ルーン種の秘密
『05 ルーン種スキル解放
ルーン種は魔法使いの他に剣士や斧使い、槍使いといったすべての武器のスキル解放が可能です。
自分にあったスキルをお使いください』
ルーン種ってチート種族か!
万能すぎる、すべてのスキルが解放できるなんて。
今思えばルーンオリジナルスキルツリーって、なんか無駄に不明スキルが多かったんだよな。
まさかそれぞれの武器に合わせたスキルが解放できるのかこのスキルツリーは!
「あんちゃんどうした買うのか?」
剣士にせっかくなれるんだ、ならなって損はないはずだ。
「買うよ。いくらだ」
「毎度! 銅貨100枚でいいぜ。あんちゃんのその懐の広さに俺は感動した」
「そうかよ」
「何かあったらうちにきな! 制作でも強化でも何でもしてやらぁ」
「あぁ、助かる」
こうして俺は剣士になった。
特に身体的な変化はないが剣士になったみたいだ。
「宗一郎様は武器持ってませんでしたね。よかったですねいい武器を巡り会えて!」
「これそんなに良さそうに見える?」
「はい! 私には武器が宗一郎様に選ばれて喜んでいるように見えます」
「それもオーラってやつか?」
「もちろんです。そして宗一郎様も使いたくてうずうずしているのが見えます」
「確かにな、どんな感じか試し斬りしてみたいところだ」
うずうずしているか、フィールのオーラに見抜けないものはないな。
ちょっと街の外まで出かけるかなこの剣を試すついでに金稼ぎも兼ねて。
コルンの街の近くにある草原に俺はフィールと共にきた。
近くにはルーサーラビットが数匹確認できる。
手始めに一匹試し斬りしてみることにした。
剣を強く握り、全力で振りかぶる。
「ハッ!」
ルーサーラビットは一斬りで倒された。
うん、切れ味は悪くない。
むしろ使いやすい。
そういえばあの親父、強化がどうとか言ってたな。
装備から武器を確認すると、
『銅青の剣
攻撃力470
スキル再使用時間短縮
攻撃力+60
アイテムドロップ+30
強化不可』
いいのか悪いのかよくわからないが攻撃力だけはいい強化をしている。
いい買い物だったがどちらかと言ったら魔法のほうが便利だ。
当分は魔法で戦い、ボスのような敵とは剣で戦うことにしよう。
フィールの元に戻るとフィールはニコニコしていた。
「どうしたなんか面白いので見つけたのか?」
「いえ、宗一郎様が剣を使うところを見ていると懐かしく思うところがありまして、昔のことを思い出して笑っていました」
「なんか俺が笑われているみたいだな」
そんな話をしつつ街へと戻る。
街につく頃にはすっかり日も落ちて夜になっていた。
宿屋に着くとすぐに料理が運ばれ俺達はそれを食べることにした。
見たことない料理だが味は悪くなくむしろ美味しい。
それに和洋中と現実に近い感じに料理が準備されてあって、和風のものや洋風のも中華のものなどゲームの世界とは、思えないほどのクオリティである。
そんなご飯も食べ終え、お風呂があるというので入ることにした。
「あぁいいな風呂は――」
「そうですねぇ宗一郎様――」
「はいぃ?」
え、フィールなんでここにいるの?
俺の見間違いでなければここは男湯のはずなのにフィールが……もしかして男!
「フィールなんでここにいるんだ?」
「宗一郎様ここは混浴ですよ? 私が居てはダメですか?」
「こ、混浴ぅ? 俺が見た時は確かに男湯だったはずだぞ」
「あれはフェイクですよ。私が立て札変えておきました」
「なんでそんな事したんだよ!」
「そんなの宗一郎様とお風呂に入る為に決まってるじゃないですか!」
この少女恐るべし。
まさか影で動いていたとは油断出来ないな。俺は逃げるように風呂から上がる。
「じゃあ先に上る。フィールはゆっくり浸かっていてくれ」
急ぎ足で浴場を去った。
このまま混浴でフィールにイチャつかれたら、俺は周りから変な目で見られることになるそれだけは避けて置かなければ。
これは後の話だが、
その後に浴場からフィールの叫び声が響き渡ったそうだ、まぁこれは言う必要もないだろう。
いや結果だけは一応言っておこう。
俺達は怒られ、ロリコンと周りから呼ばれるハメになった。
それだけだ。
それにしてもこの世界にきてから今日で二日目になるが早く現実に帰らないといけないな。
いつまでもここにいるわけにはいかない。
ただこの世界はいいところだ。
ゲームの世界といえどここまでの体験が出来るのはVRマシンのおかげだ。
そこだけは感謝するが、俺達を実験に使ったことは許せない。
いつか戻れたらその時は覚えておけよ運営の奴ら。
そんなことを一人考えているとフィールが戻ってきた。
さっき怒られてから外に涼みに行くと言って出かけたが帰りが早かったな。
「宗一郎様、私ここに何か紋章のような物があるのですがこれは何でしょうか?」
「見せてみろ」
フィールの腕に白く魔法陣のような模様が浮かび上がっている。
「なんか俺の魔法陣に模様が似てるな」
「そうですね。今は特に何もないので大丈夫みたいですね!」
「あぁ、でも何かあったら言えよ」
「はい!」
「じゃあ寝るか」
「そうしましょうか」
しかしこう見てると夫婦で温泉旅行きてる雰囲気があるな。決して俺達は夫婦ではないが。
まぁフィールは俺のことを好いてるみたいだが。
特に問題はないだろう。何かあったらその時になんとかしよう。
そう思いつつ俺はゆっくりと眠りについた。
誤字などがありましたらお知らせください