4、バルドへイム王国(6)
グランツside
今日はゴードンが登場!
6.君の涙を見ると胸が苦しくなるんだ グランツside(3)
そして俺は、騎士団に入隊。寮生活をすることになった。
父上は寮に入ることを反対したが、それでは兄上がかわいそうだと言うと頭を抱えてしまった。
兄上も出来は悪くない。ただ、俺と比べられてぐれただけだ。俺がいなくなったらきっと自信を取り戻してくれるだろう。人となりについては……父上と周りの人で何とかしてくれ。
兄上のことは丸投げにしてしまって申し訳ないが、俺も時間がないので仕方ないだろう。
俺自身、人間の体だから鍛える必要がある。
そして仲間を作る必要がある。一人でできることにも限界がある。ただ、仲間作りは苦手だ。できるとも思えない。
暗い顔をしているとツツミ伯が「コミュ症だな」とつぶやいていた。
秘密裡の会議が終盤に差し当たってきたころ、従者が来客を伝えるノックをする。
了承の言葉を告げる前にゴードン・バルデック男爵が勢いよく入ってきた。エルサの父だ!
「アレク!なんだ?用って?」
国王にも相変わらずな話し口調にクスクスとテレシア王子が笑う。
「ゴードン!おまえな……まあ、ここではいいけどな。それより!そろそろ伯爵位を受けてくれ。あと、近衛隊の隊長を受けてもらう」
「伯爵位?いらん!変に高い爵位があると娘たちが泣く。自由にできないだろう」
「あ……。自由はなくなるな。ソフィアとエルサには酷か。なら仕方ない。だが、近衛隊の隊長は受けてもらうぞ。ゴン爺が疲れたから後方に周りたんだってさ」
「ゴン爺が……。それは……俺じゃなくても……」
「ゴン爺からのお願いだ。聞いてやれ」
「ん……。今は娘たちとの時間を大切に……」
「わかってるよ。娘たちの身の安全を守るためにも騎士団長になるべきだと思うよ。サツキ嬢の忘れ形見だ。狙われているぞ」
国王のこの言葉にゴードンが言葉を失う。
「狙われているとは……なんですか……」
今知ったことに俺の声が震える。
(誰に?どいつだ!)
「殺気を押さえろ、グランツ。“渡り人”の子供を欲しがる家はたくさんいる。今のところ大丈夫だ。陛下が2家門を地下牢に押し込めている」
父上が殺気を押さえるために掛けた言葉は火に油を注ぐようなものだった。
(2家門?は?まだいるのか?)
「グランツ。何お前が殺気立ってるんだ。落ち着け。娘たちには手を出させん。アレク、隊長を受けたら保護してくれるんだな。約束しろよ」
「問題ない。ただ、王宮敷地内の別宅に移り住んでもらうぞ。サツキ嬢との思い出の家はちゃんと管理してやるから」
「しかしだな……あの家は思い出があるから……」
「ゴードン、サツキ嬢の思い出も大切だが、娘たちの方がもっと大事だろう。サツキ嬢の忘れ形見を守らなくてどうする」
「……すまん、アレク。その通りだ。隊長を受ける」
「うん。じゃ、ついでにグランツの教育もよろしくね」
「は?グランツの教育を?」
「うん。今日から騎士寮に入るからよろしくね」
アレクサンドル国王は、仕事が早いようだ。
エルサの安全を確保するという言葉に国王を見直した。
悪い奴ではない。
ただ、ゴードンさん改めゴードン隊長の教育って……大丈夫なのだろうか。
「グランツ!お前、家を追い出されたのか!仕方ないな!面倒見てやるぞ!」
一抹の不安を拭えないのは俺だけじゃないはずだ。
明日ももグランツsideです。
次回でエルサsideに戻る予定です。




