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猫耳メイドは勇者の夢をみる―Brave Rune Online―  作者: 五月猫
第一章 ようこそBrave Rune Onlineの世界
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ルーン種

『現在地はホームタウンより北に200進んだシルネス密林です』

 

 俺は何故か森の中にリスポーンしていた。

 マップを開き大凡の位置を把握するが、プレイヤーが最初に降り立つホームタウンではなく、暗く湿った森の中だった。

 

「なんで密林にリスするんだよ。バグだらけだなこのゲーム」


 辺りには人の気配はない。

 恐らく俺だけがここにリスポーンしたとみて間違いない。

 さてどうしたものか、ホームタウンに戻りたいが距離がかなりあり、そう簡単にはたどり着くことは出来ないだろう。

 確認のためメニューを開くが転送系のコマンドはない。

 ただ一つ面白いものを見つけた。


「ルーンオリジナルスキルツリー? なんだよこれ。それよか俺のキャラルーン種なんだな。詳細不明で困ったが種族が判明しただけでも大きい進歩だ」


 スキルツリーを解放しますか? と表示が出たので迷わずはいを選択する。

 

『解放が完了しました。

 ・ルーンファイア

 ・ルーンブリザード

 ・ルーンフラッシュ

 以下の魔法が使用可能です』


 魔法かこの種族は魔法系統が特化してるみたいだな。

 使用可能なスキルはコマンド画面でセットすると使うことができる。

 解放したての魔法をセットし、試しにルーンファイアを使用する。


『詠唱しますか? はい/いいえ

 無詠唱で発動しますか? はい/いいえ』


 詠唱と無詠唱の選択ができるみたいだ。

 無詠唱で発動を選択すると、ヘルプが開く。


『01 詠唱魔法と無詠唱魔法の違い


 詠唱魔法では魔法の威力が上昇しますが、詠唱速度が低下します。


 次に無詠唱魔法は詠唱とは違い、威力が低下しますが、瞬時に発動が可能です。さらに連魔が可能となります。

 連魔とは無詠唱魔法の派生スキルです。

 無詠唱魔法使用時、魔法をMPのある限り連続で使用できます』


「なるほど、詠唱は威力重視で連発はできないが、無詠唱は威力が低い分連発することで弱点をカバーしてるってことだな」

 

 詠唱魔法が量より質で、無詠唱魔法が質より量といった感じだ。

 俺の初期MPは350だ。

 ルーンファイアが15で発動可能なので、今なら約23回程度連魔が使える。

 一先ず付近にいたルーサーラビットと呼ばれるモンスターに試す。


「――――無詠唱でルーンファイア!」

 

 脳内で叫ぶと、手の平に体中の熱が集まり球体が生成される。

 その球体をルーサーラビットに向け放つ。

 ついでに連魔も使用してみる。


「――――連魔!」


 広げた手の周りに魔方陣が浮かび上がりそこから火の玉が無数に飛び出す。

 数秒使用したが体に倦怠感を覚える。

 足は震え、立っているのがやっとだ。近くの木に持たれ掛かる。


「はぁはぁ、疲れる。体がダルいな」


 崩れ落ちるように座り込んだ。

 使用して思ったことは必要以上に精神を集中させる必要があるのと、連魔は初期だと使用にも限界があること。

 MPが減ると体に疲れが溜まり始め、体中が悲鳴を上げる。

 見たところレベルらしき表示はない。MPはどうやって上げればいいのだろうか? 

 一先ず体が疲れたので一旦ゲームを終了させる。色々とさっきの男に言いたいこともあるからな。

 メニューを開き、ログアウトのコマンドを試すが一向に実行されない。

 それにさっきからこのコマンドは使用不可と表示が出ている。

 

 「まさか、バグって俺だけログアウト不可なのか?」


 テストだしバグはあってもおかしくはないが、さすがにログアウトがバグってしまうのはおかしい。

 すると、目の前にメールマークが表示された。


 ――メールが受信されました

 多分、ログアウト不可のバグについてのメールだろう。

 取り敢えずメールボックスを確認すると差出人が不明なメールが届いていた。


「なんだこれ、どういうことだよログアウト不可にしましたって」

 

 内容は簡潔に書かれていた。

 驚くことにさらにメールが届く。

 差出人は不明さっきと同じ奴で間違いはない。


『ようこそテスターの皆さん 私はこのゲームの管理者倉井 十三です。

 

 これよりあなた方には私達の実験に付き合ってもらいます。

 皆さんは実験体(モルモットなのです。

 ログアウトされると困るのでこちらで不可に変更させてもらいました。

 ではしばし実験が終了するそのときまでゲームをお楽しみください』


 ちょっと待て実験体? 意味がわからない。

 それに実験って何するんだ? このゲームは完成に近いはずじゃないのか?  

 まぁバグが多いからそこはどうかと思うけど、今は置いといて。

 どうして実験が必要なんだ? 

