



一ノ瀬は調理実習の後から上機嫌だったような気がする。 まぁあんな変な笑いを撒き散らしていればな。 って別に今は一ノ瀬の事はどうでもいいか。



帰ろう、そう思い昇降口まで行くと人影が…… あれ? デジャヴか?



「渡井君、待ってたよ」


「吉原…… なんで居るの?」


「なんでって…… そんな言い方あり?」



吉原はプク〜ッと膨れてみせる。 ち、近いんだよ……



「渡井君は本心から私と友達になったんじゃなくてみんなが居たから仕方なくそういう事にしたの?」


「まさか。 そこまで薄情じゃないよ」


「だったらもうちょっと私に対する態度も柔らかくしてくれてもいいような……」


「まぁ俺ってもとからこんな感じだし性格もよくないしさ」


「あはははッ、なんか表面上はそんな風にも見えるね」



吉原はそんな事ないよという感じに言った。 というよりマジで俺の事待ってたわけ?



「…… それで? なんなんだよ?」


「もう! またそんなつれない言い方して! 友達なんだから一緒に帰ってもおかしくないでしょ?」


「ふぅん? 俺と一緒に帰るの見られたら面倒じゃないの?」


「うぐぐ…… いちいちグサッとくるような事言って! そんなの関係ないよ、言いたい人は言わせとけばいいじゃん?」



吉原は良くても俺にも面倒が…… って友達って事なんだからお互い様って事か?



「まぁもうそれはいいや。 それで? 俺と帰ってもつまんないぞ」


「そんなのわかんないよねぇ? それは私が感じる事だし」



そう言うと吉原は俺に早く靴履いて行こうと促す。



「ほら、早く早く!」


「いや待てって」



靴を履くと俺の腕の裾を摘み吉原は駆け出す。



「あははッ、ほら〜ッ、走って走って」


「お、おい! 目立つだろが!」



吉原が大きな声で俺に話し掛け、引っ張るもんだから校庭で部活をやっている奴らの視線が俺達に集まる。 あ〜、なんか恥ずかしい……



校門を出ると吉原は摘んでいた制服の裾をパッと離す。



「何やってんのお前? 目立ちたいの?」


「え? あ、うん。 さっきまで確かに目立ちたかったかな」


「はあ?」


「だって渡井君なんか遠慮してるような感じだったし。 友達になったんだから別に大丈夫でしょ?」


「遠慮っていうか…… よく吉原は俺にあんなに避けられたり逃げたりされたのに友達になろうとしたなって」


「うーん、確かに避けられたり嘘ついて逃げたりされたのは結構ショックだったけどさ、私ちゃんとありがとうって言ってなかった気がしたし、お礼はしたいなって。 なのに逃げるなんて」



吉原はジト〜ッと俺を睨んだ。



「それは悪かったって」


「じゃあ今日はお礼させて? じゃないと私の気が済まないから」


「え?」



マジか…… お礼とかは求めてないんだけど気が済まないんじゃ付き合うしかないのか?



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