1話 俺とキツネの出会い
2014.8/04に修正しました
主人公とキツネの出会い、コレからどうなるか、自分でも楽しみです。
7月1日:学校帰り。
例年よりも早い梅雨明けの影響か、まだ7月も始まったばかりだというのに気温は38度を記録して今年1番の熱さとなると今朝のニュースでは言っていたが、あらかじめ知っていてもこの暑さは堪える。
ワイシャツをズボンから出し、教科書ではなく趣味の小説本が詰まった肩下げカバンを右肩から下げて電車から降りた。
地元に高校がなかったため、今通っている高校へは住んでいるこの町から電車とバスを使い登校している。
周りを山に囲まれた田舎町が、俺の住む町だ。
すぐそこにコンビニやスーパーなどがあり不便などはしないし、国道は通っていても車の音もあんまり無く静かだ。そんな穏やかな町を俺はとても気に入っていた。
田舎と言っても道路はしっかり整備されており歩道もある。町を巡回するバスや電車もあり交通には不便も無い。
駅を出た俺は真っ直ぐ帰らずにあえて山のふもとの歩道を選んだ。この道は山が影になって直射日光を避けられ、多少涼しい道になっているため俺は良く使っている。
「…ぅ…」
「?」
(何か聞こえた…?)
本当にかすかだが、何か聞こえた。
声のような…何かが。
「……………」
俺は周りを見回したがおかしいものは無かった。
小走りで周りを探すと十字路を曲がった先に、オレンジの何かが歩道に落ちていた。
近づいて良く見ると、それは微かに動き・・・鳴き声を上げた。
「きゅぅ…ん」
それは怪我をした子ギツネだった。
右の前足から血を流し熱いアスファルトの道路に横たわっていた。
「きゅ…うん…」
「…あっ…」
(痛いのかな…?)
俺に気づいたキツネはモゾモゾと動くだけで、逃げるどころか歩くことも出来ないようだった。
キツネは泥だらけだし周りには小石や木の枝も落ちていて、どうやら山から転げ落ちたらしい。
「お、おい…大丈夫か?」
「くぅん、くぅん」
助けてあげたい…。
このキツネを助けたい。
(でも…キツネなんか拾ったら……俺も楽じゃないし…でも可愛そうだな…だけど…)
俺は動物が大好きだ。
愛情を知らずに育ったためか、身近な動物に何かを求めていたのかもしれない。それに動物は一方的に俺の事を見捨てたりしない。生活に困ってはいないものの、俺にペットを飼う余裕なんてものは無い。
キツネは暑そうに舌を出しぐったりと倒れている。たった一歩踏み出せば、キツネに手が届き、助けて上げられるが…助けたい気持ちがあったが…どうしても決心が付けられずにいる。
(もし…助けても手遅れだったら…その分さらに悲しさが増す…。でも…見捨てて置けない…)
しゃがんでよく見ると傷口は痛々しく、毛は血で汚れていた。ゆっくりと少しだけ撫でると耳がピクピクと動き、顔を上げた。
暴れる気力も無いのか…それとも助けを求めてか、ゆっくりと俺の手に顔を押し付けて微かに指を舐め
た。
「きゅぅぅん・・・」
キツネは頭を持ち上げてすがるように鳴いた。その一声で…俺はキツネを助ける事にした。
思えばそれは、一目惚れのようなものだったのかもしれない。
