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6話 俺と1人のクラスメイト

なんだか思考が回ってない気がしてきたッス(笑)

2014.8/04に修正しました

文月が学校に付いてきて、俺は九流兄妹に近づけた気がした。

今日、どうなるかと心配しながら学校に向かった俺は…



「昨日美術部であった事を聞かせてください」


「……」



あんパンを片手に後輩から尋問を受けていた。





なぜこんな事になってるかと言うと…




時は今朝まで遡る《さかのぼる》

~今朝(文月と朝食を食べているところ)~


昨日は文月を追いかけて、いつの間にか寝てしまっていた。

そして気付いたら朝だった。



「はぁ、体がギシギシする」



変な体勢で、しかも床で寝たため、体が軋む(きしむ)



「はぁ…まったくコイツは」



俺は床で朝食を食べてる文月を見た。



「ったく…帰ったら遊んでやるから、おとなしくしててくれ」


「きゅん」



そう言って、文月の頭を撫でた。

朝食を食べ終えた後、軋む体で学校に向かった。

もちろんカバンの中は確認した。



「はぁ、気まずいな~」



歩きながら昨日の事を思い出していた。

昨日は文月が学校に付いて来てしまって、大騒ぎだった。

その時、俺は進と星名と数年ぶりにまともな会話をした。

そのせいで…何となく気まずかった。今更何を話せばいいやら…



(まぁ、俺はいつも通りに過ごすか)



その後は、特に何も考えず学校に向かった。

学校に着いて、周りの視線が痛いのは気のせいでは無いだろう。

教室に入ると、みんなの目が一気に集まった。

その中にはもちろん進と星名もいた。


俺は黙って、自分の席に着いた。

だが、周りの視線は集まったままだった。



(しかたないか…)



諦めて、俺は気にしないことにした。

その後も特に何も無かったが、視線が刺さったまま授業が始まり、そのまま特に何事も無く昼休みになった。

生徒の大半は他のクラスや食堂に移動し、俺はやっと落ち着くことができた。



「はぁ、まぁ自業自得か…」



コンビニで購入したパンを取り出しながら、そんな独り言を呟いた。

その時、教室のドアが開いて、数人の女子生徒が入ってきた。そして女子生徒達はあろうことか、俺の席に真っ直ぐ向かってきた。

待て待て待て…誰とも面識はないぞ…



「川野丈さん…ですね?」



俺は眉間にシワを寄せながら、いかにも不機嫌という態度で答えた。



「…何?」



女子生徒の1人が聞いてきた。



「昨日美術部であった事を聞かせてください」


「別に…付いてきたツレが誰にも見つからないように美術室で待たせてただけだ」



なるほど、この女生徒達は昨日美術部にいた部員か…

俺は不機嫌その物といった口調で淡々と説明した。

静かな場所に移動するために教室から出ようとすると、女生徒はまた質問してきた。



「待ってください」


「まだ何か?」


「あの子は…貴方のなんですか?」



少し考えてから振り返り、俺はこう答えた。



「文月は俺にとって、1番大切なヤツだ」



教室内のざわめきが小さくなった。

今のやり取りに衝撃を受けたのか、教室内の殆どの生徒がコッチを見ていた。

俺は居心地が悪くなり、昼食を持って教室から出た。

女生徒達もこれ以上居ても無意味と判断し、教室から出て行った。


教室内はいつもの騒々しさに戻った…が…中でたった1人、静かな怒りに震える女性がいた。



(何…?文月って一体誰……? 川野君は…私のなんだから…私だけを見ればいいの…許さない…川野君は渡さない……川野君…川野君……)







昼休みが終わり教室に戻ると、すでに他殆どの生徒達は教室内にいた。

程なくして生徒達は全員そろい、先生も入ってきて午後の授業が開始された。

途中で数人の生徒がこっちを見ているのが分かったが、特に気にしなかった。



(さっきはあんな事があったんだから、当たり前か)



俺はそのまま先生の話を聞きながらノートを取っていた。


そして放課後になると、俺は真っ直ぐ下駄箱に向かった。

途中数人の生徒が猛ダッシュで走りながら下駄箱に向かう姿があったが、これを見て毎回思うことがある。


(走る意味あるのか?)



下駄箱から靴を出そうとすると、その中に1枚の封筒が入っているのが見えた。



「ゑ?」



現在硬直中

俺は上履きを履き直し、男子トイレに向かった。


もちろんダッシュで。


個室トイレに入って、ゆっくりと封筒を開けた。

中には手紙が1枚入っていた。

そこには綺麗な字でこう書いてあった。



『川野丈様へ

いきなりこのような手紙を出してしまって御免なさい。

でも、どうしても貴方に伝えたいことがあります。

明日、土曜日、午後1時に、晴天高校の校門前で待っています』



「ゑ?」



見た瞬間、俺は固まった。何故自分にこのような手紙が来るのか、そもそも、これは本物なのか?

