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ピザと魔法と

 いよいよというか、ようやくというか。

 サラダとか前菜をしっかり楽しむと、割とお腹にたまるのね、と。

 

「とりあえずピザはシェアって話でしたわね」


 という訳でソーセージのピザが運ばれてきました。

 ……それをピザカッターを使わずに五等分にするラベンドラさん。

 ――ダメ―ッ!!


「これを! 使ってください!!」

「う、うむ……」


 っぶねぇ!

 見られてないかもしれないけど、ただでさえ周囲の客層からは浮いてるんだ。

 エルフの高身長かつイケメンと、ドワーフのやや低身長のむさい男の集団なんて!!

 周りが不思議に思う行動は慎んでもらいたい……。


「この世界じゃあ魔法なんて存在しないんで、むやみに使わないで貰えると……」

「魔法が無い?」

「無いです」

「では、どのようにしてこれだけの客の注文を捌いて料理を作っている?」

「カケルが使っていた魔道具も変ですわよ? 店員に注文を伝えてないのにこちらの注文した商品が向こうに伝わっていましたもの」


 ……面倒くせぇ……。

 異世界人に現代の科学技術を説明するの面倒くせぇ……。

 でも、これをやっとかないと今後も同じことをしかねないからな……。


「魔法とは違った、魔法のような技術を使ってるんです」

「……というと?」

「魔法っていうのは、才能が無いと扱えなかったりしますよね?」

「そりゃあもちろん」

「魔力が無ければ魔法は使えん」

「こっちの世界では、そちらで言う魔法のようなものが、誰でも使えるようにされているんです」

「ほぅ……」


 某漫画で、手順さえ守れば誰だって同じ結果になる。

 再現性があるなら、それは科学って言ってたし。


「その技術の代わりに、魔法が無い?」

「ですね」

「だとしたら、確かに魔法を使うと奇異の目で見られるかもですわね」


 奇異の目で見られるだけならいいんだけどね。

 今のご時世、即座にSNSに投稿されて拡散、とかもあり得るわけで。

 そうなると色々と面倒そうだから大人しくしていて欲しい。


「それが原因でカケルのご飯が食べられなくなるのも困りものですわ」

「であれば大人しくカケルの言葉に従おう」

「うむ」


 まぁ、分かってくれるならいいんだ。

 というか、変にごねたりしないでくれて助かった。


「こんなもんだな」


 なお、ピザは魔法で切ったように正確に五等分になっている模様。

 魔法いらないじゃん。


「!? やっぱり値段が間違っているんじゃないか?」

「十分に美味しいですわよ!」

「十分どころか値段を考えたら異常だぞ……。こんな値段でこのクオリティのピザを出してみろ。この店だけが繁盛して周りが潰れるぞ……」

「ソーセージがしょぼく散りばめられとるわけでもない、チーズもケチられてない……」

「生地に使われている小麦も上等。焼きも甘くない」

「もしかしてこの世界の食べ物……全部クオリティが高いのでは……?」


 この世界のって言うか、この国の、だな。

 日本の食べ物のクオリティは総じて高いよ。


「赤と合う」

「肉とチーズですもの。これに合わないワインは存在しませんわ」

「ここで食べるもの、飲むもの全てに衝撃を受けるな……」

「ソーセージもいわゆる食えるか分からん肉の集合体でもなかったし、肉の酷すぎる臭みをハーブで誤魔化した物でもない。なぜこれがこの値段なんだ……」


 ピザ一枚で衝撃受け過ぎだろ。

 それに、言っちゃうけどそこまで大きいピザでもないし。

 まぁ、値段は安いとは思うけども……。


「こうなるとパスタも……」

「嫌でも期待してしまいますわね」

「全然嫌じゃないがの」

「うむ」


 ……というか、初めてこのお店でピザ食べたけど、普通に美味いね。

 言う通り、ソーセージがゴロゴロ乗ってるし。

 これでこの値段なら、普通に満足しちゃえるレベル。

 

「リリウム、席を開けてくれ」

「ドリンクバーですの?」

「うむ」

「私のもお願いしますわ。白ぶどうの炭酸のやつで」

「俺はコーラ」

「わしもコーラじゃ」

「カケルはいいのか?」


 大人数で来た時あるある。

 誰かがドリンクバーを取りに行くと、その人に自分のもお願いするやつ。

 

「じゃあ、メロンソーダで」


 なお、甘えるもよう。


「ピザは一人一枚食べても良かったかもしれんな」

「でも、この後にパスタと肉料理とデザート来ますわよ?」


 ……ん? 肉料理?

 なんか頼んでたっけ?


「追加注文じゃな」


 あ、なるほど。

 ――って、心を読むな心を。


「ほら、ドリンクだ」


 器用に全員分を持ったラベンドラさんが戻ったのを合図に、肉料理の注文へ。


「ハンバーグは普通に気になる」

「この値段じゃからな」

「チキンも気になりますわ」

「わしはディアボラ風のハンバーグじゃな」

「俺はミックスグリル!」

「チキンステーキ。チーズが乗ってるやつですわ」

「シンプルなハンバーグで」

 

 えーっと、リリウムさんがチキンのチーズ焼き、ガブロさんがディアボラ風ハンバーグ。

 ラベンドラさんがノーマルハンバーグで、マジャリスさんがミックスグリルね。


「肉料理が来るまでにパスタを片付けますわよ」

「どうせ美味いんだ。言われなくても腹の中に消える」

「ワインにも合うじゃろうしな」

「……このワイン、持ち帰りが出来るのか……」


 一旦ワインの持ち帰りの事は頭から消してもろて……。

 パスタ食べましょ、ね?

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― 新着の感想 ―
脳内補完的に、鍛冶回で動画見せてた時より前の時間軸なのかな??科学の話って…もしくは少し違う世界線のお話??本編では気にしてなかったからなぁ 時間軸があやふやって書いてあって色々察した(^-^;そも…
そういや神様も見てるのかな……? >ワイン持ち帰り出来るのか (ワシの分かの?)
異世界の厨房では夜な夜な皿が空を飛ぶ(ホラー味)
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