05 始まり
『ポーー』
儂は何を?
ティアマトは心地よかった。
…確か口づけを許したんだった。
森や神殿の周囲や天地に潜む
幻獣が好意の色で飛び回る。
そんな青年を見つけて様子を伺ってみれば、
遠目にも分かる、
なんとも澄み渡る魔力の持ち主かと。
触れたい。
計画をたてて何とか
遺跡に呼び込んで見つめれば、
危うく吸い込まれそうな瞳をもったこの青年…
幻獣を2体程連れて?連れて?
常時召喚!?
幻獣召喚とは、契約に従って
術師は魔力を糧に現世に
幻獣を実体化させる。
例外なく実体化には相応の対価が必要なはずじゃが…
目の前の青年は普通に見える…
2体はこちらの神気に当てられたようで
気絶状態だ。
青年の落ち着き様も気になる。
ティアマト見つめられた者は例外なく、
恐れ
崇め
憤怒
憎悪
憐み
長い年月に見つめて来たどの目にも
映るのは暗い感情…
嫌気がさした。
だがつい最近
珍しい色の瞳を見つけたのだ。
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上位のモノとの現世の回廊を作り
守護神の僅かな力を分け与える。
強力な力だ
歴代の偉人の中には守護神の力を得たものも
いたであろう。
そしてお互いを支え合う絆の構築。
契約の儀
【手に】
口づけを許す。
そう言う儀式なのだ。
そして儂を前に恐れ意外の態度で接する
あまつさえ、だき、だッ抱きついてーーッ
それで!それで!ききききききキッス?!
『初めてじゃったの…』
「あのー?」
目の前のティアマトはさっきより高速で
顔色が変化してる。
あっ頭から煙が…
「(汗)…」
間違えたことに気付くスルト
しかし事態はややこしく、面白い…
では無く、大変な事になっているのだっ。
「うッ」
スルトの脳内に今度は見たことも無い
大量の文字列が流れ込んできた。
倒れ込むスルト。
洞窟で起こる千年ぶりのカオス
真っ赤な顔でニヤけるティアマト。
全身が明滅しながら転げ回るスルト
あ、静かになった。
『あるじさまよ、起きられよ』
鈴音のような美しく、力強い声。
視界一杯の恐ろしく美しい白磁の少女
顔色は真っ赤、息遣いは野獣。
そして目がハートだ。
『ガッシイィィ!』
顔を掴んで見つめられる
美少女に、
ゼロ距離で、色々密着だ。
フニフニする〜
柔らかいんだな女の子って…じゃなくて。
瞳孔は縦に細長く
吸い込まれそうな程透き通り
瞳の奥は虹色に輝いている。
何て可愛い顔なんだろ…
じゃなくて…ヤバイこれ
逃げようにも美少女の力は強く
巨石の下敷きになった様に
ピクリとも動かす事ができない。
さっきなんて言った?
まさかティアマトだって?!
小さい頃神話の本で読んだ事がある。
始まりの海にして漆黒の幻獣神。
大陸全土を覆い尽くす金色の魔力
恐ろしい爪は海を裂き空を燃やす。
操るのは虚無
火 水 風 土 闇 光 意外の
存在が確認できていない属性魔力
存在すら疑問視されている
物語りの存在。
伝承の神。
まさか…
虹色の瞳はハートマークだ。
「あるじって?」
『決まっておろ?旦那様の事じゃ』
美しい美少女はニッコリ微笑む。
だだだだだだだだんな?さ、ま…
スルトはまた意識を手放す事にした。




