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猫耳メイドは勇者の夢をみる―Brave Rune Online―  作者: 五月猫
第一章 ようこそBrave Rune Onlineの世界
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プロローグ

恋愛要素が薄めなファンタジー物語です

「先輩! ちょっと時間いいですか?」

 俺は後輩の間宮まみや陽菜はるなに呼ばれ夕暮れの教室を後にした。


 二人夕日が差す廊下を静かに歩く。

 通り過ぎて行く生徒共の視線が俺に集まり少々歩きづらい状況だ。


「どうしたんですか?」


 窓際で風にたなびく髪を手で抑えこちらを振り向く。

 ドキッ――――鼓動が激しくなる。

 ラノベでよく見るシチュエーションを、今俺はこの目で見た。


「いやどうして俺を呼び出したのかなって思ってな」


 そうだ俺は連れ出されてこの場にいる。

 当然彼女が目的もなく人気のない廊下に連れ出すはずがない。

 もしかしてこく……そんなわけはないか。


「先輩今日は先輩にどうしても伝えたいことがあります!」


 えっ? 告白ですか? 高まった鼓動がさらに激しさを増す。

 若干息苦しさを感じる気がする。

 人気のない廊下で尚且つ、陽菜のこの頬を赤らめたこの表情。

 どう考えても選択肢は一択に絞られる。


『落ち着け宗一郎よ、お前は今人生で最大のイベントに出会している。冷静になれ。そして又とないこの機会に全力で挑むのじゃ』

 

 どこからか仙人のような人のアドバイスが聞こえる。

 鼓動が最高潮に高まり今にも息が止まりそうだ。

 必死に深呼吸をし、心を落ち着かせる。スーハー、スーハー。

 よし、俺の鼓動は平常へと戻った……はずだ。

 

 

「な、なんでひゅか?」

「ひゅか? 大丈夫ですか先輩?」


 どうやらこの一瞬で平常を保った鼓動が緊張により、一気に暴走したようだ。

 一度後ろを振り向き、深呼吸をする。今度は深めに思いっきり息を吸う。


 スーハー、スーハー、スーハー。


 今度こそ落ち着いた。振り向き会話の続きを始める。


「あぁ、ちょっと舌を噛んだ。気にするな」

「そうですか、それでですね先輩……これを見てくれますか?」


 陽菜はスマホを前に突き出しメールを表示させる。


『こんにちは間宮 陽菜様


 間宮 陽菜様この度は私達キュートスが運営するBrave(ブレイブ Runeルーン Onlineオンライン(以下BRO)の本格体験型テストに当選しました事連絡させて頂きました。


 テスト実施日:7月24日 

 場所:キュートス本社 第六施設

 時間;10;00

 BROテストを辞退する場合は事前に連絡をくださるようお願い致します。

 尚、お一人様でのテストではなくお二人様でのテストとさせて頂きますのでお忘れないよお願い致します。

  

                          キュートスオンラインエンターテイメントより』


 伝えたいこととはこの事だったのか、てっきり告白かと。

 ううん、一旦その話は置いといて、スマホを受け取り内容を流し読みする。

 一応大事そうな部分はチェックしたが、何となく廊下に呼び出された予想がついた。

 

「テストに一緒に参加しようってか?」

 

 メールの中身から予想するに、参加したいが条件が二人。もちろん陽菜には友達が多いが、そいつら全員が知らないことがある。

 それはこの黒髪ショートカットでスレンダーな体付きの美少女が重度のゲーマーだということだ。

 容姿に似合わず、ゲームが好きであり休日は時間を全てゲームへと回すこの美少女は学校内で自身が、ゲーマーであることを隠している。

 そんな訳で幼馴染でもあり、陽菜を秘密を唯一知るこの俺をこんな場所に連れ出したのか。

 これで今までの行動にも納得がいく。


「はい。私がゲーム好きなのは先輩くらいしか知らないので他に頼める人がいないんです! ダメですか先輩?」


 む、甘い声で陽菜は俺を誘っている。

 悪い話ではない、この本格体験型ってのが気になる。

 ただここで「はい、いいですよ」と俺は口にはしない。まず不明な点がこの当選メールにはある。

 普通当選者が一人で受けるはずのテストに何故二人も必要なのかだ。

 テスターの募集人数を増やせばいいと思うのだが。

 何か裏があるのではないかと思ってしまう。


「やっぱりダメですよね。すみません先輩大事な時間を使ってしまって」


 やめろそんな目で俺を見るな胸が痛くなる。

 大事と言ってもこれから帰宅して、朝までネトゲやるだけだし。


「この話は辞退しますね」

 

 さすがに辞退するのは勿体無い、だが不安要素があるテストに参加するのも腰が引ける。

 しかし、後輩でもあり幼馴染でもある陽菜の頼みを断るのも気が引けてしまう。

 仕方ない、ここは折角のチャンスだ。

 やってやろうじゃないか、本格体験型テストを。

「待て、参加する」

「いいんですか?」

「あぁ、その本格体験型ってのが気になるからな陽菜に付いて行って体験できるならこっちとしては得しかない」

「ありがとうございます先輩! やっぱり先輩に頼んで良かったです!」

 

 夕暮れ時の爽やかな風が二人の間を吹き抜けていく。

 校庭には陽炎が揺らめき、木々は青々と茂っている。

 春も過ぎ去って季節は夏に変わろうとしている。

 テスト参加について何か不安を感じるが、深くは気にしないでおくとしよう。

 




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