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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第一章 そして僕らは家族になっていた

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●第二話 僕が恋に落ちた少女(3)

「ふうん、どれよ?」

「確か、今月号にも載ってたっしょ。ええと、あった、これこれ」


 髪を染めている感じの女子がチャラ男にページを見せた。


「ふむ。ま、顔はちょっと可愛いけど、なんかパッとしねえなあ。胸が小さすぎ」


 おのれ……! どうしてどいつもこいつも胸なんだ! 顔と性格が良ければ、それでいいだろ! お前らは鈴崎の良さがまるでわかってない。


「だよねー。グラビア飾るんなら、もっとボッキュンボーンでないと。アタシみたいなー?」

「お前は顔が無理だけどな」

「なっ、ひどっ!」


 本当にひどいな。口に出してはいけない言葉ってのが世の中にはあるはずだ。


「でも、ケンなら、こういう雑誌のモデルもやれるんじゃね?」

「あ、ケンは顔良いし、腹筋もバキバキだし」


 フン、ま、顔が良いのは認めてやるが……これはそういうファッション雑誌じゃないだろう。鈴崎が出てるのはどう見ても女の子向けの可愛い系の雑誌だ。


「あんま興味ねえな。ま、金がもらえて、女が注目するなら有りかも」


 ケンと呼ばれた男子は、言葉とは裏腹にまんざらでもなさそうな表情で言う。ま、勝手にしてくれ。


「お前、ホント、女好きだよな。こないだもナンパで食ったって言ってただろ。あの女はどうしたんだ?」

「いや、それが、ちょっと付き合ったら、勘違いして彼女面しやがって、面倒くせえから切った」

「ヒャハハ、相変わらず鬼畜だな、ケン」

「いや、別に遊びで付き合ったんだし、ナンパで本気になるほうがおかしいって」

「ひっどー」

「モテモテヤツは言うことが違うねえ」

「まあな、女はオレに誰でもホイホイ寄ってくるからな」

「でも、ケンでもこういう子は無理っしょ」

「ああ? 雑誌モデルか。ま、こういう遊んで無さそうなのは歯の浮く言葉で好きだの強引に押してりゃ、男に免疫がないから簡単に落とせるぜ。断れないタイプと見た」

「マジかよ」


 マジですか。


「じゃ、やってみせてよ」

「いいぜ。じゃ明日、放課後に2Aの教室に寄ってみるか」


 お、おいおい、何かまずくないか。これ。

 このままでは鈴崎がおかしな男に騙されてしまうかもしれない。

 ケンのグループがこちらに向かって歩いてきた。


「おい、邪魔。どいてくれ」


 どけなかった。このままは通せない。


「何だお前、聞こえねえのかよ、おい」

「聞こえてる。さっきの話だけど、好きでも無いのに告白するとか、そういうのは――」

「ああ?」


 くっ、怖い。


「よ、良くないんじゃないかな……って」


 目を伏せてしまった。


「アハハ、何コイツ、立ち聞きしてケンに説教してるんですけど、ウケる」

「うるせえよ。てめえには関係ないだろ。どけ」

「あっ」


 押されてしまい、僕は止められなかった。


「くそっ」


 でも、なんとかしなくては。


 深夜まで色々と頭をひねって考えた末、僕はたった一つの方法を思いついた。




 ケンのやり方は最低だ。

 人を騙して告白するなど、モラルとして許せるものではない。だけど、法律に違反しているかというとちょっと微妙だ。だから警察や先生に相談したところで、本人が「本心で一目惚れした」と言い張られてしまえば、それを止めることは難しいだろう。

 友達に相談しようにも、斉藤ではとても頼りない。真夜だと暴力沙汰の喧嘩になっても困るので頼めない。


 なら――

 あのグループがやってくる放課後に鈴崎がいなければいい。

 放課後に速攻で鈴崎を遠ざけ、避難させるのだ。

 それが一番無難で、確実に思えた。

 一日くらいでは彼らも諦めないかもしれないが、何日かやっていれば、もともとお遊びの思いつきだ。誰でも良さそうなケンも飽きて他の女と遊ぶに違いない。胸の大きさだって彼の好みじゃないんだし。


「よし、この作戦で行こう」


 朝一で教室にやってきた僕は、鈴崎を見つけた。今日も彼女は朝早くから花瓶の水の入れ替えをやっている。それの作業が終わったところを見計らい、僕は声をかけた。


「鈴崎さん」

「は、はい」

「ちょっと込み入った話があるんだけど、いいかな?」

「授業前までなら、時間が空いていますけど……」

「うん、それまでには終わるから、大丈夫。実は――」


 僕は昨日コンビニで見聞きしたことを彼女にそのまま話す。


「そうですか。心配してくれてありがとうございます。私、今までにも何度かは告白されてきたから、ちゃんと断れると思います」

「そっか。そうだよね」

「でも、強引でしつこい人って苦手かも……」

「う、ううむ」

「お付き合いに興味がありませんからって言っても、興味が持てるようにお試しでどうとか言ってくる人もいるので」

「厚かましいヤツだ」

「ええ。他に付き合っている人がいないなら、ちょっとくらいいいじゃないかって言われると、本当に困ってしまって」

「いや、好きでも無いのに、付き合わなくて良いよ。鈴崎さんは何も責任を感じる必要なんて無いし、それは彼ら自身の問題じゃないか」

「ありがとう。うん、そう言ってもらって、少し気が楽になりました。相手が落ち込むのって、断るにしてもなんだか嫌だから」


 優しい子だ。


「とにかく、今日は授業が終わったらすぐ帰った方がいいよ」

「そうですね。わかりました。そうします」

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