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35話 俺と海と旅行

ようやく続きが書けました。


にしても…俺の小説、いつまで夏なんだろう…

旅行話と散髪から数日、明日は待ちに待った旅行の当日だ。

俺は旅行用のカバンに荷物を詰め込みながら猫子と電話していた。



「あぁ、分かってる。明日は7時に集合だよな?」


『うん、じゃぁ、また明日ね』


「うん、また明日」



俺は電話を切り、改めてカバンに荷物を詰め込む。

文月は俺のベッドで寝息を立てている。

いやぁ、楽しみだ…

友達と旅行なんて初めてだから、ものすごく興奮する。

実を言うと、修学旅行も行った事無いから、旅行自体が初めてだ。

小学生と中学生の時は最悪の時だったから、自分で行くことを止めたのだ。

社会化見学なんかは参加したけど…あれは旅行とは言わないよな。



旅行に必要な物は、あらかじめ猫子が教えてくれて、それを元に進めていく。

ちゃんと学美さんに見直してもらって、必要な物と不要な物を分けてもらった。

猫子の書いたメモの中にはおよそ旅行に不要な物も入ってた。

〔ピーーー〕とか〔バキューン!〕とか〔放送禁止用語〕とか…



どうやら旅行先には洗濯機があるみたいだから、着替えは少なくて良いみたいだ。



「さて、用意はこれぐらいでいいだろ…明日は早いし、寝るかな」



明日が楽しみだな…






次の日、猫子の家に俺達は集合していた。

猫子と学はもちろんの事、そこには俺、レオ、九流進、九流星名、紅巳茶、犬飼結菜、鼠須酸橘。そして、俺の誘いで来た大鷹光がいた。


全員で10人だ。

ここにさらに猫子の両親が加わるから、12人だ。

そして、文月と誘波イザナミと、白い猫がいた。



「この子はレオのペットの誘薙イザナギにゃぁ!!」


「みゃーう」



レオは白い猫、誘薙を掲げた。



「誘薙は誘波のお兄ちゃんにゃんだよね~」


「みゃう」


「にゃぁ~」



誘薙は床に降ろされると、すぐに誘波の元に向かった。

二人はとても仲がいいみたいだ。

そんなレオを冷や汗を流しながら見ているのが、星名と巳茶だった。

冷や汗と言うより、もはや脂汗だ。



「ど、どうした?」


「い…いやぁ…レオちゃん、相変わらず元気そうで…」


「私は!今年は海で男をナンパするから、相手は星名!お願いね!」


「ず、ずるい!巳茶ちゃん、私に押し付ける気!?」


「だって、去年思い出してみなさいよ…夏の白い悪魔…」


「うっ…」



どうやら、前に話してた『白い悪魔』というのは、レオの事みたいだ。

大方、朝から晩まで遊び通したんだな。

そんな皆をクスクスと、軽やかに笑いながら見てた光は、自己紹介を始めた。



「改めて、丈君の友達の大鷹光です」



光は丁寧に頭を下げて自己紹介をしている。

礼儀正しいなぁ…

皆(特に男)は光のお姉さんオーラで、少し顔を赤らめた。



「後、丈君のお姉ちゃんでもあります」


「いやいやいや!!余計な一言ついてるよ!?」


「だって~、丈君、リアクションがいちいち面白くてぇ~、ついいじりたくなっちゃうよ~」


「だ!だから!ここでそういうのはやめてくれ!」



恥ずかしいっつうの!

