表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

1-2

 ちょっと待てよ、少し整理しよう。俺の可愛い妻叶音が光り出して起きたらここにいた。男三人が襲ってきて落ちてた木の棒を振り回していたら、炎が出て男たちは逃げて行った、と……

 簡単にまとめるとそういうことになる。

「なんなんだよ、一体」

 体は中学生だし、魔法は使えるし、何なんだよ本当。俺は二次元の世界にでも来てしまったのか。くそっ、まだ車のローンが残っているのに。なんてこった。


 元の場所に戻ってみるとやっぱり石像があった。その石像をよく見てみると、文字が書いてあることに気づいた。

「ニハウィー王国の女神?」

最初は英語かと思ったが、違った。ローマ字のようだ。ちょっとダサいと思ってしまった。

 その像は周りにたくさんあり、どれも女神か、女性戦士のような像だった。しかし、奥にぽつりと立っている像は他の像と違い、ボロボロだった。首は取れ、腕は片方取れている。


「何でこれだけボロボロなんだ?」

 そこに文字は書かれていなかった。なんだかおかしい。これだけ不自然に朽ちているなんて。

「ハァー……そんなことよりどうしたらいいんだよ、これから」

 まだ昼間だが、これから時間が過ぎて夜になれば何があるか分からない。

 また奇跡が起きるとも限らないし、この木の棒をどうしようか……

「もういらないか」

 この木の棒なんかより、探せばもっと武器になるものがあるかもしれない。投げよう。


「よいしょっ!」

 俺は棒を遠くへ投げた。

 棒は遠くへ飛んで……


「うおっ!」

 真っすぐに投げたはずの棒が顔に当った。意味がわからん。

「なら、真っ二つに折ってやる」

 俺はやればできる人間なんだ。だからこの棒だって折れるはずだ。


「おりゃああああ!」

 折れ、ない、だと……何度折ろうとしても折れない。まるで、ゴムでできているようだ。


 「くそっ! どうなってんだよ!」

 この世界も、俺も、どうなってんだ。誰か俺に説明してくれ。

「もう! さっきっからあんた、あたしに何してくれんのよぉ!」

「……誰だ?」

「あたしよぉ! あんたの守護精霊よ」

 この木の棒が俺の守護精霊? 守護精霊って使い魔ってことか?

「は? このどこにでも落ちてそうな木の棒が守護精霊? そんなわけあるか!」

「そうよぉ! 今はこの棒に憑依しているけど、正真正銘の守護精霊様よ。あんたの魔力が無に等しいから実体化できないのよぉ」

 ああ、なるほど……って、すぐさま納得できるか! 木の棒、もとい俺の守護精霊は浮いている。他から見たら木の棒が浮いているようにしか見えない。俺にもそうとしか見えない。俺の魔力? 実体化? 

 本当何なんだ。頭が本格的におかしくなってきたのか、俺。


「さ、とりあえずこんなド田舎を抜けて王都へ向かうわよ!」

「なあ、なんでそんな口調なんだ?」

 さっきから気になっていたことだ。この守護精霊が実体化したら、可愛い女の子になるんだろう? 違うのか? 

「あたしが、オ カ マ だからよぉ」

 幼女でもなく綺麗なお姉さんでもなく、男……それも、オカマが守護精霊……これからどうしろって言うんだ。漫画とかアニメじゃ、使い魔って言えば可愛い女の子と決まっているんじゃないのか?

 別にオカマが嫌いなわけじゃない。そういったバーに行って勇気づけられたことも確かにある。だがな……使い魔と言うならばそこは女の子で……


「……もういいや」

 もうどうでもいい。どうにでもなれ。

「もうっ! さっさと行くわよ。王都まで三時間ぐらいはかかるからさっさと歩く!」

「へいへい……」

 俺は使い魔の後を歩く。道なき道を一時間ほど歩いたところで使い魔が口を開いた。

「そうそう、あんたにこのニハウィー王国がどんな所か教えなきゃね」

 唐突に使い魔が呟いた。ニハウィー王国、それは叶音が夢について言っていた時に出てきた言葉。それにさっきの石像もニハウィー王国と書いてあった。

「叶音がニハウィー王国の姫?」

 それなら、早く叶音を見つけて帰らないと。新築建てるって約束したのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