27話 俺と鈴鳴家と両手に猫
今回は早いです!!
そして、猫子ちゃんファンの皆様、お待たせしました、猫子ちゃん、ヤンデレ全開です!!
「はぁぁぁぁ…じょぉ~おぉ~…なぁんで、わかんないのかなぁ…」
「え…いやぁ…そのぉ……」
俺は今、猫子の部屋にいる…。
しかも猫子に頭を踏みつけられている…。
ブーツだ…部屋なのにブーツを履いている…しかも服は何処から出したのか…ボンデージだ…
ボンデージだぞ!ボンデージ!そんな服普通目に付かないぞ!?
ってか何でコイツはこんな服を持ってるんだよ!?
エロ本でしかそんなモン見たことないぞ!?
(いや…待てよ、俺エロ本見たこと無いどころか、持ってないじゃん…)
ゴリゴリ…
フローリングの床と俺の額が嫌な音を立てる。
腕は後ろで縛られ、全く動けない…。
しかも首には革製の首輪がはめられ、その先は…
ジャラ…ジャラ…
鎖に繋がれている…
―――戻ること数分―――
レオとの遊びが終り、鈴鳴家に戻ると…黒い何かにさらわれ、この状況にいたる…。
恐らくあの黒い何かは猫子の長手袋だろう…今もはめているその長手袋には、赤い宝石で出来た爪がついていて、それでさっきから首元を引っかかれている…。
文月とレオはどうやら居間に居るみたいだ…。
はっきり言おう…
(どっちでもいいから来てくれ…そして俺を助けろ…!!)
だが、それも叶わず、俺はいまだに猫子に踏みつけられている。見下すような視線とニヤリとした口から、優しい口調で猫子は話しかける。
「ねぇ、丈…なぁんで、勉強サボっちゃったのかな?」
「え~…それは…」
「ウフフ…丈の事だから、今日先生に怒られて、スネちゃったんだよね?」
正解
「ねぇ、丈…なぁんで、レオと遊びに行っちゃったのかな?」
「え~…それは…」
「ウフフフ、丈の事だから、レオをダシに抜け出したんだよね?
正解
ぐりぃっ…
猫子の足がさらに俺の頭にのしかかる
「じゃぁぁ~…なぁんで、レオと腕を組んで帰ってきたの?」
それはレオが離れなかったからです。
「え~それは…」
「ウフフフフフフフ…アハハハハハハ!!キャハハハハハハハ!!」
怖い!!怖い怖い怖い!!
「もぉ…丈には…オシオキが必要にゃぁ〜」
そう言うと猫子は俺を起こし、いきなり抱きついてきた。
「ね!猫子ぉ!?」
「ウフフフフ…」
グサッ!
「痛い!いだだだだだだだだだだだだだ!!!!!」
あろう事か猫子は、俺の服の中に手を入れ、背中を愛撫してきた。
もちろんその手には爪のついた長手袋がまだされている。
最早、愛撫なんて優しいものじゃない…拷問だよ!!
そしてその爪を俺の背中に突き刺してなぞり続ける。
「じょぉの体にぃ…私を染み込ませてあげるぅ」
「ぎゃああああ!!刺さってるから!!爪が背中に刺さってるよ!?あなたの彼氏が負傷してます!」
「はぁとまぁく、はぁとまぁく」
「ぎゃぁぁす!そのままなぞるなぁ!出血してるぞ!きっと出血してます!愛しいあなたの恋人が出血してます!」
「このままぁ、もっとしてぇ…にゃははぁん」
「やめてください!死んでしまいます!」
―――その頃居間でのレオと文月―――
「文月にゃん、文月にゃん」
「きゅうん、きゅうん」
「文月にゃんは可愛いにゃぁん」
結構楽しそうに遊んでいた。
「さぁて、オシオキはコレくらいにしようかにゃぁ」
「え〜っと、コレはずしてください…」
気がすんだのか、ようやく猫子は首輪を外し、腕の拘束を解いてくれた。
その代償として、背中にハートマークが描かれたが…。
「にゃぁぁぁん、丈の背中にぃ、私の愛がぁ」
「(ゾクッ!)」
猫子は指の腹で背中をなぞった。
手袋が傷口に痛いです。
「まぁ、お勉強も、やりたくないなら進みも悪いし…今日はカンベンしてあげようかな」
「それは良かった…じゃぁ俺はそろそろ帰らせ…」
「待って(ガシッ)」
「猫子さん…なんで俺の襟首を掴むのですか…?」
「お勉強しない代わりにぃ…今日は泊まっていきなさい」
「へ!?」
え!?
泊まる!?
俺が!?
猫子の家に!?
「いや!待て待て待て待て待て!!ダメだろ!?俺達まだ高校生だろ!?」
「何慌ててるのよ…。そんなに私とは嫌なのぉ?」
「い…嫌じゃないけど…お願いだから爪を俺の眼球に刺そうとするなぁ!!!」
「大丈夫だよ〜、いつでも丈君が来てもいいように色々そろってるしぃ、何よりぃ、私のベッド…一人じゃ寂しくてぇ…」
「大丈夫じゃない!!それが問題…嫌あああああ!!解かったああ!!解かったから俺の目を無理やりこじ開けないでぇ!!」
「にゃふふふふぅ〜、丈君とお泊まりぃ〜」
「ハァ…ハァ…ハァ…うぅ…俺、よく人間不信再発しないな…」
いや…それはまぁ…こんな事されても…やっぱり猫子の事が好きだから……かな?
