第1話
気長に読んでやるよという方、募集←
恋愛含んだのファンタジーにできればしたいと、無謀にも思ってます。チャレンジ精神のみで書いてるので文才には目をつむってやって下さい(´`*)
(…まったく。なんだってこんなことに)
この店『 bric-a-brac 』のいち店員、アッシュは心の中だけで不満をこぼした。
それと同時にため息もこぼした。
顔を俯かせると肩の上で切り揃えられたストレートの髪がさらりと流れる。
アッシュの瞳は店内の柔らかい照明のもとで深い緑色をたたえ、髪の色は店で飼っているロシアンブルーの毛と同じである。
彼女は今現在、店番を任されていた。
アッシュは最近になってこの店に身を寄せるようになった新人であり、不慣れであろうということから本来一人でいいはずの店番を、朝からもう一人の人間と行っている。
とはいえ、実のところこの店は少々特殊な事情によりお客様が少ない。
むしろ1日中お客が来ないことの方が普通だと、アッシュはこのごろ知った。
なら何故二人も店番が必要なのか?
アッシュには不思議であったが、ここのオーナーには恩義があるので強く頼まれては拒否する理由もないと思っていた。
(一緒に担当するのがこいつじゃなければね!)
アッシュの不満の主な原因はこのもう一人の店員、ゼロにある。
神秘的な色合いの瞳をすがめて、アッシュがじろりとそちらへ目を向けると、バッチリと鳶色の瞳と視線が合った。
カウンターで座る彼女とは少し離れたところで、壁に寄りかかるようにして立っている青年が気だるそうに口を開く。
「…なんだよ?」
(なんだよ?ってあんたね…)
このやりとり、店番開始から何度繰り返したことか。
背が高く、剣の使い手であるゼロは口が悪く、態度が悪く、性格が悪く、この店に来て以来、妙に絡んでくるため、目下のところアッシュの天敵であった。
自分の容姿が整っていることを知っていてか、襟足まで適度に伸ばされた焦げ茶の髪が首を傾けた拍子に少し顔にかかっているのすら見ていてしゃくだったりする。
そして何故か、常日頃からゼロはよくこちらを見てくるのだ。
いや、もはや"見る"というより"観察する"というのが正しいくらいの勢いで、アッシュへと日常の中で視線をよこす。
店番のため強制的に同じ部屋にいる今、特に視線や気配に敏感なアッシュとって、正直かなりうっとおしい存在だった。
だから睨んでその視線に気づいていることを示しているのだが、あまり効果はないようだ。
(ま…だいたい検討はつくけどね…)
きっとこいつは新参者の私を警戒しているのだ。
そうアッシュは結論づけていたものの、わざわざそのことを本人に確かめようとはしなかった。
その警戒は当然のことであると思ったし、そのうち無害だと知れるだろう。
ということで、
「暇。」
先ほどからと同じセリフを、アッシュも呟くことにした。