「仕方ない、助けてやるか」
俺は揺らさないようにゆっくりとキツネを家まで運んだ。
傷口を洗い消毒をしているとキツネは痛がってキュンキュンと泣くように声を上げた。
その時に噛みつかれたりもしたがかなり弱ってるみたいで痛みはあまりなかった。
「きゅん…!きゅん…!きゅん…!」
「大丈夫だぞ。少ししみるけど、大丈夫だよ」
傷口が終わると、そのままぬるま湯で全身をしっかりと洗い流した。
泥と血を流し、体に付いたノミやダニをなるべく落とすようにしっかりと洗った。
体をしっかりと乾かして傷口に消毒をして包帯を巻き終えると、ようやくひと段落した。さっきから咬まれっぱなしで、腕には歯型がたくさんついていた。多少痛いだけで血も出なかったが少しだけかゆかった。
「ふぅ、これでいいだろう。ほら終わったぞ」
綺麗になったキツネの体を良く見てみると、その毛皮はとても美しかった。
毛並みはフサフサで柔らかく、とても野生で生きていたとは思えなかった。
また、色合いもとても美しかった。普通キツネの毛皮の色は、首から腹、そして尻尾の先が白で、ほかは山吹色。耳の先は黒といった色をしている。だが、このキツネの毛皮は普通とは異なっていた。
耳の先と尻尾の先、前後ろ足の先は真っ白。首からお腹の毛も耳の先同様に真っ白だった。
だがその異様な白い毛が、キツネの毛皮の美しさをより強めていた。
毛皮に見とれていた俺は、ふとキツネの様子を良く見て気付いた。キツネは見るからに衰弱していて、ぐったりとしたままだった。
「動物病院に連れていった方がいいかな?……でも金が掛かるしな〜。今、金使ったら欲しかった本とか買えなくなるし」
ふと、キツネが見つめているのに気づく。
「……………」
キツネの涙目と目が合う。
「きゅん」
か……可愛いな、オイ。
キツネの頭を撫でてやろうと伸ばした腕を途中で止めた。
「うっ………」
また噛まれると思い、手を離そうとした。
するとキツネの方から腕に擦り寄ってきた。
「可愛いヤツだな」
俺はキツネを沢山撫でてやった。どうやらキツネは俺への警戒心を解いてくれたみたいだ。
その後、キツネにたっぷりの水を飲ませて、牛乳を染み込ませた柔らかくしたパンを食べさせた。そしてタオルを敷き詰めたダンボールでキツネの寝床を造ってやった。
「とりあえずこれで大丈夫だな」
(とりあえず今日はこのまま寝て、明日はコイツを動物病院に連れていってやるか………本は諦めるしかないな。)
この時、俺は気づいていなかった…親に捨てられ、心を閉ざした自分の心がキツネによって、開かれていく事に……
---次の日---
キツネを拾って一晩明けた朝、キツネが気になってしまい、休日にも関わらずいつものより数時間早く起きてしまった。
休日はいつも昼まで寝ている事が多いが、最近は暑くて早めに起きてしまうことも多かったが、今日はそれよりも早い。
「お~い、キツネ。起きてるか?」
ベッドから顔を出すと、キツネはすでに起きていた。
「キュン」
キツネは俺よりも早起きらしい。今キツネは昨日作った寝床で寝転がって頭を上げている。
警戒心は完全に解けた…のかな?
