14話 ボクとひそかな楽しみ
丈君が猫子ちゃんに誘われている時、文月ちゃんが川野家で何をしてるのか。そんな事を書いてみました。
相当短いです。
学校の授業が終り、丈が猫子に誘われているその頃、川野家で待つ文月は。
『はぁ、つまんないな~』
とくにすることも無く、家の中を歩き回っていた。
ケガをした脚はもうズキズキすることは無いけど、まだ包帯が取れないでいる。
走ったりはできないが、歩いてる分には痛みはない。
『それでも、お家の中は退屈だよ~』
文月はプクッと頬を膨らませた。
『丈…早く帰ってこないかなぁ…』
文月は今、リビングのテーブルのを歩きまわっている。
『退屈退屈~~…』
ウロウロとテーブルの上を歩いていると、置いてあったテレビのリモコンをうっかり踏んでしまった。
『(ビクッ!?)』
急に点いたテレビに、文月は驚いた。
テレビでは人の恋愛感情を描いたドラマがやっている。
〔あの女はダメよ!あの女だけは…!!〕
〔俺はアイツが好きなんだよ!〕
〔あの女は…貴方の生き別れの兄妹なのよ!!〕
〔嘘だ…嘘だぁ!!〕
『(じぃ~~~……)』
文月は食い入るようにテレビを見た。
〔この泥棒猫!!〕
〔貴女なんて古い女よ!〕
『人間は恋するとこんな風になるんだ』
尻尾を振りながら、文月はテレビを見続けた。
〔愛してる…〕
〔お兄ちゃん…好きよ…〕
〔貴方達の恋は、報われない恋なのよ!〕
〔それで俺は…コイツを…妹を愛している〕
『へぇ~、人間って兄妹でも恋するんだ~』
この日から文月は、昼にドラマを見ることがひそかな楽しみになった。
ね、短いでしょ?