《別れ》
「ちょっとそれあたしの!」
「へへ〜ん。俺が先に
とったもん。」
翔が告白してきて1ヶ月。
いつのまにか6月になっていた。
あたしたちは、とても仲良し。
初めて会ったときは、苦手なタイプだって
思ってたけど・・・
今は、さくらんぼみたいに
2人で1つになっている。
翔は、おもしろくて
いつもあたしを
笑わせてくれる。
翔と付き合うようになってから
毎日が変わった。
学校も行く意味ができたって感じだし
何でも
「やってみよう!」
って思えるようになった。
恋をするとこんなに
変わるんだって
正直驚いてる。
毎日楽しい。
そして生きる意味が
できた感じ。
そう、それがあんなふうになるなんて。
いつものように2人で歩いて帰っていると
ボール遊びをしている
男の子2人がいた。
幼稚園児くらいだろうか?
とても愛らしい。
すると、ボールが道路に
ポーンと転がっていってしまった。
男の子の1人が
ボールをとりに行く。
そのときだった。
トラックが急に曲がってきた。
「危ない!」
「キキキー!!」
「ドンッ!」
ブレーキ音となにかがぶつかる鈍い音。
ふと隣を見ると翔が
いない。
「あれ・・?翔?」
「あっ!」
「お兄ちゃん!大丈夫?」
「え・・?嘘でしょ・・・?」
翔は、トラックの下にいた・・・
翔が死んでもう一年。
男の子をかばってトラックの前に
飛び込んでいって・・。
翔らしい。
でも、あまりにも急な別れに
戸惑いは大きかった。
泣いた。
毎日、泣いた。
あの笑顔は・・・
あの翔は・・・
もういない。
神様は意地悪だ。
あたしは神様を憎んだ。
でも、翔が見てたら
怒るだろうな・・・
「明日香!そんな顔すんなよ!」って。
しっかりしなきゃ。
いつまでも泣いてちゃダメだ。
でもね、翔に言っておきたかった。
愛してるって。
これからあたしは
また新しい恋をする。
でもね、その時に必ず翔を思い出すよ。
あなたに出会えて
本当によかった。
心から言えるよ。
あたしの心の中で
ずっとずっと生きていてね。
たくさんあたしに
愛をくれてありがとう。