考えれば考えるほど分かんなくなってきた。


差出人の名前は無い…俺は手紙をカバンにしまい、呟いた。


「イタズラだな」


そして、何事も無いような顔でそのまま帰宅した。




「ただいま文月」


「キュン!」



家のドアを空けると、文月が勢い良く飛びついてきた。

俺は文月の頭を撫でると、文月は嬉しそうに目を細めた。



「待ってろ、すぐ晩御飯にするからな」



俺は文月を下ろし、手早く着替えてから、晩御飯の支度を始めた。

晩御飯の最中も、手紙の事が頭から離れなかった。


(アレはなんだったんだ?イタズラか?それとも本当に…?)


食後も、手紙の事をずっと考えていた。



「きゅぅ?」



俺が考えていると、文月が近づいてきた。



「何でもないよ。さて、遊ぶか!」


「キュン!」



だが、その後も手紙の事が頭の隅から離れなかった。




そして翌日

時刻AM6:00



「今日に限ってこんな早起きを…」



見てみると、文月すら起きていなかった。

いつもなら休日は昼まで寝ている俺だが、何故か今日は2度寝する気になれず仕方なく俺は早めの朝食を取った。



(やっぱり行くべきかなぁ…)



パンを齧りながら、そんなことを考えていると、文月が2階から降りてきた。



「き…ふゅぅ~」



まだ眠いのか、大きなアクビをしていた。



「ゴメンな、起こしちゃったか」



そう言いながら文月のご飯をカップに入れた。

だが、頭の中で手紙の事で一杯だ。

いままでそんな経験は無かったし、来るとも思わなかったから…はっきり言って動揺している。



悩んだ末に俺は…



電車に乗っていた。

このままでは手紙が気になりすぎて何も出来ないので、仕方なく真相を確かめに学校に向かっていた。文月はまた留守番をさせている。

そしてそんな事を考えながら歩いている内に、ついに学校前に来てしまった。



「……」



俺は隠れながら校門を見た。

そこには…



「いるし…」



確かに人がいた、しかも女性だった



「だけどアイツって…」



俺はその女性に見覚えがあった。

何故ならその女性はクラスメイトだった。


鈴鳴猫子すずなりねこ

腰まである黒髪が綺麗な女の子だが、かなりの変わり者で有名だ。(人の事言えないけど…)

まず第一に、俺と同じくほとんど話さない。

だがこれは言動を見る限り、ただの恥ずかしがり屋なだけだろう。


そして第二に、道端で猫とじゃれ合う姿が度々目撃されている。(俺も1度見た)


そして第三、これが1番不思議だ。

鈴鳴は毎日猫耳のカチューシャをつけている。

学校にもお構い無しに付けて登校してくる。

最初は教師にも色々言われていたが、周りに迷惑をかけていないと言う事で、特に問題になっていなかった。


だが、そのカチューシャははっきり言って凄く似合っている。

全く違和感が無いくらいに似合っていた。

まるで名前のとおりの猫のようだった。


おまけに美人と来ている。

そしてその美貌が余計に変わり者度を際立たせていた。



「そんなヤツが何故俺にあんな手紙を…?」



俺は隠れながら鈴鳴猫子を見た。

良く見てみると、鈴鳴猫子の私服(?)はかなり凄かった。

いや…私服と呼べるのか分からないほど派手な、どこかのお嬢様みたいなフリルの付いた黒いドレスのような服を着ていた。

ちゃんと黒い手袋グローブもしている。


(ってか、今7月だろ…暑くないのか?)


しかも猫尻尾が付いてる。

そのせいで、いつもよりもの凄く変だった。

でも可愛いのと思ったのは、内緒だ。



(って、いつまでも隠れてるわけに行かないよな…よし!)



そして意を決して、鈴鳴猫子の前に姿を出した。



「あ…来てくれたんだね…嬉しい……」



鈴鳴は耳まで赤くなりながらそう言った。



(え?イタズラじゃないの?)



まさかとは思うが…



「私ね…川野君に、伝えたいことがあるの」


(ちょ!えぇ!?)



まさか!?



「ずっと前から言おうと思ってたけど、なかなか勇気が出なくて…」


(おいおいおいおいおい!!!)



これって…



「でも、このままじゃ、川野君取られちゃうかもしれないから…ちゃんと言う!私…川野君の事が…」


(嘘だろ!?)



やっぱり!!


お互い顔が真っ赤になっている。

鈴鳴のは息も荒くなっている。



そしてついに…!!






「好きです!!私と付き合ってください!!」




続く

スランプが治って、絶好調な青空です。



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