9/11
勇者
国を救った英雄ということで王宮で素晴らしい歓待を受けた。
ずっとこの国にいて下さいと言われたが、一つの所に定住するのは性に合わないので丁重にお断りし、旅立つことにした。
今日は国王陛下の前の妃だった女の処刑が行われるから最後に見ていかれてはと言われたが、女が嬲り殺されるところなんか見たくないのでさっさと去る。
敵の親玉の娘とはいえ何の落ち度もない十代の女を火あぶりにするとか何とも趣味の悪いことだ。
だが人々はこの熱狂も憎悪も何もかもすぐに忘れるだろう。
人類はそうやってずっと生きてきたのだから。