マジで何歳?
「結局はシンプルなショートケーキが一番だ」
「ミルクレープ! ミルクレープ!」
「当たり前に食べ放題なアイスも全然捨てがたい」
「意外にカレーも美味いぞい」
各々が気に入ったデザートをプレゼンする時間。
あ、ガブロさんは黙っててもろて。
「でも皆さん、結局色んなデザートを取って来るじゃないです?」
「当たり前ですわ! こんなにも種類があるのに食べるものを一つに絞るなんて愚の骨頂ですわ!!」
「そうだぞ! 数ある選択肢の中から結局はこれに帰結する、そういった一品を挙げているだけだ!」
「どれも美味いのは分かってはいるんだがな。どうしても比べてしまう」
「ちなみにパスタじゃとバジルクリームソースがおススメじゃぞ~い」
聞いてないって、ガブロさん。
「というか今更なのだが」
「?」
「これだけ我々が食べて、後から追加されるスイーツのクオリティが変わらないというのは脅威ではないか?」
「確かに」
あ、かなり食べてるって自覚はあったんだ。いやまぁ、自覚がない方が怖いか。
何度お代わりするためにショーウィンドウとテーブルをシャトルランしたよって話だからな。
「クリームやフルーツ、焼き上がり具合から生地に至るまで。全てが完璧なものとして当たり前に並んでいますもので」
「しかも私たちが食べ始めてから何度補充されたか分からないが、一日で見るとかなりの回数補充が入るはず」
「そのどれもで同じクオリティを維持し続けているのだとしたら――」
そこまで言って、ごくりと唾を飲んだマジャリスさんは……。
「名前の通り、ここはスイーツが無限に湧き出る島に違いない」
「「確かに!!」」
な訳あるか。
徹底したマニュアル管理と仕入れる材料の質の高さがこのクオリティを維持しとんのじゃ。
あと、材料を生産する産業に携わる方々の努力と、運送業で働く皆さんのおかげで成り立っとるんじゃ。
そこら辺から湧いて出てきてたまるか。
――そう思いますよね? ガブロさん?
「苺アイスがサッパリで美味いのー」
ほら、ガブロさんもこう言ってる。
「フレーバーティーにフレーバーウォーターがあるのも実にいい」
「口の中をサッパリとさせてくれますものね」
「ガブロはさっきから何を食べているんだ?」
「カレー味のポップコーン」
「美味いか?」
「酒が飲みたくなる」
だから、こっちを見るなっての。
「私もポップコーンを食べよう」
「ケーキはいいのか?」
「口休めだ。甘いものばかりで塩っぽさが欲しくなった」
「あ、アップルシナモンティーを頼む」
「私はコーヒーをお願いしますわ」
ラベンドラさんは一旦ポップコーンで甘いものから離れる、と。
にしてもマジャリスさんとリリウムさんは凄いな。
マジでずっと甘いもの食べ続けてるじゃん。
おおよそ人間が真似しちゃダメなやつだな、多分。
血糖値とか、カロリーとか、恐ろしい単語が今後の人生に重くのしかかってくるから。
「……で、ガブロさん?」
「何じゃ?」
「なして今になって山盛りのご飯を持って来ているので?」
「いや、豚汁と一緒に食おうと思ってな」
甘いもので二人が食べ続けてるというのなら、ガブロさんもまた甘いもの以外を持って来ては食べ続けてるんだよな。
で、よ? カレーとかパスタとか、ポテトフライにポップコーン、サラダバーと食べててよ?
なんで漫画盛りレベルの白米と豚汁を持って来てるの?
ガブロさんも大概、エルフ二人と同じくどこにそれだけ食べ物が入っていくのか不思議なくらい食べるよな?
あと、スイアイでご飯を漫画盛りしたのガブロさんが初じゃないの?
そもそも甘いもので腹を満たそうって人以外、ここの食べ放題に来ないだろうし。
「モッシャモッシャ、ずずー。……モッシャモッシャ」
……何だろう、凄く懐かしい味噌汁のコマーシャル思い出した。
またはお茶漬け。
白米と味噌汁だけでニュース見ながら食事するやつ。
ただそれだけの映像なのに、妙に食べたくなったんだよな、あのコマーシャル。
「ちらほらと補充されないスイーツが出て来始めたな」
「まぁ、もう少ししたら閉店の時間ですからねぇ」
で、ポップコーンと二人の飲み物を持ったラベンドラさんが帰還。
どうやら席に戻る時にショーウィンドウを確認して来たらしい。
「なんだと!? 島なのに閉店するのか!?」
「そういう名前の店ってだけですからね?」
「こうしちゃいられませんわ! 出てこなくなる前に今あるスイーツを食べませんと!!」
「そうやって食べるから、その日の提供分が終了して出てこなくなるんですけどね?」
「……な、なんだと……」
いや、普通に考えてそうでしょ。
最後まで居るお客さんグループにもショーウィンドウ一杯にスイーツを用意してたら、食品ロスどれだけだよって話。
だから、大体のメニューに、『予告なくその日のご提供を終了する場合がございます』ってあるんでしょうが。
「だが、食べたら無くなるぞ!?」
「そうですよ?」
「無くなったら出てこなくなるのだろう!?」
「そうですよ?」
「だったら食べられないじゃないか!!」
「食べた上で我慢すればいいでしょう?」
「……うー!」
うー! じゃない。
ていうかなんだその反応。
それが許されるのは小さい子供だけだぞ。
マジャリスさんはエルフだろ、威厳を持て、威厳を。
――手遅れだけど。
「マジャリス」
「うー!」
「いい子にしてないとまた連れて来てもらえないぞ?」
ラベンドラさん……そのあやし方はもう完全に子供へのソレなんですよ……。
「我慢する……」
……しかも納得するのかよ……。




