7話 私と初恋の人
今回は、鈴鳴猫子の目線のお話です。
パートナーが書いてくれた鈴鳴猫子の絵が物凄く可愛くて、一気に書いてしまった。
「私、鈴鳴猫子は、この【晴天高校】に入って、恋をしました」
「その人は人と関わる事が嫌いだけど、私を助けてくれた…変わり者の私を、苛めもしなかったし、馬鹿にもしなかった」
「そう…あの人
私の初恋の人…川野丈」
【4月】
私や川野君の高校入学の日、この時私は猫耳のカチューシャを着けていなかった。
猫耳を着けるは私の趣味で、いつもは着けていない。
入学したての、この日でも川野君は普通と違う雰囲気だった。
まるで(俺に近づくな!)と言ってるみたいだった。
最初は(変わった人)と思っただけだったけど、数日すると、私は川野君を見つめるようになっていた。
自分と同じように、人と関わる事が苦手だと、感じたのかもしれない。
同じクラスで似たその人、何度か声を掛けてみようとしたが、勇気が出なくて、うまく行かなかった。
私は彼に近づきたかったが、周りは川野君から離れて行った。
それはそうだ、彼は異常なまでに人と関わらなかった。
誰かが話しかけても「あぁ」とか曖昧な返事を返すだけだった。
誰とも話さないし、誰とも関わらなかった彼を見ていた私は、段々興味を持っていった。
そして、あの日に…私は彼に恋をした。
7月後半、1年生の夏休みの時だった。
この日、私は趣味の猫耳を着けて学校近くの図書館に出掛けていた。
その帰りの夕暮れ道で、私は同じ学年の不良に絡まれてしまった。
「可愛いじゃねぇ~かお前、猫耳着けてお散歩なんてよぉ~、変なヤツだけど、可愛がってやんよ~~」
「は…離して…ください!」
相手は1人だったけど、私は恐怖で動けず、眼鏡を押さえて震えてるしかなかった。
「た…助けて…誰か助けて」
「キモぉ~、い〜じゃね〜か、俺と楽しい事しようぜぇ〜」
「助けて!!
「ほら、一緒に…「ダイナミック百科事典バスターーーー!!!!!!」んぎゃん!!!」
もうダメと思った時、あの人が助けてくれた。
その瞬間はいつまで経っても忘れない。
白目をむいて倒れる不良、空飛ぶ百科事典、そして、夕日を背にして立っていた…川野丈君。
「ガシッ!」
「え?わぁ!?」
川野君は私の腕を掴むと、走り出した。
結構走って、安全と分かると、私達は止まった。
「「ハァ…ハァ…」」
私は、川野君を見た。
その顔は、少し笑っていた。
「あ〜!すっきりした!!」
川野君はそう言うと、理由を話してくれた。
「あの不良、チョクチョク絡んできやがって、腹立つから百科事典ぶつけてやったよ」
「あ…あの…」
「んあ?」
「助けてくれて、あ…ありがとう」
無視されると思ったけど、一応お礼を言っておきたかった。
でも川野君はあまり感情を込めずに言った。
「気にするな」
ただそれだけ、でも私は嬉しかった。
川野君が、私を無視しなかった事が。
「この事は誰にも言うな。俺、人と関わるのが嫌なんだ」
「え?…う…うん」
「それと、今後も、あまり俺と関わらないでくれ」
「うん…」
川野君はそう言う帰ろうと、背を向けた。
「助けた理由だけど、あの不良が気に食わなかったのと………お前の事が……お前が優しそうなやつだったから助けた…それだけだ」
「え?」
「その猫耳、似合ってるぜ」
そして川野君は、そのまま帰って行った。
次の日から、私は学校に猫耳をしていくようになった。
そして翌年の7月前半、廊下を走って川野君より先に生徒玄関に着いた私は、勇気を振り絞って川野君の下駄箱に手紙を入れた。
彼に告白する為に…
7月は青空がもっともテンション高くなる月なので、更新が早くなります。