いや、まだだろう。
さすがに一晩じゃ警戒は解けるもんじゃないかな。
俺はキツネを抱き上げて、部屋を出た。
抱き上げるとキツネは暴れて抜け出そうとしたが、何とか階段を降りてリビングに下りる。
ちなみに俺の家は2階建てで、自分の部屋は2階にある。
親が買った家だが、俺を捨てたまま残されたもので、家具も一通りあり生活には困らない。
困る事と言えば、この家に俺一人しか居なかった事だ。
だが、このキツネがいるおかげで、少なくとも話し相手はできたかな。
「とりあえず元気になったみたいだな」
よかった…と心の中でつぶやき、キツネを撫でる。
キツネをソファーの上におろして、俺は窓を開けた。
朝日に目がチカチカし、それで目が覚めたような気がし、思いっきり伸びをする。
キツネに牛乳を湿らせたパンを与え、俺は食パンを焼き、一緒に朝食を取りながら考えていた。
(とりあえず、今日はコイツを病院に連れていくか……本は諦めるか……)
少し勿体無く感じたが、キツネの前足に巻かれている包帯から少しにじんだ血を見ると、心が痛くなりどうしてもほうって置けなかった。
こうなれば乗りかかった船だ。ケガが治るまではしっかり面倒を見よう。
(遊ぶ分のお金を昨日拾ったキツネに使うなんて…何やってんだかな、俺)
俺はちょっとしょっぱいトースト(これは涙じゃないよ、目から汗が出てるんだよ…)を、キツネはふわふわの食パンに牛乳を浸して食べた。
朝食を食べ終わり、俺は動物病院に行く支度をしていた。
そこで、一つの問題が出た。
「さてと…キツネはどうやって連れていくかな〜」
カバンに直接入れるわけにもいかないし、かといって動物を入れて運ぶものも無い。
探してみたがダンボールも、寝床用に使った大きめのダンボールしか無かった。
「う~ん、どうするかな~」
散歩用のリードも無いし…。
その前にキツネは、まだ歩くのは辛そうだった。
「仕方ない」
結局俺はキツネを抱いて行くことにした。
抱き上げようとすると、キツネはまた暴れて抜け出そうとした。
「(ジタバタ…!)」
「コラ、大人しくしろ!」
「きゅ!(ガブリッ!)」
「痛っつ…!」
暴れるキツネを、両手で優しく抱き上げて、傷に触れないように気をつけながら出発した。
腕に噛み付かれたがまだ歯が生えそろっていのかそこまで痛くはなかった。しばらくするとキツネは噛むのやめて、傷が痛むのかすぐに大人しくなった。
歩くこと30分。動物病院についた。
近所というほど近くは無いが、ほかに動物病院が無いから必然とここが一番近い動物病院になってしまうのだ。
受付を終わらせて少し待っていると、空いていたためすぐに診察室に入ることができた。
「このキツネは…君のペットかな?」
「…いえ、山の近くで倒れてた…」
俺の口調がきつくなってるのが、自分でもわかる。
人見知りでどうしても緊張してしまう。
今の俺が信頼できる人は…祖父母と、そして一部の人間だけだ。
こればっかりはどうも昔から治らない…
俺はキツネをなだめながら先生の話しを聞いていた。
「この傷は噛み傷ですね……どうやら、ほかの動物と喧嘩をして噛まれたのでしょう」
「噛み傷…ですか」
先生の説明だと、2週間ほどで完治するみたいだ。
「とりあえず、塗り薬を出しておきます。…お大事に…」
「ありがとうございました」
俺は診察室から出る前に、一つ聞いた。
「コイツって、オスですか?メスですか?」
俺はキツネの性別の見分け方を知らないので聞いてみた。
「ちょっと見せてください…………メスですね」
「そう、ありがとうございました」
その後、俺は待ち時間の間頭の中で、キツネについてずっと考えていた。
(怪我が治るまで家に置くとして、名前…どうするかな……)
しばらく考えながら待っていると…『川野 丈さん、清算が終わりました、カウンターまで来て下さい』
…と呼ばれたのでカウンターに向かった。
「あれ?丈君?」
「え?」
名前を呼ばれ、カウンターの人の顔を見ると…
「何やってんだ、お前…」
そこには、幼馴染の妹の九流 星名がいた。
コイツとの関係は……またいつか語ろう
「何って、アルバイトよ、アルバイト♪…実は、私の友達がここの娘で、その子に『私と一緒に手伝って』て言われたから手伝ってるの」
「……へぇ~」
「それじゃぁ、またね」
「…あぁ」
俺は料金を支払い、帰路についた。
(名前…何にするかな〜)
「いつまでもキツネじゃなぁ…どうするかなぁ」
(とりあえず、家に帰ってから決めるか…)
俺は、早足で家に帰る。
しばらく歩いていると、キツネは俺の手を舐め始めた。
「どうした?」
「くぅん(ペロペロ)」
そこはさっきキツネに噛み付かれて、赤くなってる場所だ。
その傷を、キツネは舐めてくれた。
「お前…謝ってる…のか?」
「くん」
申し訳なさそうな目で、キツネは俺の手を舐め続けた。
「くふふ…くすぐったいぞ…」
「きゅん」
俺はそのキツネが愛おしく思え、思わず頬ずりした。
「可愛いな、お前」
「キュン」
「名前、ちゃんとつけてやるからな」
俺は家に帰るなり、古い習字道具を引っ張り出した。
そして墨を出し、真剣に名前を考えた。
形から入るタイプって訳じゃないが、どうせなら気合を入れたほうが、いい名が出てくるような気がする。
「さて…名前といっても、どんなのがいいかな?」
俺は座布団で遊ぶキツネを見ながら、名前を考えた。
「ん~…キツネのキツ太郎…いやいや、さすがにメスだしな………ごんぎつね…ゴン……コン…」
(コン…いいんじゃないかな?)
