ボリューム凄い
「とりあえず……食うか」
「あまりの量に面喰ってしまいましたわ」
「うむ、嬉しい誤算だった」
量の多さに驚いたのも束の間、すぐに食べる方向にシフトしたあたり、この人ら、相当訓練されているな。
ふっふっふ。
だが、実際に食べてみないとこの重さは分からん分からん。
特に味噌カツパンを頼んだマジャリスさん。
彼は揚げ物の洗礼を受けることになるだろう。
「このスパイシーな香りがたまらん」
まず初めにメニューに手を付けたのはガブロさん。
メニューはインディアンスパゲティ。
特製スパイスが使われたカレーソースのパスタで、サラダとパンが一緒のプレートに載ってる。
見た目の割にボリュームあるんだよな、これ。
「麺はモチモチ、ひき肉がゴロゴロと入っていて……おお! ピリッと来る刺激と鼻に抜ける爽やかなスパイスの香りがたまらん!!」
「美味そうだな……」
「美味いぞ! そして、このソースをパンに乗せて……」
「粉チーズどうぞ」
「すまんな」
パスタ系を注文すると付いてくる。当然。粉チーズが。
それを、パンに乗せたチーズにさらに乗せて……かぶりつく!
「む、ザクザクとした程よい焼き加減。パンもモチモチじゃな」
「パンも美味いか?」
「当然じゃろ。バターの香りもいい。ソースにも合う」
「ふむ……」
美味そうに食うなぁ、マジで。
「ふぅー。コーヒーにも合う。全部美味い」
「サラダは?」
「ドレッシングを取ってくれ」
「オリジナルと醤油とありますけど?」
「両方試す。まず醤油ドレッシングをくれ」
という事でまずは醤油ドレッシングから。
「む、鼻に抜ける香りとさっぱりとした後味」
「どんな感じだ?」
「香りはニンニクがおるな。さっぱりとしたものは柑橘系じゃな」
「ふむ、醤油にニンニクと柑橘か」
後ろの成分表見ると、醤油にグレープフルーツ果汁、ガーリックペーストってあるな。
美味しそう。
「次はオリジナルドレッシング」
「待て」
「何じゃ?」
「野菜の味はどうだ?」
「どの野菜も瑞々しく、野菜自体の味も濃い」
「レストランではないのにか?」
「うむ」
この珈琲店って、喫茶店でいいんだよね?
レストランでは無いよね?
「オリジナルの方はクリーミーじゃな。サウザンドレッシングのようじゃ」
はいはい成分表確認っと。
というか、このドレッシング二つとも、某マヨネーズ会社の製作なのか。
そりゃあ美味いわけだわ。
「次は私が行こう」
というわけでお次はラベンドラさん。
なお、目の前に鎮座するのはおおよそハンバーガー店では見かけないような大きさのもよう。
美味しそうな匂いなんだけれどね。
「むぅ……ずっしりと重い……」
でしょうね。
マジでデカいもん。
「む、美味い!」
でしょうね。
知ってた。
「パンが柔らかいのもそうだが、何よりこのパティだな。肉! と主張する分厚さと噛んだ瞬間の肉汁の溢れ。玉ねぎやレタスのフレッシュな食感と、玉ねぎの僅かな辛みが絶妙だ」
「美味しそうですわね」
「チーズの塩味やコクも素晴らしい。かなり満足感が強いバーガーだ」
「真似出来ますの?」
「もどきにはなるだろうな。だが、この味をそっくり再現しろと言われるとちょっと言い淀む」
「それほどか」
「それほどだ」
えー、お墨付きをいただきました。
某珈琲店のバーガー、エルフでも再現に困る味みたいです。
……まぁ、他バーガーショップのハンバーガーを食べさせてもワンチャン同じことを言いかねないけれども。
「ソースが美味い。かなり深みがある味わいだ」
「私達に分かるように例えますと?」
「ワインをベースに『――』を数日煮込んだような味わいだな」
「……ハンバーガーのソースの為にそこまで?」
何だろう、何を煮込むかって部分は聞き取れないんだけど、リリウムさんの横や俺の横で話を聞いてたガブロさんとマジャリスさんが顔を引きつらせてる所を見るに、かなり高い食材っぽい。
そうなのか。
「はぁ。コーヒーが美味い」
「分かる。香り高く、華やか。コクがしっかりあるんじゃよな」
「ガブロの方はそうなのか? 私の方は飲みやすく、スッキリとした味わいだぞ?」
「む、そうか」
「あ、ちなみにブレンドコーヒーはフレッシュと砂糖を入れて飲むのがおすすめです」
「そうか。ではそうしよう」
という事で持って来てもらっていたフレッシュと砂糖を入れて混ーぜ混ーぜ混ぜりんこ。
んでゴクりんこ。
「かなり飲みやすいな」
「元から言ってただろ」
「それ以上にだ。そして、フレッシュを入れた方がコーヒーの香りが立った気がする」
「そうなのか」
「……分からん」
分からんのかい。
いやでも、正直俺も分かるかって聞かれると……。
分かんないよね。
「ところでカケル」
「何でしょう?」
「これは? 私たちは頼んでいない商品のはずだが?」
と言って見せられる小袋。
ああ、それね。
「飲み物を注文した人に無料で付いてくるんですよ」
「……無料で?」
「です。豆菓子のサービスですね。塩っけが効いてて美味いんですよ」
美味しいよね、豆菓子。
これの大きいバージョンが店内に売ってるけど、買いたくなるもん。
「食べるか」
「私は普通に注文したメニューを食べますわよ」
というわけで。
ガブロさん達が豆菓子を、リリウムさんがビーフシチューを。
それぞれ口に運びましたとさ。