気付くと進は、光を不思議そうに見て、俺に耳打ちしてきた。



「丈、もしかして…?」


「ん?あぁ、俺…光には……その、出合った時から、何か打ち解けられて…まぁ、光の前ではいつもこんな感じだ…」


「そうか…、良かった」



進はそれだけ言うと、光に自己紹介を始めた。

そんなやり取りをしてると、結菜先輩も頭を下げて挨拶をした。



「はじめまして、晴天高校3年生、犬飼結菜です。私、丈のお姉ちゃんです」


「いや待て!!先輩まで何言ってるんですか!?ってか、いつの間に呼び捨てになったの!?」


「良いじゃない。私と、丈のな・か・で・しょ」


「そんな仲でもないじゃん!?まだ数回しか合ってないですよね!?」



チラッと光を見てみると、顔は笑顔だが…背景が暗い…

今度は結菜先輩を見るが…こちらも笑顔が怖い…


二人とも顔は笑ってるが…なんか〔ドドドドドド!!〕とか擬音が聞こえてきそうだ…


そこにタイミング良く、ドアを開けて猫子が現れた。



「お待たせ、車の準備できた…って、何やってるんですか?」



猫子は笑顔で睨み合う年長者を見て目を丸くした。

その後、何とか落ち着かせて、今度は車の座席を決めることにした。


12人と大人数のため、2台の車に別れて乗る事になった。

運転するのはもちろん、猫子の両親だ。


学美さんの車には猫子が乗って、お父さんの車には学が乗る。

後はそれぞれ別れて乗る。

その車を決める中で、学美さんは割り箸を何本か握っていた。



「こんな事もあろうかと、くじ引きを用意しました!」



簡単に、黒と赤で塗られた割り箸で乗る車を決めるみたいだ。

ちなみに、学美さんが乗る車は赤いシャープな車、5人乗り。

お父さんが乗るのは、黒くてゴツい車7人乗り(荷物はこっちの車に乗せる)。


用意された割り箸は7本。

乗る車が確定してないのは8人。

何故割り箸が1本少ないのかと言うと、光は俺と同じ車に乗るからだ。

すでにそれが決定してるから、1本少ないと言う事だ。


(赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて赤引いて)



猫子の刺すような視線が赤を引けと叫んでいた…。

そして皆で一斉に割り箸を引いた!!





その後、俺達を乗せた車は順調に目的地へと向かっていた。


結局、学美さんの車(以降A車)には

学美さん

猫子

レオ

大鷹 光 が乗っている。



お父さんの車(以降B車)には

お父さん

犬飼 結菜先輩

紅 巳茶

九流 星名

九流 進

鼠須 酸橘 が乗った。


妥当なところだろうかな。俺としては、この際、進と少し仲を取り戻したいと思っていたが、それは旅行先でしよう。

席順は、車に酔いやすい俺は運転する学美さんの隣、助手席に座り、猫子、レオ、光は後部座席に座っている。




B車内


(九流 進)



乗ってる人数が多いこっちの車は、会話がとても盛り上がっている。

紅の仕切りで、鈴鳴さんの弟…学に、それぞれ改めて自己紹介などを済ませて早くも皆仲良くなっている。


席順は、助手席に学、運転席にはそのお父さん、その後ろの座席に左から紅、星名、犬飼先輩。一番後ろに俺と鼠須だ。



「あぁ~、丈と乗りたかったなぁ…」



犬飼先輩は何度かそう愚痴ってはいるが、それでも皆と楽しく話していた。



「お兄ちゃんも、丈君と乗りたかったんじゃない?」


「ん?あぁ…まぁな」



妹の星名が唐突に聞いてきて、俺はあいまいな返事を返した。

正直なところ、一緒の車が良かったような…そうじゃないような…

おれ自身、まだ丈と話すのは少し慣れない…

何を話したらいいのか、どんなことを話せばいいのか…


どんな顔で話せばいいのか…


悩んでいても仕方ないのは分かってるが…いまいち決心がつかない…



「こういうの…踏ん張りがつかない…って言うのかな…」


「お兄ちゃん、たぶんそれ…踏ん切り」




A車内


(川野 丈)



「なぁ、猫子。これから行く所、どんな所なんだ?」


「うちの別荘があって、海水浴場も歩いてすぐにあるわよ。毎年たくさんの海水浴客で賑わってて…あと、出店もやってるわね。明日には近くでお祭りもあって、夜に花火が上がるわ」


「海に祭りが一緒とは、なんとも楽しそうだな。なぁ、文月」


「きゅうん!」


「ねぇ、丈君」


「ん?何だ光〜」


「私、浴衣持って来てないけど…どうしよう」


「私服で行くしかないんじゃないかな…?」



光の浴衣が見れないとは…なんとも残念だが…



「私の貸しますよ。あらかじめ別荘に届けてあるのから」


「??浴衣って何着も必要なのか?」


「だってぇ〜、丈君が一番好きな浴衣で行きたいからぁ〜…後で、私の…ユ…カ…タ…じぃっくり見てね…」


「でも、猫子ちゃんの大きさじゃ、光おねーちゃんのおっぱい入らないにゃん?」


「は…入るわよ!!浴衣なんだから多少の大きさの違いくらい………ッ!!」


「え〜っと、猫子ちゃん?あんまり私のおっぱい触らないで欲しいんだけどぉ〜」


「え!?後ろで何やってんの!?お前ら何やってるんだ!?」



文月が俺の顔を前足で思いっきり抑えるから、振り向けない…

気になる!!何やってるの!?