 意味もなく一人疑問を投げ付けるが答えるものはいない。

 近くにいたルーサーラビットが、鳴く声だけが静かな森に響く。


「どうすればいいんだ。そうだ他の奴らと合流しよう。一先ずここから移動する必要があるな」


 ただ移動手段が徒歩以外なくホームタウンまではマップを確認すると二つの街を通る必要があり一日ではたどり着かない。

 何か乗り物か転送の類が使えれば困らないんだが……。

 どこかに大型の黄色い鳥はいないだろうか。

 もちろんそんな鳥はいなかったが、たまたま確認したスキルツリーに使えそうなのがあった。

 

「ルーンファスト――移動速度が50%上昇する。覚える条件は……ルーサーラビット10体討伐か、よしこれを覚えるとしよう」


 付近にいるルーサーラビットを難なく倒し、スキルツリーを確認すると解放と表示された。

 スキルをセットし発動させる。

 もちろん無詠唱で、威力が上がったところでこれは攻撃が出来そうにもない。

 

「ルーンファスト――」


 発動と同時に体が軽くなった気がした。

 あとジャンプ力がさっきとは違い某兄弟の緑の人並みに上昇している。

 付与効果でジャンプ力上昇とステータスに表示がでた。

 

「軽いな」


 森の中を駆け抜ける。途中で大型のモンスターに出会ったが相手が攻撃する間もなく走り抜けた。


「速いが、連魔で継続させないと効果がすぐ切れる」


 ルーンファストは使用時間が3分と短いため連魔で継続させている。

 ただ使用MPが低いため体に係る負担が少なく倦怠感はない。


「あそこか、ネロリアの街は、一気に駆け抜けるか」


 一応確認しておいたが、ネロリアは武器や防具、回復アイテムが売られている街だ。

 初期装備なので必要なアイテムが多い。

 あっという間に森を抜け、草原地帯へと出た。

 

「おっと、人がいる。あいつは……NPCのようだな」


 畑を耕しているNPCと出くわしたが特にイベントはなく。

 こちらを見てニコッ微笑んでいた。

 顔がどこか運営の奴に似ているせいか妙にイラつく。

 一本道をひたすら走ると、徐々に街が見え始める。

 高い壁に囲まれた街。

 一旦走るの止め立ち止まると、慣れない動きのせいか足が痛い。


「無理しすぎたな。だが街は目に見える距離だ。歩いて行っても問題ない」


 震える足を何とか動かし前へと進む。

 日差しが顔に差し眩しい。

 現実世界とは違いこの世界には暑さがない。

 あれだけ爆走したはずなのに汗一つかかない。

 さすがVR世界だ。


「腹減ったな。そういや昼はまだ食ってないな。金あるかな」


 ステータス画面を開き探すと上部に所持金が表示されていた。

 ルーサーラビットを倒してジャラジャラ音のなる袋を入手していたのでお金があるはずだが、

 

「73R? Rってなんだよ。知らない単位だなオリジナルか?」


 とりあえず、幾らかはある。物価が分からないが何か買えるはずだろう。

 

「ようこそネロリアへ、冒険者様」


 考え事をしつつ歩いていた為警備兵に気が付かなかった。

 一応挨拶だけは返しておく。

 街に入るとそこは外とは違い人がそれなりに集まり賑わっている。

 

「よう兄さん! 武器とか興味ねぇか?」


 入り口の傍に店を構える武器屋の主人に呼び止められた。

 この世界に来てから魔法を使用していたから武器に興味が湧く。

 やはり剣はロマンがある。魔法も捨てがたいが剣も使ってみたい。

 だが今俺は魔法使いだ、ならここはイメージとして剣よりも杖を持つほうが合っている。


「ルーン種の武器ってここにあるか?」

「兄さん……ルーン種なのか? 悪いがここにはねぇ他を当たってくれ」

「そうか」


 武器屋の主人はルーン種と聞いてすぐに俺を追い払った。

 何か悪いことでもしたのだろうか? 

 鋭い目で睨み俺を追い払う。

 仕方がないので防具屋にいく。


「お、冒険者かここにはいい防具が揃ってるぜ。あんちゃんにはこれがお似合いだな」


 拳闘士風の服と胸当て膝当てを渡される。

 言われるがままに装備する。

 革で作られた防具だがそこそこの防御力がある。


「いいねぇ。最後にこのグローブ付けてみな」


 小手のような物を渡され装備し、防具屋の親父にも見せてやると喜んでいた。


「かっこいいなあんちゃん。どうだ買うか? 合わせて銅貨147枚だ」

 

 ん? 銅貨? R単位じゃないのか?

 おかしい、俺の所持金の単位はRだ。色も銅じゃなくて黒い。


「悪い。73Rしか持ってないだが、安くならないか?」


 それを口にした途端防具屋の主人は人が変わったかのように、俺を追い払おうとした。


「あんちゃん悪いが今すぐここから立ち去ってくれ。防具ならくれてやるから」

 

 先程からルーン種のことについて話すとこの街の連中は俺を追い払おうとする。

 よくわからないが何かこの種族には秘密があるのだろうか。


「あぁ防具感謝する」


 取り敢えずお礼を口にしその場を離れる。

 周りを見回すとそこら中でヒソヒソと話をしている。

 大体の予想は付く。

 多方俺について話しているのだろう。

 気付かないフリをしているが、お前等の視線には気づいている。

 ここで文句を言うつもりはない、防具をタダで貰えたことだ得でしかないな。


 ただ腹は減る。

 近くの草原にでもモンスターはいるだろうからそいつらを倒して飯にしよう。

 

 俺は街を出ることにした。


 

 

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