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天空都市メルトディア

 翌朝――――――。


 俺達は前日に蓮が予約しておいた飛空船に乗り、天空都市メルトディアに向かっていた。


 オルトビュート大陸北領『天空都市メルトディア』

 主に天使族の住む都市であり、その他の種族は天使族の半分程度のものである。

 

「俺が知っているのはこんなことぐらいだな、その炎獄宮? そんなもの知らないぜ」


 飛空船の乗組員に話を聞いて回っているが、誰もそれらしい情報は持ってはいなかった。


「そう簡単にはみつからないか、取り敢えずメルトディアについてからまた情報集めを再開するとしよう」


 情報集めに専念したいが、隣でフィールが初めてみる地上の景色に興奮して、情報集めをしている暇がない。

 

「見てくださいあそこ! 村がもうあんなに小さく見えますよ!」

「そうだな」


 適当に返事を返し、その場から俺は移動する。

 メルトディアまで少々時間が掛かるとのことなので、一先ず飛空船の中でも探索しようと思う。

 

「凄いな、ここは」


 目の前には街とは変わらない品揃えの店が多く構えられている。

 それに飛空船なのに、温泉などがあり、そこそこ人気があるようだ。

 ただ温泉はなるべく避けることにしよう……。



 +



 一通り見て回りフィールがいた場所まで戻ると、フィールの姿が見えなかった。

 

「どこに行ったんだ、、まさか落ちたわけじゃないよな」


 辺りを一周見て回る、結果すぐにフィールは見つかった。

 何やら複数人の男に囲まれていた。

 見るからに危ない雰囲気である。

 すぐに複数人の男達の尻に魔法陣を展開し、優しくルーンファイアを掛けてやる。

 

「あちち、 誰だ!」


 一人の男は後ろを振り向くが俺は綺麗な空をみて黄昏れていた。

 要するに知らないフリをした。

 しかしその作戦はフィールによって失敗に終わってしまった。


「宗一郎様!」


 駆け寄ってきたフィールに男達の視線が吸い付くように集まり、最終的に俺をみる。

 

「あのクソガキか! お前か俺達になんかやったのは!」

「何もやっていない、変な言い掛かりだな」

「このクソガキ、お前等俺達の怖さを教えてやれ」


 回りにいた男達は口を揃えて。


「「「いえっさー!」」」


 どこかの悪党集団みたいな返事をし、襲いかかってきた。

 

「仕方ない本当の怖さを教えてやる」


 さっきと同じ要領で男達の尻に魔法陣を展開する。

 勿論声に出してやっているわけではないので、バレない。

 そして最後に無詠唱でルーンファイア、ただルーンファイアを掛けても面白くないので、少し火力を上げる。


「あっち! あちち、クソガキ何をやった! 答えねぇと!」


 男は腕を上げ殴るモーションに入るがすかさず、ルーンファイアを発動させる。

 ただ一人に掛けることが出来ないので尻に魔法陣が展開されている男達全てに、普通の火力で掛けささってしまった。

 心の中で笑いながら謝っておくことにしよう。


(フ、悪かったな)


「あちちち、クソ覚えてろよ!」


 よくアニメでみるイジメっ子が逃げるよう感じで男達も逃げていった。

 さっきから黙りこんでいるフィールが気になり隣を見ると、泣いていた。


「もう大丈夫だ」

「ほん……とう、グスン、で…すか?」

「本当だ」


 神姫装束アフレイアドレスを着ているのに大の大人に囲まれて泣くとは、その服作った神も貰い泣きしてしまうだろう……。

 しかしここで、もし反撃していたらあの男達は火傷じゃ済まなかっただろう、最悪全治何週間、いや何ヶ月の大怪我をしていたはずだ。

 結局はフィールも一人の女の子、あんな自分よりも大きな男を前に何かしようとは思わなかったようだ。


「怖かったです」


 優しく頭を撫でる。

 猫耳がふさふさして気持ちいい、それにフィールも何だか気持ちが良さそうだ。

 

「一先ず中に入るか、蓮達が色々準備してくれているはずだ」

「はい!」

 

 返事と一緒に満面の笑みを見せる。

 フィールの笑顔にドキッとしてしまったのはここだけの話しだ。



 +



 飛空船内ホテルエリア。


 一部のホテルだけ最大で四人が泊まれる飛空船内でも豪華な部屋がある。

 蓮が借りたのはその部屋だった。

 値段は結構お高めなのだが、俺が渡した魔神クレハス討伐報酬の金で借りたそうだ。

 ちなみに報酬金はお世話になっている蓮に半分と渡しておいた。

 フィール曰く五年は暮らせるお金だそうだ。

 そんな大金をくれたグースタスには感謝してもしきれない、夢にグースタスが出てきたら、お礼として氷のグースタス像作ることにしよう。

 なんて冗談はさておき、一度ここで休むことにした。

 あと数時間後にはメルトディアに着くらしいしな。

 部屋に置かれたふかふかのベッドにダイブする。

 そのベッドは、まるで空中に浮かんでいるかの様な気になれてしまう。

 次第に眠気が襲ってきて、俺はそのままゆっくりと目を閉じた。



 +



『この飛空船はまもなく、メルトディアに到着致します。お降りの際は荷物をお忘れないようにご注意ください。』


 船内アナウンスの声で目が覚めた。

 特に荷物がないので、手ぶらのまま飛空船の外に出る。

 そして丁度後ろを振り向くとそこには雲に包まれた、巨大都市が姿を現した。

 よく目を凝らして見ると、空に羽の生えた人が飛び回っている。

 飛空船はそのままゆっくりと降下する。


「あれが天空都市メルトディアか、まるでラピュ○の城だな」

 

 ガタンッと音がなる。

 どうやら飛空船が着陸したみたいだ。

 俺は降りるため一旦中に戻ろうとしたとき、不意に誰かに後ろから鼻と口を抑えられそこで意識を失った。

 

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