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猫耳メイドは勇者の夢をみる―Brave Rune Online―  作者: 五月猫
第一章 ようこそBrave Rune Onlineの世界
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正体不明の竜剣士

――キャアアアアアア


 外から響く声に体が自然に動く。

 何処から聞こえた?

 何があった?

 俺は走り出した。

 後ろには必死に俺を追い掛ける二人。

 

「おい! 何処だぁ!」

 

 思考が追い付く間もなく体が勝手に動いていた。

 その叫び声は正しく陽菜のものだった。


「――・――・――・――!」 

(待ってください宗一郎様!)

「・・――・――・・・――!」

(どうしたんだよお兄ちゃん!)


 二人は声を掛けるが俺には雑音にしか聞こえない。

 一々その声に耳を貸す気はない。

 今はただ聞こえる陽菜の声を探すだけだ。


 ――誰……か……たす……け……て


 今にも消えそうな声。

 弱々しく死にそうな様子を思わせる。

 頼む、間に合ってくれ。


 遮る木を手に持った剣で力の限り切り落とす。

 するとその先に人影が見えた。

 男と女。

 男は剣を掲げ振り下ろそうとしている。

 女はその場に倒れ、抵抗すことが出来ず、ただ死を待っていた。

 俺は腹の底から声を絞り出し叫ぶ。


「陽菜ぁああああああああああああ!」


 その声に気づき女は振り向く。

 が、その顔は俺の知っている陽菜とは似ても似つかない顔だった。


「お前……誰……だ?」

 

 勝手に読んでおいて誰だと聞かれても困る、女はそんな表情になる。

 

「貴様、我の邪魔をするのか?」


 その場で硬直していた俺に男は殺気を放ち睨む。

 その眼光に俺は恐怖を感じる。

 だがこの状況で今にも殺されそうな奴を見殺しには出来ない。

 遅れて二人が追い付く。


「そう……いちろう……さま……早いですよ!」


 フィールは息を整えその光景を目にした。

 

「ユアール……お姉様?」


 そこで倒れている女の名前だろうか? 

 フィールは名を呼ぶ。


「フィール? どうしてここに貴方は貴族に……」

「私は勇者様を探すため宗一郎様と旅に出たのです!」

「誇りはどうしたのですか! エルーシュアの誇りを忘れたのですか?」

「お姉様! エルーシュアの誇りそんなものに縛られて私は奴隷に成り下がりました! それを知っても尚誇りがなどと言えますか?」

「そ、それは……」


 ユアールと呼ばれる女は黙りこむ。

 

「フハハハハハハ、感動の再会、これも一興。だが貴様らは我の邪魔を成す者、如何なる理由があろうとそれは覆せぬ事実。よって裁きの断罪を下すことにしてやろう」

 

 男は高笑いしながら俺達を見続けている。

 だがその瞬間、背筋が凍る程の殺気が飛び出した。


「死するがいい。竜極ドラゴン雷鳴ボルトロス


 剣から雷を纏った竜が現界する。

 限界した竜の咆哮は雷を発生させる。

 空は暗くなり闇に包まれた。


「フィール!フール! 俺から離れるなよ!」

「待ってください! ユアールお姉様も!」

「急げ!」

「私は……」

「お姉様早く!」


 ユアールはフィールの手に捕まる。


「フ、逃すかぁ! やれジークフリートォオオオオオオ」


 雷を纏った竜が唸り声を上げ迫ってくる。


「飛ぶぞ! ルーン・フィート・テレポ!」


 間一髪のところで瞬間移動は成功する。

 

「だ、大丈夫か?」

「何とか……」

「お兄ちゃん死ぬかと思ったよ!」

「どうして私まで……」


 テレポ先はどうやらコルンの街の宿屋の裏のようだ。

 宿屋の店主が音を聞きつけ様子を見に来ていた。


「ロリコンのあんちゃん……」


 一瞬魔法をぶっ放してやろうかと思ったが今はそんな力はない。

 それにまだ体が恐怖で思うように動かない。

 それにしてもさっきの剣士、あいつは危険すぎる。

 剣から竜が出るとか初めて見た。

 まったくここ最近運が無いというか、何というか。

 心臓に悪い出来事が連続で起きて、寿命が縮まりそうだ。



「さて、親父! またお世話になるぞ」

「あんちゃん今度は問題起こさないでくれよ。うちの評判に関わるから」

「善処する」


 取り敢えずこのまま宿屋の裏に座っているのもあれだし、もう一、二泊宿屋にお世話になることにした。

 もちろんフィールには後でこの前のようなことはするなと言い聞かせておく。

 まずこの場で気になるユアールについていろいろ知る必要があるな。

 フィールがお姉様と呼んだ理由も気になるし。

 

