正体がバレた魔法少女!?
昨日却子は緊急事態とはいえ学校で魔法を唱えてしまったのだから却子の正体が魔法少女だというのがバレてないか懸念してる。
本人は特に困ったり、何も心配している様子でもないみたいだが、こちらとしてはもう少し危機感を持って欲しいところ。
[たっ大変です〜、私が昨日魔法使ったところをSNSで拡散されてしまってます〜]
[なっなんだって!?]
危機はすぐに訪れてしまった。
昨日却子が魔法を唱えた時は周囲に人はいなかったはず。だとすると誰かが昨日の出来事の動画撮影してSNSに投稿したか検討がつかない。
[どうしましょう〜]
却子は突然の出来事に慌てふためく。
良くも悪くもSNSの影響力はすごい。誰かに拡散されたら瞬く間に世間に知られてしまうのがSNSの怖いところ。
自分達ではどうしようも出来ない。
[もう嫌ですー、怖いですー]
[っておい、どこに行くんだよ]
却子は杖に跨いで俺の部屋の窓から飛んで家を出て行った。
───数時間後───
[ねぇ?あれってあの魔法少女!?]
[すげー、可愛い子だな]
[魔法少女って本当にいるのか]
いつも通りの学校の教室でいつもと同じ風景のはずなのだが、俺のクラスの出入口や廊下に人集りが出来、全員却子に注目していた。
教室の中でも同級生が却子が座っている席に囲み、何やら問い詰められている様子が見て窺えた。
一瞬だけ遠目で見えたのが、却子は大勢に問い詰められて困惑しているのが見えた。
[ちょっとここを通してくれ]
俺は却子の所へ向かう一心で人集りから強行突破して教室の中へ入った。
[健太君]
俺に気づいた却子は涙目になりながら安堵の表情を浮かべた。
[マジカルマジカルー、ウオーウオーウオー]
[何をしようとしてるんだ!?]
突如却子は立ち上がり魔法を唱え出した。
魔法を唱えた瞬間周囲の人達の様子がおかしくなる。
どういうことかというと、みんなアホ面になって呆けた感じになっていたのだ。
[あれ?成功しちゃいました?]
自分で魔法唱えたのにも関わらず却子は驚いている。
恐らく今の事態を回避したくて取り敢えず魔法を唱えた結果成功したっという事だろう。
[どうなってるんだこれ?]
[これはですね、皆さんの記憶を消したんです。記憶って言っても私が魔法を唱えた時のだけで皆さんの長期記憶は消してないのでご安心ください]
[おぉ…何だかよくわからないけど解決してよかったな]
拍子抜けにはなってしまったものの要は却子のあの件は解決したって事という訳だな。
と、一安心した俺であった。