0話 〜決意〜
卒業から一ヶ月。彼は自分の目標を見出せず、ただひたすらダラダラとした日々を送っていた。友人達は皆それぞれの道を歩んでおり、1人取り残された状態になっていた。
彼の名はルーザー。ドリーミア総合学園を卒業した少年だ。武器を扱う技術は他の者よりも優れており、特に剣術は天才的である。
「何だ…これ。」
ルーザーはある本を読みながら、呟いた。グリーネシア伝説という本だ。これは祖父が大切にしていた古本の倉庫から引っ張りだしたものだ。ドリーミアに近い宇宙のグリーネシアに古くから伝わる伝説を書いた本である。とても分厚く、全200巻程にも及ぶ。ルーザーは速読が得意なので、ずっと読み続けている。ルーザーが気になったのは、4024個目の伝説の武器のページだ。
{グリーネシアには、各地に5つの神の力を宿す武器が眠っている。5つの武器を集まった時、真実を映す石が現れる。}
なんともありがちで胡散臭い話だが、まだどこか幼く、なにより武器が大好きなルーザーをこの伝説に食いつき、こう思った。
「グリーネシアに行ってみたい。」
こういう時だけは行動が速いのがルーザーだ。すぐに行く手がかりを掴もうと、博識な幼馴染、アテネの家へ直行した。
「それで、その伝説は本当か、どうしたらグリーネシアに行けるのか知りたいって事なんだね。」
アテネはルーザーの話を纏めると、真面目な顔で喋りだした。
「うーん… 私もこの伝説聞いたことがあるけど、本当なのかな。二階に弟のチェレンがいるから、聞いてみようよ。そういう事はあっちの方が詳しいと思う。あ、あと別宇宙に行く事ができるスペースナイトなら持ってるよ!」
あっさりとグリーネシアに行ける事が分かり、少し驚いた。その時、アテネの弟チェレンが階段から降りてきた。教えてもらった所、どうやら伝説は本当、という説が有力のようだ。
伝説の武器がなくたって、いつまでもダラダラしているより旅をした方が良い。やっと自分のしたい事を見つけられた、旅に出よう。