俺は紙に、〔コン〕と書いた。
「どうだ?」
それをキツネに見せると、キツネは少し眺めてから、紙を爪で破いた。
「………気に入らなかったのね…」
破れた紙を捨て、新しい紙に色々な名前を書いた。
~1時間後~
床には見事に破られた紙が散乱していた。
〔ゴン〕〔茶狐〕〔スミレ〕〔九尾〕〔フォックス〕〔妲己〕
書いた名前はことごとく気に入らなかったのか…それか…
「お前、破くの楽しんでないか!?」
「きゅん?」
としか思えなかった。
俺の叫びに、キツネは振り向きもせずにカレンダーを見ていた。
それにつられて、俺もカレンダーを見た。
「ん?どうしたんだ?」
7月2日…
と、俺はカレンダー7月と書かれたところのすぐ上を見た。
「文月かぁ…」
(そういえば、コイツを拾ったの…昨日の7月1日だったな…)
「ふみづき…かぁ……そうだ!」
俺はまた、紙に墨で名前を書いた。
「文…月……と」
書き終えると、俺は名前を読み返した。
「文月……いや、ふづきだ!」
そこまで言うと、俺は立ち上がり、トイレに直行した。
(まぁ、何せ1時間も座って考えてたから尿意が…。……アイツ…気に入ってくれるかな?)
☆少しの間、綺麗な景色などを想像してお待ちください☆
トイレから出てくると、紙は破られていなかった。それどころか…
「ん?スタンプ?」
紙の端の方には墨で足跡のスタンプが押されていた。
無論、犯人は一人……イヤ、犯狐は1匹しかいない。
「お前……気に入ったのか?」
キツネを見ると、キツネはこっちをジッと見つめていた。
さっきまで俺を見ていなかったそのその目はなんだか、輝いて見えた。
「……よし!決まった!。お前の名前は文月!川野 文月だ!」
俺は文月と書かれた紙(足跡スタンプ)を画鋲で壁に刺した。
「うん!。良かったなキツネ、名前が…おっと…良かったな、文月!名前が決まって!」
文月と呼ばれて、キツネは尻尾を振って喜んでいるようだった。
「改めてよろしくな、文月」
「キュン!」
俺は文月を抱き上げて、頬ずりした。
そして、文月は答えるように鳴いた。
---次の日---
キツネの文月を拾ってから、初めての学校だ。正直、文月一匹を残して家を留守にするのは心配だ。
(文月に何かあったら嫌だし…文月が家を散らかしても困る…)
俺は朝食を食べながら考えていた。
「まぁ結局、文月は家に置いてくしか無いからなぁ…」
自分の足元で、動物病院でもらったキツネ用のエサを食べている文月を見た。
「はぁ~…仕方ない……家を散らかされないように祈るしかないな」
遅れないように手早く支度をすませ、家を出ようとした。
「んじゃ…文月、行ってくるからな。おとなしくしてろよ」
文月は頭に?を浮かべていた。
俺は文月の頭を撫でてから、「行ってきます」と言って、自宅を出た。
文月は家に一人…否…家に一匹、残された。
(心配だ…)
しばらくして
電車とバスを使って、俺が通っている高校、【晴天高校】《せいてんこうこう》についた。
山を開いて作った高校で、場所も頂上付近だ。自転車で来ようとするとかなりの体力が奪われることになるという事で、自転車通学の生徒は部活通いで体力作りを目標とする生徒だけだ。