「あらあら、それじゃ私の浴衣貸すわよ。身長も大体同じくらいだしね」


「ありがとうございます」


「そういえば、俺のゆ「それなら一緒に送ったから、心配ないわよ」猫子ならそう言うと思ってた」






しばらく車内で歓談していると、サービスエリアに到着し、休憩を取ることにした。

俺も慣れない車で少し乗り物酔いしてしまってるからありがたい。



「丈、飲み物買ってこないか?」


「あぁ、行くわ」



進に誘われ、自動販売機までジュースを買いに行った。

俺はコーラを、進はサイダーを買った。



「丈…最近、どうだ?」


「んあ?まぁ、楽しいよ」


「そうか…良かった」



俺と進は東屋の柱を背もたれにたまま、時々ジュースを飲みながら立ち話を続ける。

ぎこちない会話だが、俺と進に取っちゃ大きな進歩だった。



「お前こそどうよ。最近」


「普通だよ…」


「そっか…」


「楽しみだな、海」


「あぁ、俺は…10年ぶりくらいか…」


「あ、ゴメン!」


「別にいいよ、謝んなくて」


「うん、ありがとう」


「バーカ、お礼を言うとこでもないよ……」





「…ありがとうな」



最後は進に聞こえないように小さく…本当に小さくつぶやいた。


聞こえたか分からないが、進は…進もほんの少しだけ、ニッと笑った





それから再び車に揺られる事数十分、ようやく海が見えてきた



「うわぁ…スゲェ」



俺は思わず歓喜の声を上げた。

10年ぶりに見る海は、昔に見た海とは全く違った。

太陽の光が反射して輝く海は、まるで青い宝石を詰め込んだ宝箱のように輝いていた。



「丈君、目がキラキラしてる」


「うえ!?何言ってるんだ光。そんな事ないぞ…」



「そんな事言って、本当はすぐにでも海に行きたいんでしょ?」


「うぅっ…」



まさに、そのとおりだった。


目的地に着いた俺達は、さっそく海と行きたいが、その前に鈴鳴家の別荘の掃除に取り掛かった。

自分の泊まる部屋は自分で綺麗にする…との事。



「家具は殆ど無いから、簡単に掃き掃除と拭き掃除だけでいいわよ。掃除道具はあっちの倉庫ね」


「よし、水道はあっちにあったよな?バケツある、雑巾ある、はたきある、ホウキある、ちりとりある」



俺は一つ一つ掃除用具を確認してから、手ぬぐいでマスクをした。

文月は、はたきを口に咥えている。

それを見ている猫子がマスクをしながら言ってきた。



「丈君、結構形から入るタイプなんだね…」


「やるならしっかりやる。それが俺だ」



その後はそれぞれ部屋ごとに別れて、掃除を始めた。

と言っても、しばらく使われてないだけだから、ほこりがたまってる程度であるためすぐに終わった。

後はこの汚れた水を捨てるだけ…



「「キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」」


「何だ!?どうした!!」

「きゅん!?」

「何今の悲鳴!!」

「一体どうしたの!?」

「何ニャ!?」



俺は悲鳴の上がった部屋(そこは結菜先輩と光が掃除をしてる部屋だ)に向かい、扉を開けた…

その瞬間、4つのやわらかい物体が俺の顔に押し付けられ

その圧迫で息が出来なくなり

その衝撃で俺の首がおかしい方向にまがり

反動で後ろの壁に後頭部を強打した。


まるでスローモーションのように時間がゆっくり過ぎていく。



「ゴゴゴゴゴゴゴ!!ゴキブリイイイイ!!」


「イヤァ!!ゴキブリイヤァ!!」


「………(ぴくぴくぴく)」



時間の感覚が戻る頃には、俺の意識は朦朧としていた。

やわらかい天国に包まれ、窒息と痛みの地獄を味わいながら…



「天国と地獄が見えた…」


「災難だったなぁ…丈…」



その後は海で遊ぶために、一旦皆水着に着替えることにした。

俺は進と一緒に着替え終わり、居間で皆を待っている。

水着に着替えてから、その上に猫子が買ったアロハを着ている。進はパーカーを着ている。



ちなみにゴキブリはレオと文月が退治したから問題無い。



「そういえば、鈴鳴さんの両親は?」


「ん?あぁ、残りの掃除をするって。俺達はせっかく海に来たんだから、後は任せて…だって」



俺と進は居間にあるソファーに体を預けて、のんびりと待つことにした。




続く

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