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ショートショート10月〜4回目

トンネル

作者: たかさば
掲載日:2023/10/03

 私がウォーキングで毎日訪れている遊歩道には、トンネルが3箇所ある。


 白い壁のトンネル。

 地元の小学生がカラフルに彩ったトンネル。

 コンクリートがむき出しになっているトンネル。


 デザイン、大きさ、長さ、まるで似ていない…個性的なトンネル。

 けれど、どのトンネルも、独特の【トンネル感】がしっかり存在している。


 圧迫感のある、空間。

 上下左右を囲まれた、空間。

 向こう側が見える、空間。

 風が通り抜ける、空間。


 トンネルを通る度に、少しだけ不思議な感覚を覚える。


 ごく普通の日常が、ほんの少しだけ拘束されたような…。

 ごく普通の瞬間が、ほんの少しだけ包まれるような…。

 ごく普通の景色が、ほんの少しだけ隠されるような…。


 トンネルを通る時の、独特の雰囲気が…わりと好きだ。


 わりと、トンネルというもの自体が好きなのかも、知れない。

 わりと、トンネルという形状が気に入っているのかも、知れない。

 わりと、トンネルという場所に魅入られているのかも、しれない。


 そういえば、子供の頃砂場でトンネルを作るのが好きだった。

 そういえば、地下鉄がわりと好きだ。

 そういえば、高速道路のトンネルの中で光るライトが好きだ。


 トンネルが身近にあるから、頻繁に出向いているのかも、知れない。


 通るたびに響く、足音だとか。

 通るたびに強く吹く、風だとか。

 通るたびに目に入る、壁だとか。


 トンネルが近づくたびに、なんとなく心が騒めく。

 トンネルに入るたびに、なんとなく心がそわそわする。

 トンネルから出るたびに、なんとなく心がほっとする。


 ……トンネルを通るたびに、ふわりと浮ぶ、記憶。


 トンネルで転んだ事、トンネルの天井から水が落ちてきた事、トンネルの音が響いてうるさかった事、トンネルの壁の絵がかわいいと思った事、トンネルの壁でセミが脱皮していた事、トンネルで雨宿りした事、トンネルの電気が点いた瞬間、トンネルの入り口に大きなサギがいた事、トンネルの出口にカメがいた事、トンネルの中でカマキリに襲われた事、トンネルから出る時に蝙蝠と衝突した事……。


 トンネルを通るたびに、こんな事があった、あんな事もあった、そういえばあの時、そうそうここで、あれはいつだったか、あの頃ここは……色んな事を思い出す。


 ……トンネルに入るたびに、やけに落ち着きが無くなるのは、もしかして。

 トンネルと関連のあるエピソードが、わんさかあるからなのでは……?


 これ以上、おかしなエピソードが増えないといいなと思いつつ、今日も私はトンネルをくぐるという、お話……。

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