バス停からは少し歩くので、夏の陽射しに早くも汗をかき始めた。
晴天高校の制服はブレザータイプで、夏服でもネクタイをつけるように言われているが、それを守ってる生徒は半分ほどである。
俺はつけてないタイプだ。
教室についてからは、文月のことをずっと考えていた。
(あいつ…どうしてるかな?…)
そこに俺の幼馴染、九流進がやってきた。
九流進は、昨日動物病院にいた、星名の双子の兄だ。
進は心配するような目で見ていた
「よう、最近どうだ?元気か?」
(またか…いつもそればっかり…)
「で?何か用?」
進に対し、俺は何の感情も込めずに言った。
「なんでもないよ…ただ…」
「何にも無いならアッチ行け」
「うん…」
俺が人と話す時は毎回こんな感じだ。
コイツとは幼馴染だけど…俺が独りになってから、どうも上手く馴染めなくなってしまった…
(いいよ…どうせ…友達なんて…)
(丈…また前みたいに話せたらいいのに…)
俺と進はいつも、すれ違ったままだった。
その後は何事もなく授業が進んだ。だが、俺の頭は文月のことでいっぱいだった。
~そして放課後~
俺は手早く帰りの支度をして帰ろうとした。
そこに、進が話しかけてきた。
「なぁ、丈…一緒に帰らないか?」
「そんな暇無い!」
俺のいつもとは違う声音に、進は唖然とした。
「……ど…どうしたんだ?いつもの丈らしくないけど?」
「文月が心配なんだよ!!」
「ふづき!?」
「じゃな!!」
俺は走りながら教室を出た。
「丈と…話ができた…」
進は、しばらくボーっとしていた。
「文月!無事か!?」
俺は、驚くほど早く家に着いた。
バン!!と扉を開け家に入り、文月を探した。
「文月…文月?」
リビングにはいなかった。
そして、家の中は怖いくらい静かだった。
ゾクっとした。
「まさか…文月に何か…」
俺は最悪の想像を振り払い、2階を探した。
「文月!」
自室の扉を開けると、そこには!
「Zzz」
俺のベットの上で静かに寝息を立てる文月がいた。
「よ…よかったぁ…心配したよ」
俺は寝ている文月に近づき、その体を撫でた。
「…くぅ?」
文月の目が開いて、俺を見上げた。
「あ…起きたか?…おっとっと…」
安心した途端に、足から力が抜けて座り込んでしまった。
「ははは…よかった…お前が無事で」
「きゅん!」
文月は座り込んだ俺の頭に乗った。
「うわ!なんだよ?」
文月は自分のフサフサの尻尾で、俺の頭を撫でた。
「…もしかして?『大丈夫だよ』って言ってくれてるのか?」
なんとなくそんな気がした。
「ありがとう、文月」
「きゅぅ~」
俺は頭の上でくつろいでいる文月の頭を撫でた。
そのころ、九流進は…
「なぁ…星名…」
「何?お兄ちゃん」
双子の妹と下校していた。
「丈のやつ…ふづきがどうとか言ってたけど…何か知ってるか?」
「ん~?もしかしたら…キツネの事かな?この前、動物病院で丈君がキツネを見せにきてたよ」
星名は、この前のことを進に話した。
「そんな事があったんだ…」
「多分、丈君はあのキツネの面倒を見てるんだよ」
「そうか…なら…あいつとのきっかけが作れるかも」
「何の?」
進の目がやる気の目になっていた。
「丈と…友情を取り戻すきっかけ」
続く