06 涙
フラムトリア冒険者組合長のオルネアは
突然発したただならぬ気配に
執務室の窓の外に振向いた。
城壁の向こう側に見える魔の森から
一瞬強烈なプレッシャーを感じる。
背中に冷たい怖気を感じ、
嫌な汗が一瞬で吹き出す。
喉元に ヒタリ と
剣先を突きつけられた様な幻視を覚える…
振向いたが誰もいる訳も無く、
強烈なプレッシャーも消えている。
「…?」
ガチャっ
「組合長!」
白の混じる短髪の筋骨隆々の男が
ノックもせず雪崩れ込んで来る。
「…ノック位しろ、バーンズ」
「すまん!だが森の気配が!感じたか?」
バーンズと呼ばれた男は
相当焦ってかけてきたのだろう、
汗だくで暑苦しい。
「ああ…凍るような強烈な魔力だが」
「一瞬で消えたな…」
カラカラになった喉に気づき、
高級そうなコップから水を飲む。
「バーンズ、水でも飲むか?」
「ありがとう」
差し出したコップで無く、
水のボトルを掴むバーンズ。
ゴッゴッゴクッ
「バーンズ…」
まだヒリヒリとする喉元を
ひと撫でしたオルネアは、
バーンズと2人で窓の外を見る。
だが、そこにはいつもと
変わらないように見える
景色があるだけだった。
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スルトはふかふかのベットで目覚める。
「??」
確かブラックウォールウルフに襲われて、
死を覚悟した様な…
「夢?」
身体に怪我が無い。
「でも何処だか見覚えのない天井だね…」
起き上がったスルトがいる部屋は、
白く冷たい大理石の様な正方形の小部屋。
出入り口らしきものは無い。
ゴソリ
布団の中が動く。
スルトの隣布団の膨らみは
小さな人一人分。
イヤーな汗が吹き出る
恐る恐る、高級そうな布団をめくる。
布団の暗闇の奥に虹色の瞳が二つ
「ヒッ」
美しい黒い髪
白磁の肌
黒い ねねね
ネグリジェェェェッ!!
扇状的な刺繍の薄い光沢の生地に
色々チラチラ見えそうな薄い胸元
シミひとつない白磁は緩やかな丘陵を描いて
黒い生地の奥へ続いている。
パチッ
目の前の美少女の
透き通った水晶の様なそれは
虹色の様な不思議な瞳だ…
ばちーんと目が合う。
にたあー
美少女の顔が悪魔みたいな顔になる。
「ビクッ」
ヤバイぞコレはと逃げようとすると、
シュバアッ!カサカサ
凄い速度で襲いかかって来る美少女。
壁を四つん這いで走ってる(汗)
ベロお
なんとも妖艶に舌舐めずりする美少女は
凄まじい膂力。
指が石壁にめ、めり込んでる!?
大きく開く薄い胸元…
色々見えたかも知れない。
目がハート型だ。やべえ
『ハアハアハア』
身体が動かない!
『何処いくんじゃあ〜?あるじさま?』
「エロいッ!じゃなくてコワイッ!」
ピンク色に興奮顔したヤバイ悪魔が
舌舐めずりして襲いかかって来る。
ブラックウォールウルフなんて
比じゃない怖さだ。
「あ、あるじって?」
『儂とチ、チッスをしたんじゃから
最早、儂はあるじさまのモノ。そしてあるじさまも儂の…グヘヘ』
『古来より契りとはそう言う物と
決まっておる…じゅるり』
ニタァ
「…」
すぐに逃げ出さないとッ
ピタリとスルトは動けなくなってしまった
少し困った様な表情のまま…
『ようやくでおうた…のじゃ』
ティアマトの目尻に涙が溢れる。
涙を流しながら微笑む美少女はスルトには
見た目の年相応に見えた。
膝の上にティアマトを乗せて
涙がとまるまで優しく頭をなぜるスルト。
何故かそうしようと思った。




