表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/51

7話 私と初恋の人

今回は、鈴鳴猫子の目線のお話です。


パートナーが書いてくれた鈴鳴猫子の絵が物凄く可愛くて、一気に書いてしまった。

「私、鈴鳴猫子すずなりねこは、この【晴天高校】に入って、恋をしました」

「その人は人と関わる事が嫌いだけど、私を助けてくれた…変わり者の私を、苛めもしなかったし、馬鹿にもしなかった」



「そう…あの人



私の初恋の人…川野丈」






【4月】

私や川野君の高校入学の日、この時私は猫耳のカチューシャを着けていなかった。

猫耳を着けるは私の趣味で、いつもは着けていない。


入学したての、この日でも川野君は普通と違う雰囲気だった。

まるで(俺に近づくな!)と言ってるみたいだった。


最初は(変わった人)と思っただけだったけど、数日すると、私は川野君を見つめるようになっていた。

自分と同じように、人と関わる事が苦手だと、感じたのかもしれない。


同じクラスで似たその人、何度か声を掛けてみようとしたが、勇気が出なくて、うまく行かなかった。

私は彼に近づきたかったが、周りは川野君から離れて行った。

それはそうだ、彼は異常なまでに人と関わらなかった。

誰かが話しかけても「あぁ」とか曖昧な返事を返すだけだった。

誰とも話さないし、誰とも関わらなかった彼を見ていた私は、段々興味を持っていった。


そして、あの日に…私は彼に恋をした。

7月後半、1年生の夏休みの時だった。

この日、私は趣味の猫耳を着けて学校近くの図書館に出掛けていた。


その帰りの夕暮れ道で、私は同じ学年の不良に絡まれてしまった。



「可愛いじゃねぇ~かお前、猫耳着けてお散歩なんてよぉ~、変なヤツだけど、可愛がってやんよ~~」


「は…離して…ください!」



相手は1人だったけど、私は恐怖で動けず、眼鏡を押さえて震えてるしかなかった。



「た…助けて…誰か助けて」


「キモぉ~、い〜じゃね〜か、俺と楽しい事しようぜぇ〜」


「助けて!!






「ほら、一緒に…「ダイナミック百科事典バスターーーー!!!!!!」んぎゃん!!!」




もうダメと思った時、あの人が助けてくれた。



その瞬間はいつまで経っても忘れない。

白目をむいて倒れる不良、空飛ぶ百科事典、そして、夕日を背にして立っていた…川野丈君。



「ガシッ!」


「え?わぁ!?」



川野君は私の腕を掴むと、走り出した。

結構走って、安全と分かると、私達は止まった。



「「ハァ…ハァ…」」 



私は、川野君を見た。

その顔は、少し笑っていた。



「あ〜!すっきりした!!」



川野君はそう言うと、理由を話してくれた。



「あの不良、チョクチョク絡んできやがって、腹立つから百科事典ぶつけてやったよ」


「あ…あの…」


「んあ?」


「助けてくれて、あ…ありがとう」



無視されると思ったけど、一応お礼を言っておきたかった。

でも川野君はあまり感情を込めずに言った。



「気にするな」



ただそれだけ、でも私は嬉しかった。

川野君が、私を無視しなかった事が。



「この事は誰にも言うな。俺、人と関わるのが嫌なんだ」


「え?…う…うん」


「それと、今後も、あまり俺と関わらないでくれ」


「うん…」



川野君はそう言う帰ろうと、背を向けた。



「助けた理由だけど、あの不良が気に食わなかったのと………お前の事が……お前が優しそうなやつだったから助けた…それだけだ」


「え?」


「その猫耳、似合ってるぜ」



そして川野君は、そのまま帰って行った。




次の日から、私は学校に猫耳をしていくようになった。




そして翌年の7月前半、廊下を走って川野君より先に生徒玄関に着いた私は、勇気を振り絞って川野君の下駄箱に手紙を入れた。



彼に告白する為に…

7月は青空がもっともテンション高くなる月なので、更新が早くなります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