私と出会って365日で死んでしまう愛するあなたへ
私には愛する人がいる。けど、彼は出会って一年で死んだ。
私はどうしてもあなたを愛していた。だから初めて“やり直し”た。けれど、あなたはまた私と出会って一年後に死んだ。ちょうどぴったり同じ日の同じ時間に。一度会話をしただけで『出会った』ことになる。だから私は話さないことにした。遠くからずっとあなたを見る。あなたの生き様を、最後を見届ける。隣じゃなくていいから。あなたの物語の中のモブでも通行人Aでもいいから。それが私の想い。どうしても愛しているあなたへの。
勉強ができるだけの平凡な私と人気者のあなた。本当は住む世界が違うんだよ。今までがおかしかった。ここに来るまで五回やり直した。その五回ともあなたは私を選んでくれた。それがとても嬉しかったんだ。一回目にあなたが一目惚れって言って告白してくれた時に私はもう恋に落ちていた。私もね一目惚れだったんだよ。あなたと過ごす時間に比例して私の恋心も大きくなったんだよ。だからね私はこの想いと思い出を一生抱えて生きていく。あなたが生きて幸せになるために。そう思ってたのにね。何で話しかけてくるかな。私には無視するという選択肢はないんだよ。だって大好きなんだもん。
あなたは一年後に死ぬって決定した。…あと一回だけだから。もう一回思い出を重ねよう。私しか覚えていない思い出になるだろうけど。それでも、もう一度あなたの隣に居させて。
—そしてあなたは死んだ。きっかり一年後。
ごめんなさい。ごめんなさい…もう遠くから見るのもやめよう。やっぱり見ているだけっていうのは耐えられないから。だから私は死ぬことにした。私が死んだらあなたと出会うことはなくなるから。ああ、そういえば私は一回も死んだことはなかった。もうやり直せない。だから最後にあなたに伝えたい。会話をしてはいけないから一方的にだけどね。あなたに届かなくてもいいから。「ありがとう。愛しています。何回もあなたに恋をしました。ずっと愛しています。さようなら。愛するあなたへ。」
—そして私は死んだ。次、目を開けた時に隣にあなたがいることを願って。