は?
「ではいよいよデザートだな!」
「シロノワール、だったか?」
「ミニもあるみたいですけれど……わざわざ量を減らす必要性はありませんわよね?」
「もちろん!!」
あるんだよなぁ。
というか、何当たり前にさっきまでのオーダーをぺろりと完食してからデザートに移行してるんだこの人ら……。
えぇい! 異世界のエルフの胃の容量は化け物か!!
「カケルは追加注文は致しませんの?」
「お構いなく~」
一番最初のオーダー分で、俺の腹はもう既に満腹ですが?
何なら、頑張ってコーヒー一杯追加してますが?
あー……豆菓子美味しい。
「ガブロはどうする? 見たまんま甘そうだが?」
「わしはミニにしておくかの」
「じゃあ、頼みますわよ?」
と、卓上のボタンを押して店員さんを呼び。
「シロノワールを三つとミニシロノワールを一つ」
流れるように注文。
なお、この店員さん、一回目、二回目と注文を受けた店員さんなんだけど、一回目は何の反応も無かったのに、二回目の注文で顔が引きつってたね。
そんなに食えるんか? と言いたげだった。
その証拠に、注文を持って来てくれた時に、
「お持ち帰り用の容器もございますので」
と声をかけてくれたからね。
まぁ、そんな心配は無かったわけですけれども。
あと、いくら気配を消す魔法? を使っているとはいえ、テーブルの上に乗る料理は消せないわけで。
他のお客さんだったり、店員さんが近くを通るたびにチラッと横目でテーブルを確認してる気がするんだよね。
ま、まぁ? 異世界組が外国人に見えてるとかで? 物珍しさがあるって可能性も捨てきれないわけで?
そうだと信じることにしています、はい。
厨房からこっちを見ながら何やら話してる店員さんが見えた気がするけど気にしない気にしない。
「カケル」
「……あ、はい。どうかしました?」
急に声をかけられてびっくりした。
どうしたんだろう?
「これは何ですの?」
と指差された先にあったのはコンセント。
あー……。
「こっちの世界で、魔道具に相当する物を動かすための装置ですね」
「この中に魔力が?」
「魔力というか電気ですけど」
そう言えば、一世を風靡した某魔法使いファンタジーでも、主人公の親友のお父さんがコンセントとかプラグに興味を持ってたんだっけ。
趣味がプラグ集めとかだったよな。
「つまりあの人間は、魔道具を使って何かをしている?」
と、マジャリスさんが指差す先には。
コンセントにノートパソコンを繋いで何やらカタカタやってるお客さんが。
指を差さない。
あと、あの人間は、とか言わない。
「ですねぇ。お仕事だと思います」
大学生でレポートをまとめているとか、フリーランスで何かしら資料を作ってるとか。
可能性を考えだしたらキリが無いし、まとめて『お仕事』という事にしておこう。
ネット小説の執筆だって、人によってはお仕事だしね。
「ふむ……」
何か言いたげなエルフの皆さんだったけど、シロノワールが届いたのでそんな事はどうでもよくなり。
「来た来た来た!」
「バターのいい香りですわねぇ」
もうテーブルに並べられたシロノワールに釘付けですわよ。
……店員さん、本当に食べきれるの? みたいな目で見てますけど。
安心してください。この人らは当たり前に食いますから。
「カケル! シロップは全部使っていいのか!?」
「たっぷりかけた方が美味いです」
「アイスはお代わりできますの!?」
「無理だと思います。乗っている分で満足してください」
「この果物の種は我々の世界に持ち帰っていいか!?」
「止めはしませんが神様が受け入れるかは別ですよ?」
騒ぐな騒ぐな。
気配を薄くする? 魔法を貫通して存在感を示し始めちゃってるから。
魔法をかけなおして! 早く!!
「むぉっ!? アツアツのデニッシュに冷たいソフトクリーム! シロップの強烈な甘さが一気に襲ってくるわい」
ほらぁ。
騒いでる間にガブロさんがミニシロノワール食べちゃったじゃないですかー。
「デニッシュの熱さで溶けたアイスが、デニッシュの生地に染み込んで……たまらん!」
「これ! ラベンドラ! これ!! あっちでも食べたい!!!」
「美味しいですわねぇ……。こんなのあっという間になくなってしまいますわぁ!!」
うぷ。
この人ら、十分どころか十二分越えて十五分くらい食べてるはずなんだけど……。
食べるペースが落ちるどころか早くなってるんだよなぁ……。
「熱さと冷たさのコントラスト! バターの香りとソフトクリームのクリーミィさ! シロップのとろける様な甘さの三位一体がもう優勝!!」
「なんちゅうもんを食わせてくれたんや、なんちゅうもんを」
「こんなもの食べたら、私たちの世界のスイーツはカスですわ」
生まれ故郷の物をカス呼ばわりするのは、その台詞の元ネタ的に真逆なんですがそれは……。
あと、異世界のスイーツってそんなひどいの? と思ったけど牡蠣バナナだったしなぁ。
食べたいとは申し訳ないが思わんよね。
「おい! 食べたら無くなったぞ!!」
「そりゃあそうでしょうよ」
自然の摂理って知ってる?
「お代わりしましょう! 一つじゃ足りませんわ!!」
「うむ」
「じゃな」
「当たり前だ!!」
え? 嘘でしょ?
「シロノワールを三つとミニシロノワールを一つ、追加でお願いしますわ」
マジで注文してるし。
店員さんドン引きしてるんですけど。
「あ、わしのもミニじゃなく通常サイズのシロノワールで」
トドメをさすなトドメを。




