「きみを愛することはない」「そんな!旦那様はTKGを黄身なしでお食べに!?」「え」
「きみを愛することはない」
「何ですとー!? 旦那様、正気ですかっ!」
「……ああ、正気だとも。私はきみを愛していないし、今後も愛する気はない。そう言っているんだ」
「……そっ……そんな……それじゃあ……」
「すまないが、そういうことだ」
「そう、そうなのですね。旦那様は、TKGを黄身なしでお食べになると……」
「ああ、そうだ……ん?……え!?」
「ではわたくしが旦那様の分まで、愛を持って黄身を味わうことにいたします」
「いや、そうじゃなくて……」
「お望み通り、わたくしのは黄身が二個の濃厚TKG、旦那様のは白身が二倍のでろんでろんTKGです! さあいただきましょう!」
「……ウッ……いただき……ます……」
(半年後)
「あの……たまには、黄身も食べたいんだが……」
「えっ!? 急になにを……」
「ずっと我慢していた、けどもう耐えられない。私は本当は、黄身が大好きなんだ。今すぐにでも黄身を食べさせてくれ」
「お、お待ちください旦那様……そんな朝っぱらから『君を食べたい』『君が大好き』『もう耐えられない』だなんて……はしたないわ……」
「えっ!?……いやいや待ってくれ違うんだ! 私は『卵の黄身』を食べたいと!」
「ええ、もちろんです。卵の黄身には精力を強くする成分たくさんですから、今日は我慢してお食べになって……その……夜にお備えくださいませ……」
「……え……? ……うん……ま、まあ、食べれるならそれでも、いいか……」
(翌朝)
……チュンチュン……
「昨夜は、すてきでした」
「そっ……そうか……?」
「はい、とっても」
「……色々あって、自信がなかったんだ。もし私がちゃんと……その……愛せていたのなら、きみのお陰だよ」
「あら。それは、どっちのきみのお陰かしら……」
「……!? まさか、君はすべてお見通しで……」
「フフッ、なんのことでしょう。さて、今朝はどういたしますか?」
「……それじゃあ、きみを、おかわりしてもいいかな?」
「まあ。旦那様ったら、よくばりさん」
(めでたし、めでたし)
作者はお醤油ぐるり→卵オン→白身だけ半まぜ→黄身を崩してすくって食べるスタイルですよろしくお願いします。