実際、その泊まりの提案、凄く嬉しい。
でも、それを素直に言うと多分こいつは調子にのって俺を襲いかねない…
(やっぱ黙っておこう)
「それよりお前、色々そろってるって…何がそろってるんだ?」
そう聞くと猫子はクローゼットの中から次々と、取り出し始めた。
そしてついでに、いつの間に着替えたのか、ボンデージは脱いでいた。
今の服装は、簡単なシャツとズボンという、部屋着だ。
「まずお箸、お茶碗、歯ブラシセット、パジャマ、明日の着替え、アイマスク、予備のロープ、ロウソク、手錠、足枷」
「お前はいつから俺を拉致監禁するつもりだったんだ」
アイマスクは許そう、ロープとロウソクもまだ防災の備えとかという考えは回る…手錠と足枷で何をする気だコイツ…。
と、そこに、レオがやってきた。
「猫子ちゃん、お母さんが帰ってきたにゃん」
「あ、ほら丈君、挨拶して、報告報告〜」
「お、おう…」
何か、スルーされた気もするが、まぁあえてこの足枷と手錠には触れないでおこう。
階段を降りると、すぐに猫子のお母さんが見えた。
「あらぁ丈君じゃなぁい、いらっしゃぁい」
「ども、お邪魔してます」
俺は軽く会釈をして挨拶した。
廊下は俺、猫子、レオ、猫子のお母さんの4人がいるが、廊下が広く、全く狭く感じない。
猫子は手を合わせてから、お母さんに頼み込んだ。
「お母さん、今日、丈君を家に泊めてあげたいんだけど…いいよね?」
お母さんは最初、困ったような表情をした。
良し!お母さん!そこは断って!
だが、すぐに笑顔になり
「もちろんいいわよ~、レオちゃんもお泊まりするでしょ~?にぎやかのほうが楽しいわよ~」
と言った…
お母さああああああああああああん!!
そこは断ってえええええええ!!
「やったー!丈とお泊まりにゃぁー!!」
レオを相当嬉しいのか、その場でくるくると回り始めた。
片足を軸にバレリーナのように…ではない。
バク宙だ。
どうやってるのか、足音はほとんど立っていない。
「え〜っと、猫子のお母さん…そこは普通断るもんじゃ…?」
「え〜?だって猫子ちゃん、前から丈君と一緒に寝たいって言ってたしぃ、楽しそうでいいじゃない」
「…はい?」
「そ・れ・と、私の事は学美って、名前で呼んでって言ったでしょ〜」
「お母さん!だから何で名前なのよ!」
「その方が息子として来た時に早くなれるじゃない」
「にゃぁん、いやだぁ、そんなすぐに子供なんてできないにゃぁ」
猫子は怒ったかと思うと、クネクネしながら顔をとろかせた。
って言うか…なんで俺すでに結婚する勢いなんだ…?
「って!俺達、まだ高校生ッスよ……学美さん!そして猫子、結婚の前に何で子供を作る予定になってりんだ!!順番逆だ!!レオも訳もわからずはしゃぐな!!」
つ…ツッコミが追いつかない…!
そこに、見計らったかの様に文月と誘波がやってきた。
「あ、文月。よいしょ…ん〜、どこ行ってたんだよ〜〜」
俺は文月を抱き上げて、頬ずりした。
「その子が文月ちゃんねぇ〜、猫子ちゃんから話聞いてるわよ〜、貴方達、とっても仲がいいのよね」
「はい、俺の家族ですから。な、文月」
「きゅうん!」
撫でると、嬉しそうに尻尾を振る文月、それを見て、猫子が羨ましそうな目を文月に向けた。
「さて、それじゃぁ晩御飯はご馳走をつくらなきゃ」
そう言うと学美さんはキッチンに進んだ。
俺達は居間に移り、ソファーでくつろいだ。
廊下や部屋同様、やっぱり居間も相当な広さがあり、ソファーもかなりの上品だ。
「にゃふふ~」
俺の左隣に座っていたレオが、俺の膝に頭を乗せてきた。
膝枕状態だ。
「何だ?レオ」
「さっきの文月ちゃんみたいに、撫でて欲しいにゃぁ~」
「ハイハイ」
俺はレオの額を撫で始めた。
するとレオは嬉しそうに目をつむり、鼻歌を歌い始めた。
「………」
「はぁ、ほら、お前ももっと寄れ」
「え?」
「撫でてやるから、ほら」
俺は、右隣に座っていた猫子にそう言った。
だって猫子、さっきから羨ましそうに、悲しい目で見てくるもんだから…その、ちょっと可愛そうで。
「…いいよ、私は」
「何意地張ってるんだよ、ほら」
「うにゃぁ!」
俺は猫子の頭を優しく撫でた。
猫子はその内段々と俺に寄ってきて、ぴったりとくっ付いた。
そのまま猫子は目をつむって、俺の肩に頭を乗せた。
膝では文月が丸まって尻尾を振っている。
「ニャー」
おまけに誘波が俺の肩に乗り、俺の首を抱くように丸まってきた。
「何…この状態…」
自分で招いておきながら、凄い状態になってる。
「うにゃ~」
「にゃぁん」
「ニャー」
「ふきゅ~」
でも、可愛いからいっか。