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そして前の授業が終わり家庭科の時間になるので調理室へ行きそれぞれの班に別れた休み時間の中……



「信じらんねぇ…… 吉原が俺達の班に来るなんて。 ぶっちゃけまともなの俺しかいないのに。 なぁ?」



小声で伸一がそう言ってきた。 お前まともじゃない奴と一緒にいるくせによくそんな事言えるな。



でも俺だって信じられない。 だって俺、吉原から逃げたし何より避けてたし態度も良くなかった。



「も、もしかして俺の事がマジで気になってるとか!?」



更に伸一がヒソヒソと俺に耳打ちする。



いやぁ、それはないと思うぞ…… 吉原はただ単に俺に負い目を感じてるから仕方なく、という感じにこの班になったと思うけど。



俺と伸一が隣に座り、その向かいに吉原と隣に一ノ瀬…… だが一ノ瀬は伸一と吉原がいる事によって下を向いて俯いている。



「一ノ瀬さん、よろしくね?」


「へ? あ、は、はい」



吉原が一ノ瀬に優しく話し掛けるも一ノ瀬はガチガチに緊張して元気なく返事をする。 ダメだこりゃ……



「吉原! 料理なら俺に任せとけ!」


「え? 中村君得意なの?」


「まぁ人並みに」



こいつが料理得意なんて聞いた事もないので吉原に良いとこ見せたいんだろうな。



「…… 君、渡井君」


「おい、周人!」


「え?」



そんな様子を見ていたり聞いたりしていたようでうわの空だった俺は吉原に呼ばれていた事に気付かずに伸一に揺さぶられ我に帰る。



「お前ボ〜ッとしてんじゃねぇぞ? まったく。 こいつはあんまり役に立たなそうだぞ? 吉原」


「そんな事ないよ。 渡井君はやる時はやる人だもん」


「ん? え? そうなの?」


「うん。 ね? 渡井君」


「はは…… どうかな」


「うん、渡井君は出来る人です!」


「「え?」」



何故かこのタイミングでダンマリだった一ノ瀬が吉原に同調し思わず一ノ瀬に視線が集まる。



多分吉原の援護射撃をしたつもりなんだろうけど一ノ瀬が言うと何故か場が固まる……



ていうより吉原とまともに話せてない時点でそんな事言われてもなぁ。



「前から思ってたんだけど一ノ瀬さんと渡井君って結構仲良しなんだね?」


「そうなんだよ吉原、こいつら友達なんだってさ。 俺もビックリしたよ」


「…… 友達」



そう聞いて吉原は一ノ瀬と俺を見る。 そして……



「だったら私も渡井君達と友達になっていい?」


「「は!?」」


「ご、ごめん! 調子に乗り過ぎだよね」


「いやいや! まったくそんな事ない! 寧ろウェルカム! な!? 周人」


「あ…… うん、まぁ」


「ほ、ほんと? 渡井君」



何故俺に聞くのか…… でも断る理由もないし何より吉原の負い目と俺の負い目を解くいい機会だ。



「吉原さえ良ければ……」


「やった! これからよろしくね! 渡井君、中村君、それに一ノ瀬さん」


「なんで周人に確認するんだ?」



伸一が俺に向かってそう言った。 まぁそりゃそうだよな。



「じゃあ今日の調理実習頑張ろう!」


「とりあえず周人と一ノ瀬が不安材料だけどな」


「いちいち言うな。 一ノ瀬もこのバカの言う事は気にすんなよ? こういう奴だから」


「ふへ? 」



一ノ瀬はキョトンとした。 こいつなんにも話聞いてねぇ……



「一ノ瀬さん、とにかく今日はよろしくね!」


「ひゃ、ひゃい……」



吉原が満面の笑みで言うと一ノ瀬は何故か顔を真っ赤にさせ照れていた。

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