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オススメは?
図書館に通うのが、僕の日課である。
何せ僕は本を読むのが大好きだ。
夜遅くまで読書していることも多い。
母には叱られてばかりだ。
でも僕は、バレないように図書館で借りてくるから問題ない。
今日もこっそり図書館へやってきた。
こないだはミステリを読んだけど、次は何がいいだろう。
あんまり長い本だと、こんがらがってしまって苦手だし。
「あら、こんにちは」
すっかり知り合いになってしまった司書さんが、向こうの棚からやってきた。
「今日は何をお探しかな、少年君?」
「うーん、今度はミステリじゃないのを読んでみたいんですけど、何がいいか分からなくって」
「それなら、この『火星年代記』はどう? 火星が舞台のSF小説だよ」
「火星ってなんですか?」
「そっか、知らないのか。火星は星だよ。お空の上にあるのさ」
「それは面白そうです!」
僕が歓喜の声を上げると、司書さんが慌てて僕の後ろに駆け寄った。
「おっと。”尻尾”には気をつけなきゃダメだぞ、少年君」
あちゃー、僕がキツネだってバレてたか。




