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Sa ra i ra  作者: 白先綾
「太陽と月が泣いたのは、どうしようもなく昼で」

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「黒、涙の川」

挿絵(By みてみん)

 どうにか理性を保って歩いて来たと言う位に負の心持ちにまた陥り掛けていた彼女の瞳の月にまたも満月らしさが帰ろうとしていた、彼女の瞳の見据える先に、乾いた大地以外の新しい景色が介入して来たのだ。そしてその新たな視覚を刺激する一線は、光を放っていた、まるで途切れる事無い光の住処で有ると言う位眩く、彼女の足に括りつけられた見えざる重石、その鎖を光の刃で断ち切ってくれる程力強く。足に翼を得た彼女は今までの重たい足取りが嘘の様に、太陽の赤子を探す決意をして立ち上がってから実に初めて、走り出していた、自分に微笑みかけてくれそうな優しさの泉を探し回る事をして初めて見つけたその自分の目指すべき愛すべき対象物へと。

 段々とその一線が近付いて来る。勿論近付いて行っているのは彼女の方だ、だが彼女がこの世界に入り込んでから今まで感じた事が無い、太陽の赤子が何処かに居ると言う曖昧な期待よりも強烈で確実な期待を胸に抱きながら疾駆する事の時間経過感は恐ろしく速く、まるで一線が彼女と一秒でも早く出会う為に大地を食らいながらこちらに迫って来ている様な錯覚を彼女に齎していたのだ、そして彼女はその錯覚が一寸も怖いとは思えなかった、その一線が自分と抱き合う為に駆け寄って来る頼るべき親の様にさえ感じられた、それ位その一線の放つ光が輝かしく見えた、彼女は、天の光を忌み嫌うあまり地面から出る光と言うものに逆に無条件過ぎる希望と信頼を持ってしまっていたのだろう。

 それが地面からの光、と言う非常に魅力的な歌を歌いしていなければ彼女の想像力は簡単にそこへたどり着いても良さそうな物だったが、想像力を働かせるには魅せられ過ぎていた彼女はやっと視覚によって失望する。一線はどうやら川だった、光はつまり天の光を反射しているに過ぎず、彼女の足取りは急に弱まった、それでも勢いが付いていたし天の光を反射しているからと言ってそれ自体が忌むべき存在と言う訳でもないと考えた彼女はその勢いを無理に留めようとはせず緩やかにスピードを落としながら川へと到着した。じっと自分の下の偽りの光の代弁者を眺める。そして違和感が有るのに気付く、川と言うのは光と言う歌よりもまず先に歌わねばならない物が有るのではないか、その本来歌うべき歌を歌っていたなら私は目で確認するよりも前にこの地の一線が何であるか判断する事が出来たのではないか。彼女が謂わんとしている事はつまり、何故、川のせせらぎが、煌びやかなる光反射と言う映像美術への伴奏が成されていないのか、と言う事だ。理由に気付いた彼女は思わず後ずさりをする、この川は、流れていなかった。変化を否定する世界に有って川でさえもその存在を歪められていると言う事だ、勿論地面にしたって風に伴う砂埃の旅が有ったり草木もまた風により可憐な舞を踊ったりするのだが、この川と言うのはそれらとは違い変化と言う物とあまりにも密接だ、変化と言う属性無しでは川と名乗る事が出来ない位に。だが、それでもこれが川であると言えてしまうのには訳が有る、この川は、全く淀んでいないのだ、清潔そのもの、砂埃や枯葉がこの川の清らかで澄んでいると言う属性を汚していない、何故なら砂埃や枯葉が発生する変化もここでは禁じられているからだ。痛い程の純粋さを宿したそれを涙の川だ、と彼女は思った、悲しみは何れ流れ消える、だからこそ人は泣いた日を忘れて笑顔を持って他人と仲良く快活に生きていこうと言う心持ちを再度獲得出来るのだが、この世界は全くその悲しい事が解決していないのだ、生がそもそもきちんと生として存在出来ていないのだ。彼女はいつかこの悲しみの川の涙を一滴残らず優しい海へと還してやろう、悲しみがなんてちっぽけな物なのだろうと思わせてくれる広く大きい、そして美しい大海原へと船出させてやろう、そう誓った。

川を見る図 木を描けないんでちょっと造りが不自然になって来ますね 何気に右側に川が有ると言うのは構図上重要、越えられない壁ですからね

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