「ほら立て、いつまでもここに座ってるわけにはいかないんだ」

「ほらお姉様立ってください!」

「う、うん」


 フィールに言われるがままにユアールは立ち上がり歩いているが、怪我をしているのか、右足を引きずって歩いている。

 

「ちょっと待て、足を見せてみろ。その足怪我してるんじゃないか?」

「男性に足を見せるなんてそんな卑猥なことは……」

「お姉様!」

「は、はい」


 この光景を見ているとフィールが姉で、ユアールが妹といった感じに見えるな。

 何というか姉に威厳を感じない。

 さっきまで誇りがどうとかフィールに言ってた癖に。


「痛いのはここか?」

「そ、そうです」

「ほら、ルーンキュア」


 ゆっくりと歩かせるが見たところ治った感じだ。

 すると俺の近くに寄ってきて何かを聞こうとしていた。


「あ、あの、あなたはルーン種なのですか?」

「そうだが、嫌か?」

「いえ、残虐非道なルーン種とは違い優しい方なのですね」

「それもオーラでそう見えてるのか?」

「オーラ? 私はプシー種ではありません」


 ユアールはフィールの姉でプシー種なんじゃないのか?

 フィールの家は異種族の混血が多いのか?

 だが話を聞くにそんなことは無かったようだ。


「私はハクリュ種です。竜の一族の巫女です」

「フィールの姉じゃないのか?」

「違います。フィールとは家同士の繋がりがあっただけです」

「そうだったのか、取り敢えず中に入るか」


 中に入ると受付の女性は驚いていた。

 通りがかりに聞こえたのだが、受付嬢の左の奴俺のことを小声で、ロリコンが戻ってきたと言っていた。

 この宿屋は俺に全力で喧嘩を売ってきているようだ。

 あとで嫌がらせに温泉でも凍らせておいてやるか。


 部屋について直ぐに大きく息を付く。

 心なしか落ち着いたのかもしれない。

 それぞれその場に崩れ落ちるように座り込む。

 

「話し合う前に温泉で体を休めるか?」

「そうですね!」

「温泉? お兄ちゃんそれ美味しいの?」

「食い物じゃねぇよ」

「お姉様一緒に温泉どうですか?」

「フィールとお風呂は久しぶりね」


 一旦二人とは別行動をする。

 こっちはフールと二人で男湯に向かう。

 一応立て札を外して混浴かどうか確認する。

 

『男湯』


 よし、今回は大丈夫だ。


「お兄ちゃん早く温泉!」

 

 フールは俺の不思議な行動を黙って見ていたが飽きていたようだ。

 服を掴んで急かしている。

 

「奥に入って服を脱げよ」

「うん!」


 フールはすぐに脱ぎ、浴場に走って行く。

 その際にたまたま浴場にいた親父に俺はフールと居るのが見られて、「小さければ男でもいいのか?」なんて言われたが、断固否定しておいた。

 まったくどいつもこいつも俺をどう見てるんだ? 

 呆れつつ風呂に浴場に入った瞬間、視界に津波が襲ってきた。


「おいフール! 風呂に飛び込むな!」

「大丈夫お兄ちゃん?」


 そこにいたのは色白の女の子……いや男の子だった。

 こいつ顔が女みたいだから、そんな可愛い声でお兄ちゃんとか言うと、悪い大人に捕まるんじゃないか?

 フールの両親を助けたら言っておかないとな、怪しい大人に気をつけろよって。

 ん? そう言えば討滅作戦まであと二日だな。

 待て、やばいぞ。

 いやよく考えてみろ、ギルドが動く前に連れさらわれたなら、討滅作戦に関係はないのか。

 だが連れ去った剣士共は一体何者なんだ?

 この街を旅立ってから二日だが色々と面倒なことが増えたな。

 ともかく討滅作戦については、儀式をしていたルーン種だどうとかだ、それにギルドもすぐに何かするとは思えないしな。

 

「いざとなったらフールの家までテレポで飛べばいいか」

「お兄ちゃん何か言った?」

「いや何にも」


 今日だけはゆっくり休もう。



 +



「では行くぞ、忌々しいルーンをこの手で殺すのだ!」

 

 その頃ルーデリアでは、ギルドが作戦を開始した。


 

 









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