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義理の兄妹になっても僕らは両想いなので、学園でも家でも隠れて付き合うことにしました。  作者: まさな
■第一章 そして僕らは家族になっていた

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●第一話 二人きりの作戦会議(2)

「そうですね、それしかないかも」


 彼女もうなずいた。


「父さん達に見つからなければ、今まで通りデートだってできるさ」

「うん、それに、こうやって家でもすぐ会えるし、考えようによってはラッキーだったかも」


 葵がそう考えていてくれることに、ちょっと嬉しくなる。


「そうだな」

「でも、気をつけないと。うちのお母さんはこういうこと、勘が鋭いから」

「そうか。うちの父さんはそういうの、全然な感じだけどな」


 なら、気をつけないといけないのは真理亜さん一人だけ――


「おーい、悠真~」

「うぇ」


 僕が止める間もなく、彼女が勝手にドアを開けてしまった。硬直する。


「んん? なんでここに鈴崎がいるんだ?」


 怪訝そうにショートカットの髪を揺らして首を傾げた大葉おおば真夜まよ。彼女はお隣さんで小中高とクラスが一緒の幼なじみだ。見た目はまぁ一応それなりに美形の女子なのだが……本人もそれをときどき忘れているくらいのボーイッシュだ。スポーツならば万能。勉強はダメダメ。何から何まで僕とは性格が正反対なのだが、幼なじみで近所ということもあり、こうして気安く接している。学校のみんなには誤解されがちだが、間違っても僕と真夜は恋愛関係ではない。


「そ、その前に、ノックぐらいしろよな、真夜」

「ああ、悪い。ハサミを借りに来たんだ。前にどこに片付けたかわかんなくって」


 それくらい、きちんと片付けておけと。


「わかった。これな」


 勉強机の引き出しからハサミを取り出して渡してやる。


「で、なんで鈴崎はここにいるんだよ」


 腕組みをした真夜はそれが気になったようで、すぐには戻ってくれそうもない。


「そ、それは……」


 どう説明したらいい? というか、どうやっても説明できないだろ!? これ。


 まだ知り合ったばかりの義理の妹が、親しげに義理の兄の部屋に一人で入り込んでいるのだ。ただの挨拶くらいなら、部屋に入ったままドアを閉めたりはしないだろう。男子と女子だし。


 まずい、不自然すぎる。


 元から恋人だったという理由の他、思いつかない。

 これでまた離婚か? 僕のせいで。

 くそ、変な汗が出てきた。葵も焦っているようで握り拳を作ったまま目が泳いでいる。


「なんだよ、二人とも。お前ら何かアタシに言えないようなことを――」

「へ、部屋を間違えたんです!」


 葵がとっさに言い訳したが……


「んん? はぁ? いや、部屋を間違えたって……いやいや、その前にどうしてこの家に鈴崎がいるのかってことをアタシは聞いてるんだよ」

「父さんが鈴崎さんの母親と再婚したんだよ。だから、僕の妹になったんだ」


 それは事実なので僕も落ち着いて説明できた。


「ああ、なんだ、おじさんの再婚相手って鈴崎の親だったのか。へー。いや、でも、なんで夜に悠真の部屋に……」

「だから、間違えて。こ、ここがトイレかと思って」


 トイレ? うーん、トイレですか……葵がなかなかハードルの高い言い訳をしてしまったが、ええい、ここはそれで行こう。


「ああ、トイレな! うん、僕もよく間違える。葵さん、二階のトイレは向かい側だから」

「う、うん、ありがとう。ごめんなさい」

「待て悠真、ここお前の家だろ、なんでお前まで間違えるんだよ!」

「いいから、ほら、行った行った。真夜もハサミを返すのは明日でいいから」


 キレ気味の彼女を強引に部屋から押し出す。


「ちょっ、押すな。触んな!」


 肩を触っただけだが、真夜は触られるのがよほど嫌だったようで乱暴に腕を回して振りほどいた。小学校の頃までは彼女のほうから肩に腕を回してきたりヘッドロックしてきたりしたくせに。まあ、とにかく部屋からは追い出してやった。葵はそのままトイレに入ったようだし、ふう、これでなんとか追求を免れたな。


「いや、わっかんねえな。ここのドアにちゃんとWCって書いてあるのに、なんで間違えるんだよ」


 真夜はまだ部屋の外でぶつくさ言っていたが、声が遠のいて自分の家に戻っていく。

 ちょっと怪しまれた感じだし、隠れて付き合うのもこれはいろいろと大変そうだ。

 でも……葵と近くにいられる、それだけで僕はなんだか心が浮かれ、ワクワクしてしまうのだった。


 やってやろうじゃないか。


 いや、変な意味じゃなくて、親を離婚させないで上手く付き合えたらいいなって話だけど。

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